Project/Area Number |
23K11439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 63030:Chemical substance influence on environment-related
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
山崎 正博 星薬科大学, 薬学部, 教授 (80328921)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 臭素化難燃剤 / TBBP-A / 褐色脂肪組織 / 脂肪組織 / 慢性炎症 / ケトン体 |
Outline of Research at the Start |
本研究課題は、臭素化難燃剤TBBP-Aの環境汚染物質としての可能性を、作用機序と共に培養細胞と動物実験を通して明らかにすることを目的としている。動物実験では、TBBP-A投与の影響を白色脂肪組織・褐色脂肪組織を中心に検討し、それに対する運動や肥満の効果を比較する。培養細胞では、脂肪細胞で動物実験との比較を、マクロファージ細胞で炎症応答とその作用機序を明確にするための遺伝子導入実験を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
臭化難燃剤が、我々の見出したケトン体利用酵素-アセトアセチルCoA合成酵素(AACS)を介した代謝経路に与える影響を明らかとするために、2023年度はまず褐色脂肪組織の初代培養細胞系および食事性肥満モデルの構築と、それらを用いたケトン体代謝への影響を検討した。4週齢のddYマウスにHFDまたは高ショ糖食(HSD)を12週間摂取させたところ、HFD群のBATではAACS、アセチル-CoAカルボキシラーゼ-1(Acc-1)、脂肪酸合成酵素(Fas)の有意な発現低下が観察されたが、HSD群では発現に影響はなかった。褐色脂肪組織由来の初代培養細胞を用いた解析では、イソプロテレノール24時間投与により、AacsとFasの発現低下が認められた。さらに、siRNAによるAacsの抑制は、FasとAcc-1の発現を著しく低下させたが、uncoupling protein-1(UCP-1)などの発現には影響を与えなかった。これらの結果から、HFDはBATにおける脂肪生成のためのケトン体利用を抑制する可能性があり、AACS遺伝子の発現はBATにおける脂肪酸合成を制御するために重要である可能性が示唆された。 TBBP-Aが培養白色脂肪細胞に与えるベージュ化の影響を踏まえると、これらの結果は本邦で使用されている臭化難燃剤TBBP-AがAACSを介して脂肪酸合成の制御を乱す可能性を示唆している。 なお、本研究結果は、2023にMetabolites誌にて報告した(M. Yamasaki et al., High-Fat-Diet Suppressed Ketone Body Utilization for Lipogenic Pathway in Brown Adipose Tissues, Metabolites, 13 (4), 519. (2023))
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請者の所属研究室異動の影響で、予定していたモデル動物を用いた実験に遅れが出ている。この件については、2024年度に現在所属している薬学教育研究部門での薬物投与に関する動物実験申請を改めて行い、実験を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
CRISPER-CAS9システムによるAACS欠損マウスについては、雌雄の出生率に大きな偏りがあり、出生総数自体も少ないため、検討に必要な雄マウスの頭数を確保できていない。これを受けて、2023年度に新たにin vitro実験系による評価系の確立を目指し、褐色脂肪組織初代培養系におけるsiRNAによるAACSノックダウン実験系の確率に成功した。2024年度以降は、本系をもってTBBP-Aの影響検討を進めていく。 また、動物実験系においてはTBBP-Aの食餌への混入が想定より困難であり、成分に偏りが生じることに由来する摂食不良が予想された。そのため、当初予定していたコーン油を用いた浸透法でなく、飲料水を介した直接投与など複数の投与法を試行する。 以上のように、2024年度は、初代培養系を用いたケトン体利用経路抑制とTBBP-Aの関係性の検証と、臭化難燃剤の投与実験系を確立することを中心に実験を遂行する。
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