Project/Area Number |
23K11458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64010:Environmental load and risk assessment-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
遠藤 暁 広島大学, 先進理工系科学研究科(工), 教授 (90243609)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 原子爆弾 / 黒い雨 / フォールアウト / 熔融粒子 / PIXE / Cs-137 / 被爆遺構 / 広島 / 溶融粒子 / 広島原爆 |
Outline of Research at the Start |
1970年代から黒い雨に関わる研究が多数行われてきたが、実測による黒い雨の降雨地域の確認はできなかった。2019年Wainnier等は、広島湾元宇品の海岸で採取した砂の中からSi、O、Feを含む球状粒子を単離し、広島原爆由来であると報告しているが、この溶融粒子を抽出してGe測定、SEM-EDS分精機を実施したが、広島原爆由来の証拠は得られなかった。 黒い雨の降雨が確認されている土壌(平和公園被爆遺構、己斐城跡)を用いて、土壌から溶融粒子してその性状を明らかにすることで、広島原爆由来であるのか否かを検討し、溶融粒子が黒い雨降雨の指標となるか否かを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2021年、中央公園広場エリアの効果的なにぎわい機能を導入する中央公園広場エリア等整備・管理運営事業が進めらた。その一環として、サッカースタジアム建設を目指す工事中に、中央公園広場において旧陸軍の輸送部隊(中国軍管区輜重兵補充隊施設)の被爆遺構が発見された。その遺構は、中央公園のグラウンド地表面からおよそ1-1.5 m地下にあり、原爆被ばく後、およそ1 m程度の覆土を行ったことと矛盾が無い。この遺構において、発掘作業地点の法面で土壌コアの採取を実施した。 土壌の層が観察される地点の法面4地点(CP2、CP4、CP9、CP10)で30㎝コアを採取した。この土壌コアを深さ2㎝ごとに切り分け、自然乾燥後小石等を取り除き、U9容器に封入し、Ge検出器によりγ線分析を実施した。CP2では、13-15層目に4m Bq/gのCs-137が検出された。同様にCP4では1-5層目に、CP10では、5-7層目に5m Bq/gのCs-137が検出された。Cs-137が検出された深さ以外では、バックグラウンド程度であった。法面の地表面からの深さはおよそ1 mであることと原爆被曝後に1 m程度の覆土を行った事実から、検出されたCs-137は原爆からのクローズドインフォールアウトと考えられる。CP9の土壌は、Cs-137に深さに依存した構造は見られず、発掘作業の際にかく乱されたものと考えられた。 各土壌試料中の熔融粒子と考えられる粒子数をデジタル顕微鏡で計数した。その結果、計数された粒子数は、Cs-137濃度の深さ依存性に類似したプロファイルを示した。CP10の試料において、各深さの粒子数とCs-137濃度の値の相関係数を算出したところ、高い相関係数を示した。抽出した熔融粒子のイメージングプレート測定及び量研機構マイクロPIXE分析を実施し、現在解析進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、土壌のGe測定によるCs-137の定量は終了している。更に熔融粒子の抽出を行い粒子数とCs-137濃度の相関を解析を行った。また、PIXE分析を実施し、現在解析中である。 更に、新しい試料として長崎医科大学遺構において土壌採取を実施し現在、Ge検出器により測定中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度長崎医科大学遺構において採取した土壌のGe測定及びイメージングプレート測定を実施するとともに、PIXE分析を行い、広島旧陸軍遺構の測定結果と比較考察する。長崎では、西山地区などでCs-137やPu-239のフォールアウトが確認されていることから、長崎医科大学遺構土壌中の熔融粒子には、Cs-137が含まれていることが期待される。熔融粒子のCs-137が確認できれば、崎医科大学遺構と広島旧陸軍遺構の熔融粒子の比較により旧陸軍遺構の熔融粒子が原爆由来である可能性を議論できると考える。
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