Project/Area Number |
23K11416
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63010:Environmental dynamic analysis-related
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
小野 純 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(北極環境変動総合研究センター), 特任研究員 (20451411)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 北極海 / 海氷 / 温暖化 / 淡水化 / 気候モデル / 数値実験 / 予測可能性 / 氷縁域 / 数値モデル |
Outline of Research at the Start |
北極海の温暖化・海氷減少の進行に伴い、北極域のみならず中緯度域の極端気象や北極海航路を利用した経済活動が注目され、海氷予測に対する科学的・社会的要請が増している。先行研究により夏と冬の海氷面積の予測に寄与するメカニズムは明らかになりつつあるものの、予測可能な期間や海氷分布の地域的な予測精度には改良の余地が残されている。本研究では、その鍵を握る氷縁域に着目して、数値モデルを用いた実験と観測データの比較解析を実施し、得られる知見を気候モデルの海洋コンポーネントに反映させる手法を考案する。氷縁プロセスの再現性が改善された気候モデルを用いることにより、北極海の海氷や気候変動の予測可能性向上に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、気候モデルやその海洋コンポーネントを用いた各種の数値実験を実施し、その結果について観測データに基づいた比較・検証により再現性を確認した上で、大気海洋相互作用が活発な氷縁域のプロセスに寄与する北極内外の影響を評価し、得られる知見を気候モデルに反映させることにより北極海の海氷や気候変動の予測可能性向上に貢献する。 令和5年度は、水平解像度1度の全球海氷海洋結合モデル(以後、低解像度モデルと呼ぶ)を用いて、142年間(1958年から2099年まで)の数値シミュレーションを実施し、得られた結果を解析した。モデルの再現性を確認した上で、北極海内部構造の将来変化と形成プロセスに着目して熱・淡水収支およびトレーサー実験の解析を行なった。主な研究成果として、北極海全体では21世紀末にかけて淡水化は進行するものの、領域的に見るとマカロフ海盆近傍では高塩分化が顕著になり、その主要因は水平移流拡散過程であり、GIN(Greenland, Iceland, and Norwegian)海およびバレンツ海を起源とする海水が海洋循環経路の変化に伴いマカロフ海盆に流入しやすくなることが重要であると示唆された。これらの研究成果をポスターおよび口頭で発表した。中解像度モデルの結果については、気候場の再現性を観測や低解像度モデルの結果と比較し、解析を継続している。 また、本研究と関連して、診断風応力で海氷運動量を制約した数値実験を実施・解析した。その結果、海氷場(速度、密接度、面積)が改善されただけでなく、海氷海洋間応力を介して太平洋側北極海表層の塩分躍層のバイアスが軽減されることがわかった。得られた研究成果を学会で発表し、論文投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的を達成するために、令和5年度に計画した水平解像度の異なる数値実験について、低解像度モデルを用いた数値実験は計画通りに実施することができた。実験結果を解析し、得られた研究成果を国内で開催されたJpGU2023(ポスター、日本語)と第38回北方圏国際シンポジウム(口頭、英語)で発表した。また、査読なしプロシーディングを公表し、査読付き論文への投稿に向けて原稿を執筆中である。 一方、中解像度モデルを用いた数値実験は約50年分終了し、観測や低解像度モデルの結果と比較解析を実施しているところである。また、本研究課題と関連する研究でも成果が得られた。 以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、主に4つの計画に従って研究を進める。 (1)令和5年度の研究成果に追加解析を加えて論文を投稿する。(2)低解像度モデルを用いて要因切り分けのための数値実験を行い、令和5年度に得られた結果と比較解析することにより、北極域内外の影響を評価する。(3)中解像度モデルの結果と比較解析を継続し、水平解像度の違いによる北極海内部構造の気候場形成プロセスを調べる。(4)(1)から(3)で得られる結果について学会等で発表する。
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