Project/Area Number |
23K11206
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61020:Human interface and interaction-related
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
柳澤 一機 日本大学, 生産工学部, 講師 (50712311)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | セラピーロボット / ストレス / NIRS / 自律神経活動 / ヒューマンロボットインタラクション |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は,セラピーロボットの長期的なストレス軽減効果の変化を前頭前野の脳活動,心臓自律神経活動,唾液アミラーゼにより定量的に評価することである.既存のセラピーロボットを対象に長期間(3か月程度)におけるストレス軽減効果の変化の評価する. さらに,この実験の結果を踏まえて,ストレス軽減効果がより持続する可能性のあるセラピーロボットを提案を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
先行研究におけるセラピーロボットのストレス軽減効果の評価は,1回の使用の前後の比較など短期的な効果の評価がほとんどである.その評価方法もアンケートなどによる主観評価が中心であり,定量性の問題から他のセラピーロボットとの比較などはほとんど行われていないという問題があった. 本研究はセラピーロボットの長期的なストレス軽減効果の変化を生体計測により定量的に評価することと、生体計測による結果をもとに、慣れや飽きによる影響を軽減し,よりストレス軽減効果が持続するセラピーロボットの提案を行うが目的である. 令和5年度は,3種類のセラピーロボットの対象に2か月間の実験を行った.合計18名の実験参加者を対象に,前頭前野の脳活動,心臓自律神経活動,唾液アミラーゼ,質問紙による気分・感情状態の評価を行い,2か月間の変化を分析した. その結果,いずれのロボットにおいても,POMS2を用いた気分感情状態の評価については,飽きや慣れによるセラピーロボットの効果の低下は確認できなかったが,副交感神経指標である心拍数のRMSSD(root mean square successive difference)とストレス反応との関連性が報告されている前頭前野の活動左右差については,長期的な使用によるストレス軽減効果の低下を示唆する反応を確認した.実験参加者への聞き取りや自由記述形式でのアンケート,またセラピーロボットのふれあいの様子を撮影した映像から、2か月後には,多くの参加者において,セラピーロボットと触れ合う頻度が低下し、興味が低下する傾向が確認されたことから,主観評価だけでなく,生体計測による評価が重要であることを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は申請者が所属する日本大学生産工学部の人を対象とする研究倫理審査委員会の承認を得て実験を行ったが,審査に想定以上に時間がかかったことと想定していたセラピーロボット1台の調達に時間がかかり,実験開始が遅れたことから,実験期間を一部変更して対応した.令和5年度に計測を予定していた実験参加者18名は予定通り計測することができたが,成果発表を行うことができなかった. 近赤外分光法による前頭前野計測,心臓自律神経活動は2か月間同一のセラピーロボットの使用を続けることで(週1回20分程度定期的に触れ合ってもらう条件で実施),慣れや飽きの影響が表れることを確認することができた.POMS2による気分感情状態の主観評価についてのみ,そういった変化が見られなかった.この点については令和6年度継続して実験を行い,さらに参加者数を増やし,分析していく予定である. また,多様な機能を有するセラピーロボット(ユーザの顔認識機能,音声と動作を連動させた反応,体温の設定など)であっても,機能がシンプルなセラピーロボット(ユーザの撫でる動作を検知して、体の一部が反応する機能のみなど)であってもストレス軽減効果の違いは,ほとんどの評価項目で確認できなかった.そのため,機能が少ないシンプルなセラピーロボットであっても,世話の必要性の設定や,ユーザの行動を反映してロボットの形状が変化する仕組みなどを工夫することで,よりストレス軽減効果を持続させることができる可能性があると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度前半は,令和5年度の実験と同様に3種類のセラピーロボットの対象に2か月間の実験を行う.実験参加者数は合計18名を想定しており,前頭前野の脳活動,心臓自律神経活動,質問紙による気分・感情状態の評価を行う予定である. 令和6年度の後半は,令和5年度に計測した18名の参加者と合わせて,36名の参加者を対象に,各指標の時系列変化や指標間の相関を分析する.心臓自律神経活動については,LF/HF,ローレンツプロット,RMSSDなどの指標を対象に分析を行う予定である.前頭前野の脳活動については,近赤外分光法によって計測された前頭前野の酸素化ヘモグロビン(oxy-HB)と酸素飽和度に注目して評価を行う.特に脳活動の左右差と各種指標の関係を分析することで,セラピーロボットのストレス軽減効果の変化を定量的に評価する. また,その結果を踏まえた新しいセラピーロボットの提案については,ロボットに植物の「成長性」を与え,水やりなどの世話の必要性と成長による芽や葉などの移り変わりによって使用者の関心を保つセラピーロボットのプロトタイプの製作を行い,セラピーロボットのふるまいや使用する植物の選定を行い,令和7年度には提案するセラピーロボットの評価実験を実施できるように研究を進める予定である.
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