Project/Area Number |
23K11422
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63020:Radiation influence-related
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐藤 信也 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (70763754)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 原爆被爆者 / CHIP / 生活習慣病 / 遺伝子変異解析 / クローン性造血 / 悪性腫瘍 |
Outline of Research at the Start |
原爆放射線は白血病、骨髄異形成症候群(MDS)の発症リスクを上昇させる。近年、MDSなどの前病変としてClonal hematopoiesis of indeterminate significanceの存在が明らかとなり、健常人でのクローン性造血が注目されている。一方、クローン性造血により脳梗塞や粥状硬化性心血管疾患のリスクが増加することが報告されており、造血器腫瘍のみならず様々な生活習慣病との関連が示されている。本研究では原爆被爆者におけるクローン性造血と生活習慣病や造血器腫瘍を含めた悪性腫瘍との関連を解析し、原爆放射線によるクローン性造血が生活習慣病や悪性腫瘍に与える影響を解明する
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Outline of Annual Research Achievements |
近距離で被曝を受けた81名(被爆時20歳以下)の生活習慣に関する臨床データ(高血圧症、心血管疾患、脂質代謝異常、糖尿病、肝機能障害、腎機能障害、甲状腺機能異常、喫煙、飲酒)を収集した。また、コントロールとして非被爆者20名についても同様の臨床データを収集した。被爆者の男女比は24:57、検体採取時年齢の中央値は72歳(63-83)、被爆距離の中央値は0.9km(0.3-0.9)であった。非被爆者の男女比は11:9、検体採取時年齢の中央値は70歳(63-80)であった。 生活習慣病の合併頻度について被爆者と非被爆者で比較すると、被爆者で心血管疾患(p-value: 1.459e-05、odds ratio: 13.458)の合併が多く、糖尿病(p-value: 0.0391、odds ratio: 0.262)や腎機能障害(p-value: 0.00014、odds ratio: 0.0271)の合併は非被爆者が多い結果となった。高血圧(p-value:0.307、odds ratio:1.793)は被爆者で多い傾向を認めたが、脂質代謝異常や肝機能障害、甲状腺機能異常については両群で有意差を認めなかった(Fisher’s exact test)。 現在、得られた解析結果と遺伝子変異の関連(変異数、変異の種類、アレル頻度、変異の機能、コピー数変異)について解析を行っている。また、末梢血サンプルを収集済みの被爆者について臨床情報のデータベース化を終了しており、今後、被爆者の末梢血サンプルからgenomic DNAを抽出予定である。その後、次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンス解析、コピー数解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データベース化されていなかった被爆者の収集済み臨床情報(被爆時年齢、被曝距離、急性期症状などの被爆時の状況、喫煙・飲酒などの生活歴、既往歴、検査結果などの臨床情報)のデータベース化が終了した。現在、それらの症例の末梢血のサンプルから QIAamp DNA Blood Mini Kit(QIAGEN)を用いて genomic DNA を抽出しており、次世代シーケンサーによる全エクソンシーケンス解析、コピー数解析を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は当初の計画通り、収集した臨床検体を用い、次世代シーケンスを用いて以下の2つの解析を行うことで、血液学的に健常な被爆者のクローン性造血を明らかにする。 ① 全エクソンシーケンスによる遺伝子変異およびアレル頻度の同定。 次世代シーケンサーの登場により遺伝子変異解析が飛躍的に進み、血液学的に健康人や非被爆者MDSが有する遺伝子異常の全体像が明らかとなってきている。本研究では全エクソンシーケンスを実施してCHIPに多いとされる、DNMT3A、TET2、ASXL1などエピゲノムに関与する遺伝子異常などとともに解析を実施する。 ② SNPアレイを用いたコピー数解析。 近距離被爆者では被ばく後長期にわたって、末梢血球に染色体異常が同定されることが報告されている。こうした変化はターゲットシーケンスでは捉えることが困難なため、残余DNA検体を用いてSNPアレイ解析を行い、ゲノムの構造変化についてもその有無を検討する。
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