Project/Area Number |
23K11494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64030:Environmental materials and recycle technology-related
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
佐藤 伸 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (60467438)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | ゴム / キノコ / 分解 / 木材腐朽菌 / 加硫ゴム / 再資源化 |
Outline of Research at the Start |
ゴム原料を100%輸入に頼るわが国にとって、廃ゴムのマテリアルリサイクルは重要で ある。申請者は加硫天然ゴム分解キノコである木材腐朽菌シハイタケを自然界から見出した。この菌は培養中に加硫ゴム表面形態の変化、ゴム中炭酸カルシウムの脱離、ゴム架橋点のスルフィド結合を変化させ、加硫ゴムの物性を低下させる。しかし、シハイタケの分泌成分のうち、何が化学結合や成分脱離に作用して、結果的にゴムの物性低下を引き起こすのか、メカニズムは不明のままである。 本研究では、シハイタケの分泌成分の中からゴムの物性低下に関与する物質を特定し、廃ゴムの再資源化を可能にする生物化学処理技術を開発することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
代表研究者はこれまでに、鳥取県内の森林から加硫ゴムシートを分解するキノコを単離した。このキノコは分子系統解析と形態分類から、木材腐朽菌の仲間であるTrichaptum属の2種である、シハイタケ(Trichaptum abietinum)、ならびにハカワラタケ(Trichaptum biforme)であることが特定された。これら2種類のキノコは、市販の加硫ゴムシートに作用し、培養3か月でゴム表面の亀裂と化学結合の酸化的な修飾、物理的な引張強度の低下をもたらした。また、菌処理後に加硫ゴム成分である炭酸カルシウム、カーボンブラックが減少した一方、ポリマー成分であるゴムそのものほとんど減少しないことが明らかとなった。これらの加硫ゴムに対するゴム分解キノコの特徴は、ゴムポリマー鎖の酸化的切断を主とするゴム分解バクテリアとは異なるメカニズムで分解を引き起こしていることが推察された。ゴム分解キノコは、加硫ゴムにアタックし、時間をかけて分解していく過程の中で、培地中にさまざまな代謝物を分泌し、これらが加硫ゴムシートの表面から作用して、表面形態や化学構造を変化させるだけでなく、内部にも浸透して架橋構造を変化させるものと考えられる。 本研究では、加硫ゴム分解キノコであるシハイタケやハカワラタケが分泌する、加硫ゴムの成分脱離や物理的な引張強度の低下を引き起こす成分の機能や構造を明らかにするとともに、ゴム分解キノコの分泌成分を用いたゴム再資源化プロセス構築についても検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゴム分解菌の一つであるシハイタケ(Trichaptum abietinum)の木粉培地から培養分泌成分を回収し、その分画を進めている。 シハイタケ培地成分全抽出液に加硫ゴムを浸し、しばらくインキュベートしてみたが、ゴムの物性には全く変化がなかった。しかし、代表研究者が発見している、ゴムを軟化させる試薬混合液にシハイタケの全分泌成分を添加し、この溶液に加硫ゴムシートを浸して20時間インキュベートすると、加硫ゴムの物性が軟化試薬のみの時よりも、軟化が加速されることが確かめられた。現在、シハイタケ由来の加硫ゴム軟化促進物質の特定を行なっている。 加硫ゴムの軟化促進作用はゴムの再資源化プロセスに有効である。加硫ゴムを再資源化する時には、ほとんどの場合、ゴム材料を物理的に粉砕し、粉末原料にする必要がある。固体の加硫ゴムは、機械的に簡単に粉々になるプラスチックとは異なり、弾性体であるために特殊な粉砕工程や機械を要する。また粉砕に関わるコストもプラスチックとは異なる。ゴム分解キノコが分泌する代謝成分を介して固形加硫ゴムを劇的に軟化できれば、ゴムの再資源化が大きく進展することが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
シハイタケの培地分泌成分中の加硫ゴム軟化促進物質を特定するため、菌の培養による成分の大量取得と、目的成分の分画と精製を進める。酵素タンパク質、ペプチド、有機酸などにターゲットを設定し、各成分ごとに分画、精製方法を試す。そこから得られるいくつかの画分と、ゴム軟化試薬を混合し、その溶液に加硫ゴムを添加して、20時間インキュベート後の加硫ゴムの引張強度試験から、ゴムの軟化を加速させる成分を探していく。また、菌の分泌成分によって促進される加硫ゴムの軟化について、軟化条件の検討も行う。
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