Project/Area Number |
23K11400
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
|
Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
眞壁 明子 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 准研究副主任 (90752618)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 安定同位体比 / アンモニウム / 海洋 |
Outline of Research at the Start |
地球温暖化や海洋酸性化などによる地球環境の変化が危惧される中で、海洋において、その原因物質である二酸化炭素を固定し一次生産者となる植物プランクトンが、どの窒素を利用しているのかを知ることは、生態を理解する上で重要である。自然存在度の安定同位体比は、モデリングによる物質循環解析に用いられてきた。しかし、窒素の主要形態のひとつであるアンモニウムイオンの安定同位体比については、外洋における報告例は未だにない。そこで、本研究では、外洋の低濃度アンモニウムの安定同位体比分析法の確立を目的とする。本研究により、気候変動予測や海洋生産性に対する見積もり精度の向上が期待される。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、地球温暖化や海洋酸性化などによる地球環境の変化が危惧される中で、海洋において二酸化炭素を固定し一次生産者となる植物プランクトンの生態を理解するために、植物プランクトンの活動を制御している要因の一つである窒素に着目し、多様な窒素源と窒素利用能力に対して、植物プランクトンが実際にどの窒素を利用しているのかを知るために、報告例のない外洋の低濃度アンモニウムの安定同位体比分析法の確立を目的としている。低濃度アンモニウムの分析が困難である原因は、1.大気中や処理過程におけるアンモニアの汚染が懸念される、2.表層は溶存有機態窒素(DON)濃度が高く、処理過程におけるDONの分解によりアンモニウム以外の窒素が加算される懸念があるためである。 2023年度は、アンモニウムの抽出方法としてDiffusion法の条件を再検討した結果、従来よりも少ない容量、低い温度、短い期間で行った方が、アンモニアの回収率が良く、DONの分解が少ないことが分かった。しかし、標準試料に用いる溶媒として、貧栄養海水と人工海水では、アンモニアの回収速度に違いが見られ、さらなる条件検討が必要となった。また、実海水試料を用いて試料採取時の条件検討を行うために、北太平洋において南北方向に実施された研究航海に参加し、アンモニウム同位体比分析用の試料採取を行った。航海では、大気からのアンモニアの汚染を軽減させるために、ニスキン採水器にフィルターを取り付けて直接ろ液を採水することを試みた。また、アンモニウムが比較的高濃度から低濃度までの海水試料を採取し、Diffusion法によるアンモニウムの抽出を試みた。採取した試料の分析及び追加の条件検討については、次年度に行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アンモニウムの安定同位体比分析法確立のためには、処理操作過程である1.採水、2.アンモニウムの抽出、3.アンモニウムの硝酸イオンもしくは亜硝酸イオンへの酸化、の3つの過程におけるアンモニア等窒素の汚染低減、及び、DON分解量低減のための条件検討を行うことが必要である。2023年度は、北太平洋縦断の調査航海に参加して1.採水時のアンモニア汚染低減のための条件検討、及び、実験室において、2.アンモニウムの抽出方法としてDiffusion法の容量、振とう温度、振とう期間の検討を行った。また、標準試料調整に用いる低アンモニウム水として、貧栄養海水及び人工海水を用いた比較実験も行った。その結果、Diffusion法では、従来の方法よりも少ない容量、低い温度、短い期間で行った方が、アンモニアの回収率が良く、DONの分解が少なくなるという改善点が明らかとなった。また、貧栄養海水及び人工海水では、アンモニウムの回収速度に違いが見られ、標準試料調整については新たな検討課題も見つかった。処理操作過程における条件検討を一つずつ実施できており、おおむね順調に進展していると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、2023年度に行った実験において新たに課題として見つかった、標準試料調整に用いる溶媒についての追加実験を行う。さらに、処理操作過程の3.アンモニウムの硝酸イオンもしくは亜硝酸イオンの酸化過程として、湿式酸化法とBrによる酸化法の条件検討を行い、アンモニア等窒素の汚染を低減させる最適条件を見つける。また、得られた最適条件を用いて、実海水試料の採取を行う。試料採取は、東北沿岸域から外洋までのアンモニウム濃度が高濃度から低濃度まで変化する海域、及び、インド洋亜熱帯域の低アンモニウム濃度の海域において実施される調査航海に参加して、実施する予定である。これにより、1.採水、2.アンモニウム抽出、3.アンモニウム酸化までの処理操作過程の最適条件を確立する。
|