Project/Area Number |
23K11217
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61030:Intelligent informatics-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松原 繁夫 大阪大学, 数理・データ科学教育研究センター, 特任教授(常勤) (80396118)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 集合知 / マッチング / マルチエージェントシステム |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、大規模集合知の実現に向けた動的環境における人と機械の協働問題解決法の考案である。本研究では、依頼者と請負者のマッチング問題として定式化する。本目的を達成するため①リスクを考慮した条件付きマッチング法の考案、②回答負荷を考慮した適応的選好獲得法の考案、③大域的秩序形成を実現する情報縮約法の考案を実施する。本研究の学術的独自性は、複数の集合知形成間の影響関係を考える点、また、マッチング理論を動的環境に拡張する点にある。本研究の創造性は、人と機械の協働に関する理論の深化、および、大規模集合知の社会的受容性の拡大である。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度はリスクを考慮した条件付きマッチング法を考案した。安定マッチングとは、男性と女性、病院と研修医など二者間でのマッチングを求める際、お互いが相手に対する選好リストを提出し、その選好リストに基づき「安定性」と呼ばれる性質を満たすマッチングを求める問題である。ゲーム理論や人工知能分野で知見の蓄積が進んでいるが、既存のマッチング理論の多くは静的環境を仮定しており、動的環境を扱うには不十分であった。 本研究では、まず問題の定式化を行った。モデルは請負者集合と依頼者集合に加えて、イベント集合から構成される。依頼者はイベントが生じない場合は請負者Aを、イベントEが発生した場合は請負者Bを希望するといった条件付き選好リストを申告できる。つぎに、このもとで既存の受入保留メカニズムを単純に拡張した場合、安定性が満たされなくなることを明らかにした。そこで、緩和した安定性概念を提案し、それを実現するマッチングアルゴリズムを考案した。 さらに、具体的な応用対象としてライドシェアリングを取り上げ、性能評価のためのシミュレータを実装した。ここでは、請負者が運転者、依頼者が同乗希望者、イベントが交通渋滞などに対応する。依頼者は交通渋滞の発生がない場合は距離が近い運転者Aの車への同乗を希望し、交通渋滞が発生してAの到着が遅れそうな場合は運転者Bの車への同乗希望に切り替えるといった選好表明が許容される。本成果について、論文発表の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、大規模集合知の実現に向けた動的環境における人と機械の協働問題解決法の考案であり、3つの研究項目、①リスクを考慮した条件付きマッチング法の考案、②回答負荷を考慮した適応的選好獲得法の考案、③大域的秩序形成を実現する情報縮約法の考案から構成される。 項目①のリスクを考慮した条件付きマッチング法に関しては、基本アルゴリズムの考案、および、安定性など理論的性質の解析は完了している。定性的評価に加え、既存手法に対する定量的評価を行う予定である。その評価自体は未実施であるが、その評価実験に向けたシミュレータの実装は完了している。 項目②の回答負荷を考慮した適応的選好獲得法の考案については、既にマイクロタスク型クラウドソーシングに関して予備的検討を進めている。請負者のタイプが高スキルと低スキルの2タイプ、各タスクに対する高スキルと低スキルの分布が与えられているとき、成果物の期待価値の計算法を明らかにしている。また、タスク数が少ない場合に期待価値を最大にする質問方法を明らかにしている。 この分析は一方向マッチングに関する分析であり、双方向マッチングを扱うにはさらなる拡張が必要であるが、その基礎となるものと考える。 項目③の大域的秩序形成を実現する情報縮約法に関しては、3年目に着手する計画であるが、一部前倒しで検討を開始した。分散型資源割当問題において、他者の厚生の考慮が社会的厚生の改善に与える条件の調査を開始している。以上より、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は3つの研究項目、①リスクを考慮した条件付きマッチング法の考案、②回答負荷を考慮した適応的選好獲得法の考案、③大域的秩序形成を実現する情報縮約法の考案から構成される。 項目①のリスクを考慮した条件付きマッチング法の考案については、今後は、実装したシミュレータ上での実験による定量的評価を行うことで、既存手法に対する優位性を明らかにする。 項目②の回答負荷を考慮した適応的選好獲得法の考案では、参加者選好が経時的に変化する場面を対象としている。既存のマッチング理論では選好リストの存在を前提としている。参加者に選好リストを表明させる際、条件付けに関して詳細な質問をすることでより正確な選好リストを獲得できるが、一方で、参加者にとって頻繁に詳細な質問に回答することは負荷となる。一方向マッチングで得られている知見を大規模な問題に拡大し、さらに双方向マッチングに拡張することで、適応的選好獲得法の考案に結び付ける。また、過去の履歴データが入手可能であることを仮定して、参加者から直接的に選好を獲得するのみでなく、ベイズ推論を用いて選好を推測する方法も併せて検討する。 項目③の大域的秩序形成を実現する情報縮約法の考案では、大域的問題解決に整合する形で局所の問題解決を実施することが目的である。カーシェアリングの場面での検討を一般化し、情報縮約法の考案に結び付ける。
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