Project/Area Number |
23K11527
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64060:Environmental policy and social systems-related
|
Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
三島 望 秋田大学, 理工学研究科, 教授 (00358087)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 渉 秋田大学, 理工学研究科, 講師 (70241669)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 洋上風力発電 / 風車配列 / 視覚の誘導場 / 実験計画法 / 交互作用 / 視覚誘導場 / 景観評価 / テクノスケープ |
Outline of Research at the Start |
本研究で実施することは,洋上風力発電に対する忌避反応のうち“景観の悪化”に起因する心理的反応の定量化である.定量化,特徴量の抽出を誘導場解析とAHP法の2つの手段により行い,その相関を明らかにすることにより,居住者にとって“景観の悪化”を極力感じさせない洋上風車の配置を明らかにする.また,この心理的反応が居住者と訪問者でどのように異なるかを解明することを目指す.実際に風力発電事業としての実現可能性を検証するため,後流の影響など流体工学的な視点からの確認を行い,性能悪化が無いことも確認する.以上が,本研究により明らかにしようとすることである.
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては,洋上風力発電における合意形成の阻害要因としての”景観の悪化”に着目し,どのような風車配列が観測者にとって気持ちが良く,またその配列の数値的特徴がどのようなものであるかを解明することを目的としている. 今年度は,以前実施した風力発電に対する5つの主要な忌避要因のうち”景観の悪化”に着目したうえで,抽象化した風車配列に対する観測者の選好と,視覚の誘導場理論に基づいて抽出した画像の数値的特徴との相関を分析した.規則性のある風車配列画像1種類と不規則な画像3種類とを対象に分析した結果,規則性のある画像のほうが視覚の誘導場強度の面積分値が低いことが計算上明らかになった.また規則性のある画像が観測者の選好度が高いことも同様に確認された.両方の分析結果の単純相関を計算したところ,中程度の負の相関がみられ,規則性のある画像が好まれるという事実と,規則性のある画像が視覚刺激の総和が低いことが明らかになった.この結果が一般化できるかはより多様な画像を分析し,常に負の相関がみられるかを検討する必要があるものの,当初想定したとおりの結果が得られたことから,研究の方向性が間違っていなかったことが確認できた. その他の取り組みとして,様々な風車配列の観測者の選好が立地の背景,前景とどのような交互作用が見られるか実験計画法により調査を行った.400例程度のインターネット調査から,風車配列と前景・背景,背景・前景と観測時間帯の間には交互作用が働かないことが示された.一方,風車配列と観測時間帯の間には交互作用が見られ,1日の時間帯によって観測者に好まれる風車配列が異なるということが示された.また,回答者の属性によって評価の傾向が変化することも確認できた.これらの結果の詳細な分析は次年度の課題となる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
規則性のある風車配列と規則性の無い風車配列との比較では前者が観測者の選好が高いことは当然としても,視覚の誘導場理論に基づいても前者の誘導場強度の総和が低く,したがって誘導場強度と観測者の選好に負の相関がみられたことは当初の想定通りであった.結果そのものもそうだが,本研究で導入した手法の有効性が確認できたことを意味し,順調に進展していると言って良い.ただし,居住者の選好と非居住者の選好の違いを明らかにすることも目標としているが,必ずしも充分な居住者のデータが得られなかったこともあり,今後の課題となる. 一方, その他の研究要素として4種類(単独,一列,二列,V字)の風車配列,5種類の背景・前景(海辺,道路,工場地帯,山岳,住宅地),3種類(朝,夕,夜間)の組み合わせによる仮想の風力発電所画像を作成し,実験計画法を用いて観測者の選好に対する影響要因を調査した.調査の結果,属性のうちでは,風車配列が観測者の選好に最も強く影響することが確認できた.また属性間の交互作用の有無を分析した結果,3種類の属性間では,風車配列と観測時間帯の間にのみ交互作用が働くことが示された.詳細な分析は今後に譲るものの,この調査は当初の予定から積み上げ分と考えられ,想定以上に進展している部分である.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は以下の3つの研究要素について着実に進めて行く. 1.視覚の誘導場理論に基づく,様々な風車配列の数値的特徴抽出と観測者の感性評価結果との相関の解明:本研究課題の中核的課題であり,初年度にも実施した.2年度目には単純な規則性の有無だけでなく,中間的な特徴を有する画像も含めて,より多様な風車配列画像を準備し,誘導場強度を計算する.また,これらの画像に対する感性評価も実施し,その相関を精度よく計算する.これにより,両者の相関に対して信頼性の高い結果を得る. 2.風力発電所における風車配列,立地の背景・前景,観測時間帯の3属性の観測者の選好に対する影響と属性間の交互作用の解明:今年度実験計画法を用いて行った調査結果をより深堀して分析する.今年度は平均値分析のみを実施したが,来年度は分散分析も行い,どの属性が観測者の反応の差が大きいかなどを分析する.また,回答者の属性による違いを分析する. 3.環境問題,社会的課題,経済波及効果などを含むその他の課題に対する居住者/非居住者の反応と,風力発電の受容性との相関の解明:今年度は様々な環境問題,その他の社会課題,偶力発電に対するポジティブ/ネガティブな印象,風力発電の受容性などに対する調査を行い,初期の分析を行ったが,来年度はさらに詳細な分析を行う.具体的には,風力発電の受容性を従属変数,その他の様々な問題に対する関心の度合いを独立変数として重相関を計算し,どのような要素が風力発電の受容性と正の相関を有するか,またどのような要素が負の相関を有するかを分析する.これにより,洋上風力発電の社会受容性を向上させ,事業に対する合意形成を図るために重要な知見が得られるものと期待している.
|