Project/Area Number |
23K11354
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 62030:Learning support system-related
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
嶌田 聡 日本大学, 工学部, 教授 (90713123)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
|
Keywords | 歩行分析 / 足圧分布 / 足圧中心軌跡 / 接地面外傾化 / インソール / サンプルエントロピー / スキル学習 / 足底運動 / 健康寿命 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、歩行時における適切な足底運動を専門家の指導を受けることなく習得できる学習支援方法を確立する。熟練者の動作を模倣するためのコツを主体的に発見するのは困難なので、接地面を傾けて足底に求められる適切な回内運動や回外運動を誘導する。接地面の適切な傾斜角度は、足の形状や足首・膝の関節角度の違いで異なるので、立位などの簡易な動作から学習者毎に決定する方法を明らかにする。さらに、接地面を傾斜させた状態での歩行を日常的に行える環境を実現し、歩行時の足底運動の良さを学習者にフィードバックすることで歩行動作の主体的な学びを支援する。適切な足底運動の実践で運動習慣を持続させ、健康寿命の延伸に寄与する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
(1)適切な運動を誘導できる接地面の傾斜角度の推定 片足立位が最も安定する接地面の外傾角度を求めるため、傾斜角度を0°から7°まで1°ずつ変えられる傾斜台での片足立位を大学生11人(20~21歳の男性)と高齢者11人(65~74歳の男性)について計測した。足圧分布の中心であるCOPの時間変化に対して、10秒間のCOP移動距離総和(COP変動)と時間変動の複雑性を表すサンプルエントロピー(COPエントロピー)を評価指標として分析し、以下のことを明らかにした。 (1)外傾角度が1°から7°の間で、COP変動は極小となる角度、COPエントロピーは極大となる角度が存在すること。(2)接地面の外傾化で足関節の捻りが軽減すること。(3)最も立ちやすいと判定された主観評価の角度は1°から7°に分布していること。(4)COP変動が極小となることとCOPエントロピーが極大となることの総合評価により片足立位に最適な接地面の外傾角度を算出できる可能性があること。(5)接地面の外傾化で足関節の捻りが軽減し、足関節を自由に動かせるようになることで複雑性が増え、COPエントロピーが大きくなり、バランス保持がしやすくなり、COPの移動距離総和が小さくなること。 (2)足底運動の良さの自動判定方法 足底の回内・回外運動が適切であるかを判定するために、踵で接地している区間、足底全体を接地させて片脚で支持している区間、前足部を接地させて加速させている区間の3つに分割し、各区間での足圧中心の遷移パターンを評価する。前足部での接地区間を精度よく分割できるように、足圧分布において足指のつけ根付近の中足骨頭部を検出する方法を考案した。提案方法は、中足骨頭部付近における歩行時の足圧分布の時間による変動パターンを学習させておき、各時刻の足圧分布から前足部であることの信頼度を求め、それらを総合評価することで前足部を検出する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)適切な運動を誘導できる接地面の傾斜角度の推定 片足立位が最も安定するときの傾斜角度が最適傾斜であるという仮説を設定し、片足立位時の足圧分布から最適傾斜角度を推定することを計画していた。その計画に基づいて、片足立位を計測し、大学生11人と高齢者11人の合計22人の有効なデータを収集した。計測データの分析により、接地面の外傾化で足関節の捻りが軽減することと、10秒間のCOP移動距離総和が極小となる角度とCOP時間変動の複雑性を表すサンプルエントロピーが極大となる角度を総合的に評価することで最適傾斜角度を算出できることを示した。 また、片足立位で求めた最適傾斜角度が歩行運動でも有効であることを検証するため、傾斜させたインソールを靴に装着して歩行計測を行う予定であった。被験者によって最適傾斜角度や足のサイズが異なるので、多くの種類のインソールを手配する必要があった。そこで、外傾角度1°の傾斜させたインソールを研究室内で作成する環境を整備し、複数枚のインソールを重ねることで最適傾斜角度での歩行計測を行う方法を実現した。 (2)足底運動の良さの自動判定方法 歩行時の足圧中心軌跡を、踵接地、片足支持、前足部接地の3つの区間に分割して評価することにしていたが、申請時には、足が接地したときの荷重の時間変化から各区間を分割する予定であった。歩行時の荷重変化は踵接地と前足部離地で極大となることが多いが、歩き方によっては極大値が不明瞭になることもある。確実に3つの区間を分割できるように、足圧分布における前足部の位置を特定できる技術を開発する方針に変更した。前足部の検出を行うアルゴリズムを考案し、その妥当性を検証するための実験計画策定までを完了させた。この方針変更があったため歩行実験や学習データの構築は次年度に実施することとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)適切な運動を誘導できる接地面の傾斜角度の推定 まず、外傾接地面での片足立位に対して、大学生、高齢者とも20名以上の計測結果を評価し、COPの移動距離総和とサンプルエントロピーから片足立位に最適な接地面の外傾角度を求める方法を確立する。 次に、最適外傾角度の接地面での歩行時の足圧分布から歩行の良さを判定し、接地面を外傾させることで、足底に求められる適切な運動が誘導できることを検証する。申請時には、Webアプリケーションとして実装した学習支援システムを開発し、日常生活の中で歩行訓練を支援することを想定していた。しかしながら、昨年度の片足立位の実験により接地面外傾化の効果が確認でき、定期的にフォローしなくても外傾化させたインソールを靴に常時装着して日常行動を行うだけで十分であると予想される。そこで、学習支援システムを構築するのではなく、外傾化インストールの導入直後と数か月間の利用後の歩行計測を行い、足底運動が向上したかを検証することに計画変更する。今後は、フラットな接地面での歩行計測、最適傾斜角度だけ外傾させたインソールを靴に装着して30分経過後の歩行計測、および数か月の日常利用後での歩行計測の3種類の計測を行い、それらの比較から足底運動の良さを評価し、接地面外傾化の有効性を明らかにする。 (2)足底運動の良さの自動判定方法 令和5年度に考案した前足部の検出アルゴリズムを実装し、学習データを収集して、提案方法の有効性を検証する。学習データは歩行時の足圧分布(時系列データ)と足跡画像における足指のつけ根付近の中足骨頭部の位置(正解ラベル)をセットにしたものである。これらを大量に収集し、深層学習の画像における物体検出技術を適用して自動検出器を実現する。その後、足圧分布の中心位置の遷移パターンから、特定した前足部の位置を基準として足底の回外運動と回内運動の良さを評価する方法を検討する。
|