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シカくくりワナ増加がもたらすツキノワグマの肉食化と錯誤捕獲の増加

Research Project

Project/Area Number 23K11513
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Allocation TypeMulti-year Fund
Section一般
Review Section Basic Section 64040:Social-ecological systems-related
Research InstitutionForest Research and Management Organization

Principal Investigator

中下 留美子  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (00457839)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山本 俊昭  日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (30409255)
瀧井 暁子  信州大学, 先鋭領域融合研究群山岳科学研究拠点, 助教(特定雇用) (00792607)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Project Status Granted (Fiscal Year 2023)
Budget Amount *help
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Keywordsツキノワグマ / 錯誤捕獲 / くくりワナ / ニホンジカ / 安定同位体比 / 食性
Outline of Research at the Start

近年、くくりワナによるツキノワグマの錯誤捕獲が増加している。その原因の一つにくくりワナによるシカ捕獲数増加があり、シカ増加による新たな問題が生じている。さらに最近、くくりワナにかかったシカに餌付くクマの報告例が増え、クマがシカを食物資源として認識し始めたと考えられる。繰り返し錯誤捕獲される個体も増えており、シカくくりワナの増加がクマの肉食化を進め、クマの肉食化がさらにクマの錯誤捕獲を誘発する、という悪循環が起きている可能性がある。本研究は、錯誤捕獲個体の食性を調べて個体ごとにシカ利用度を明らかにすることにより、シカくくりワナ増加がクマの生態に与えているインパクトを検証する。

Outline of Annual Research Achievements

近年、シカ、イノシシは全国で分布を拡大し、個体数が増加し、農林業被害も増加しているため、国は「抜本的な鳥獣捕獲強化対策」を推進してきた。そのため,ワナによる捕獲増加に伴い、錯誤捕獲(目的としない種の捕獲)が増加している。なかでもツキノワグマは多くの地域でシカ、イノシシと生息域が重複しており、クマの錯誤捕獲の増加が問題となっている。クマの錯誤捕獲は個体へのダメージだけでなく、捕獲従事者や近隣住民への安全上のリスクも懸念される。しかし、その実態についての報告はほとんどない。さらに最近、くくりワナにかかったシカに餌付くクマの報告例が増え、クマがシカを食物資源として認識し始めた可能性がある。繰り返し錯誤捕獲される個体もおり、くくりワナ増加がクマの肉食化を進め、クマの肉食化がさらにクマの錯誤捕獲を誘発する、という悪循環が起き始めているかもしれない。本研究は、くくりワナ増加によって、今起きていると考えられるツキノワグマの生態へのインパクトを明らかにするため、(1)ツキノワグマ錯誤捕獲個体の個体毎の食性を調べる.特にシカ利用度を精度良く検出する手法を確立する。(2)錯誤捕獲されたツキノワグマについて、個体毎のシカ利用度を調べる。(3)シカくくりワナ増加により、クマのシカ利用が増加しているか(クマが肉食化しているか)を検証する.さらに(4)肉食したクマは錯誤捕獲されやすいのかを検証する。(1)~(4)により、ツキノワグマ錯誤捕獲の実態解明と科学的根拠に基づく錯誤捕獲防止対策に寄与することを目的としている。初年度は調査対象地域で新規の試料収集を進めると共に、すでに保有しているツキノワグマ体毛試料の安定同位体比分析を進めた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

近年増加しているくくりワナによるツキノワグマの錯誤捕獲の実態を明らかにし、シカくくりワナ増加がクマの生態に与えているインパクトを解明することを目的として、錯誤捕獲個体の食性について個体毎にシカ利用度を明らかにすることで、ツキノワグマの肉食化と錯誤捕獲増加について検証すること目標としている。初年度は、設定した2つの調査対象地域(長野県伊那市周辺および軽井沢周辺)において、ツキノワグマ錯誤捕獲個体の個体ごとの食性を明らかにするために、伊那市周辺の錯誤捕獲個体については2023年度に新たに採取した体毛の、軽井沢周辺の錯誤捕獲個体については過去に採取した体毛の炭素・窒素安定同位体比分析を行った。分析結果は現在取りまとめ中である。また、クマのシカ利用度を精度よく検出する手法を開発するため、脂肪酸分析およびDNAメタバーコーディングの分析体制を整えると共に、必要な試料(捕獲個体の体組織や糞、胃内容物等)の収集を行った。これらの試料は死亡個体が必要であるが、今年度は調査対象地において死亡個体が少なかったため、次年度以降も試料採取を継続する予定である。

Strategy for Future Research Activity

ツキノワグマ錯誤捕獲個体の体毛の炭素・窒素安定同位体比分析を進めて個体毎の食性を明らかにしていくと共に、クマのシカ利用度を精度よく検出する手法の開発のために必要な試料(死亡個体の筋肉などの体組織や糞、胃内容物等)を収集する。死亡個体の胃内容物や糞を収集し、その内容物分析およびメタバーコーディングを実施し、確実にシカを利用していたツキノワグマ個体を選定する。選定したシカ利用個体について、筋肉など脂肪酸(バクセン酸)を分析し、炭素・窒素安定同位体比の値と比較する。それらの結果を用いて、シカ利用個体のとりうる炭素・窒素安定同位体比の値を算出することで、個体毎のシカ利用度を明らかにする手法を確立する。その手法を炭素・窒素安定同位体比分析を行った個体に適用し、個体毎の食性およびシカ利用度を明らかにしていく。それらの結果を2つの調査対象地域で比較し、くくりワナの影響を検討する。

Report

(1 results)
  • 2023 Research-status Report
  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] シカ・イノシシわな増加がもたらすツキノワグマ錯誤捕獲の問題2024

    • Author(s)
      中下留美子
    • Journal Title

      森林技術

      Volume: 982 Pages: 12-15

    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Journal Article] 安定同位体比分析による長野県伊那市で錯誤捕獲されたツキノワグマの食性解析2023

    • Author(s)
      中下留美子、瀧井暁子、泉山茂之、岸元良輔、黒江美紗子
    • Journal Title

      長野県環境保全研究所報告

      Volume: 19 Pages: 9-15

    • Related Report
      2023 Research-status Report
    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] ツキノワグマの出没理由を探る-体毛から読みとるクマの食性履歴2023

    • Author(s)
      中下留美子
    • Journal Title

      生物資源

      Volume: 17 Pages: 2-13

    • Related Report
      2023 Research-status Report
  • [Presentation] ツキノワグマの体毛に記録された食性履歴の季節変化とGPSテレメトリーによるトウモロコシ畑利用の比較2023

    • Author(s)
      中下留美子、瀧井暁子、泉山茂之
    • Organizer
      日本哺乳類学会2023年度大会
    • Related Report
      2023 Research-status Report

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Published: 2023-04-13   Modified: 2024-12-25  

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