Estimation of vapor source regions in Quasi-Stationary Convective Bands by simultaneous data assimilation of physical and virtual tracers
Project/Area Number |
23K11398
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
田上 雅浩 気象庁気象研究所, 気象観測研究部, 研究官 (20735550)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 線状降水帯 / 水蒸気起源 / 水の安定同位体 / データ同化 / メソモデル / 領域気象モデル |
Outline of Research at the Start |
暖湿な空気塊が大気下層に多いと、大気は不安定になり、積乱雲が生じやすくなる。そのような空気塊は熱帯海洋域で形成されるが、それがどれだけもたらされることで線状降水帯が生じるのか?線状降水帯の水蒸気起源を明らかにするため、本研究では、仮想トレーサーと観測可能な物理トレーサー(水の安定同位体)とを領域気象モデルに同時データ同化し、線状降水帯を対象とした水蒸気起源解析を行う。物理トレーサーは水循環の履歴を記録し、これをデータ同化することで、輸送経路上における水循環の再現性が向上し、水蒸気起源を表す仮想トレーサーの信頼性が増す。本研究は、水蒸気起源から線状降水帯の発生メカニズムの理解を目指すものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、気象庁メソモデルasucaへの仮想トレーサーの導入、物理トレーサーの定式化の整理、トレーサー同化システムの開発に取り組んだ。 仮想トレーサー(色水)をメソモデルに導入するため、モデル本体およびモデル周囲のシェルスクリプトを詳細にコードレビューした。その後、モデル本体に仮想トレーサーを導入し、次の時間ステップにトレーサーの計算結果を引き継げるようにした。これら開発したコードがコンパイルされることを確認した。 物理トレーサー(水同位体)をメソモデルに導入するため、物理トレーサーに関する定式化を整理した。物理トレーサーを試験的に全球非静力学モデルに導入した論文が国際誌から出版され、該当論文がプレスリリースされた。本論文の知見を活かし、メソモデルへの物理トレーサーの導入を進めている。 今年度は、さらにトレーサーを同化するための同化システムの開発を行った。データ同化システムは他のモデルシステム(NICAM-LETKF)でも採用されているものを利用することを想定しており、そのモデルシステムを用いて物理トレーサーを同化できるように開発と改良を行った。改良したデータ同化システムを用いて、多数の理想的な条件下での同化実験を実施し、物理トレーサーを同化する上での問題点を整理した。特に、水蒸気量の観測誤差の設定、トレーサー量がゼロの場合の対応、他の水物質量やその同位体比をどのように扱うが課題としてあがった。これら課題については、NICAM-LETKFを用いながら引き続き対応策を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度はメソモデルへの物理・仮想トレーサーの導入という計画だったが、さらにトレーサー同化システムの開発を行い、当初の計画以上に進展した。 仮想トレーサーの導入をスムーズに進めるため、今年度前半にメソモデルのコードレビューを行った。具体的には、メソモデル周囲で引き継がれるデータの配置や準備の流れ、モデル本体での力学過程や物理過程間でのデータ受け渡しや計算過程についてレビューした。その後、コードレビューの結果をもとに、メソモデルへ仮想トレーサーを導入した。開発したコードが全て正常にコンパイルされることを確認した。 物理トレーサー(水同位体)は、仮想トレーサー導入後にメソモデルへ導入するため、別途物理トレーサーに関する定式化を整理した。物理トレーサーをテスト的に全球非静力学モデルに導入した論文が国際誌から出版され、メソモデルへの物理トレーサーの導入するための基盤が整理された。 データ同化スキームの開発は2024年度の実施予定であったが前倒しした。メソモデルには四次元変分法が導入されているが、トレーサーには十分に対応できていないため、他のデータ同化手法を利用する必要がある。本研究では、他の水同位体モデル同化システムで利用されている局所アンサンブルカルマンフィルター(LETKF)を利用する。このLETKFは水同位体をシミュレーションできるNICAM-LETKFに導入されているため、NICAM-LETKFを利用しトレーサーを同化するための枠組みを開発した。また、NICAM-LETKFを用いて、物理トレーサー(水同位体)を同化するときの問題点を調査した。水蒸気量の観測誤差、トレーサー量がゼロになるときの対応、雲水量や雲水同位体比の同化について検討する必要があることが判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、引き続きメソモデルへのトレーサーの導入を行う。現状、デフォルト設定を利用してモデル開発を進めているが、デフォルト設定では、トレーサーを追加すると所々メモリオーバーが発生することが明らかとなった。メモリオーバーの問題に対応するため、同化システムをオフにし、解像度などを柔軟に変更することができる気象研版メソモデルを用いて、この問題を克服していく予定である。 物理トレーサー(水同位体)を同化する際に、水蒸気量の観測誤差の設定、雲水量や雲水同位体比の同化について課題があることが判明した。この問題は、本研究課題で開発を進めている同化システムでも同様の問題が生じる可能性が高いことから、NICAM-LETKFを用いて調査・対策方針を考えていく予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)