カオス的なニューラルネットにおける動的入力への同期によるパターン認識の研究
Project/Area Number |
23K11259
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 61040:Soft computing-related
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
徳田 慶太 順天堂大学, 健康データサイエンス学部, 准教授 (50762176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 直哉 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00637449)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
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Keywords | カオス / ニューラルネットワーク / レザバー計算 / 同期現象 |
Outline of Research at the Start |
一般に、リカレントニューラルネットがカオスを持つと複雑な時系列パターンを生成できるが、一方で、初期値依存性により入力への安定な応答を得るのが難しくなる。本研究では、非線型系の特徴である同期現象に着目し、周期性のある入力を用いることで、システムのカオス性を利用した高い表現力と安定な入出力関係を両立する新しい枠組みを提案する 。これにより、脳において観測されている過渡的な同期現象の機能的役割に関する洞察を得ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
リカレントニューラルネットがカオスを持つと複雑な時系列パターンを生成できるが、一方で、初期値依存性により入力への安定な応答を得るのが難しくなる。近年、いくつかの先行研究が、強い入力と特殊な学習則などを用いて、システムが持つカオス性を入力印加時だけうまく抑えてやることで、高い表現力と安定な入出力関係を両立できることを示し、注目されている。ただし、これはシグモイド型の人工ニューロンモデルにおける手法である。具体的には、強い入力により、システムの状態が安定固定点に収束するようにした上で、系の初期値の状態を一度消去し、そこからパターン生成を行うというものである。しかし、神経回路のような強い興奮性を持った素子からなる結合振動子系ではこの方法は生理学的に妥当な条件においては機能しない。本研究では、非線型系の特徴である同期現象に着目し、周期性のある入力を用いることで、システムのカオス性を利用した高い表現力と安定な入出力関係を両立する新しい枠組みを提案する。これにより、脳において観測されている過渡的な同期現象の機能的役割に関する洞察を得ることを目指すこととした。
本研究では、本年度、レザバー計算の枠組みを援用し、自発的なカオスを持つスパイキングニューラルネットからなり、入出力関係を獲得する学習機を構成することを行い、さらに、周期入力下で実現される周期軌道に関して、リアプノフベクトルやmaster stability関数を用いた解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、レザバー計算の枠組みを援用し、自発的なカオスを持つスパイキングニューラルネットからなり、入出力関係を獲得する学習機を構成した。入力パターンに時間的周期性を持たせカオスを制御することで、入出力パターンの対応を獲得できるようになるかを検証したところ、このようなタスクが実現可能であることを見出した。初年度においては、さらに入力の周期や振幅、モデルの構造などのパラメータとモデルの精度の関係性を定量的に評価し、提案する計算原理が成り立つ条件を検討した。
さらに、周期入力下で実現される周期軌道に関して、リアプノフベクトルやmaster stability関数を用いた解析を進めた。カオス的なダイナミクスを呈するスパイキングニューラルネットワークであるμ-modelを用いて、周期軌道周りのリアプノフベクトルとmaster stability関数を求めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
自発的なカオスを持つスパイキングニューラルネットからなり、入出力関係を獲得する学習機の構築に関してさらなる条件検討を進める。また、リアプノフベクトルやmaster stability関数を用いた解析を進める。軌道周りのリアプノフベクトルは、近傍の軌道が広がる方向や縮む方向の情報を持っており、パターン分離やパターン完成と関係すると考えられる。また、master stability関数は、ネットワーク構造から系の同期する条件を理論的に求めることができ、脳の解剖学的特性から機能特性に関する示唆を得られる可能性がある。非線型振動子の同期理論を用いた理論解析を行い、計算原理の普遍的な理解を目指す。
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Report
(1 results)
Research Products
(1 results)