Project/Area Number |
23K11550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 64060:Environmental policy and social systems-related
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Research Institution | Osaka Ohtani University |
Principal Investigator |
井上 美智子 大阪大谷大学, 教育学部, 教授 (80269919)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
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Keywords | 環境教育 / 保育 / こども園 / 保育者 / 田んぼ / ビオトープ / 生態学的自然観 / 保育者研修 / 幼児 |
Outline of Research at the Start |
「生態学的自然観」を育てるために行う保育実践が子ども及び保育者の変容に有効かどうかを確かめることを目的として、まず、10年以上幼児期の環境教育を実践してきたこども園の卒園児とその保護者対象に質問紙調査を行い、園での経験の記憶や自身への影響の自覚等について調べる。また、環境教育に初めて取り組む園で「生態学的自然観」を意識した保育実践や保育者研修を繰り返す中で保育者がどのように変容するかを明らかにする。楽しい自然体験を超えて「生態学的自然観」を意識する取り組みが実際に子どもや保育者を変容させることを確認し、その内容をふまえて、今後、保育現場で行う実践モデルとして実現可能な研修や活動を提案する。
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Outline of Annual Research Achievements |
「幼児期の環境教育普及に資する理論構築とそれに基づく具体的実践の提案」という究極目標下で、乳幼児期からの「生態学的自然観」の形成を意図した保育実践が子どもや保育者をどのように変容させるかを明らかにする。具体的には生態学的自然観の形成につながる保育実践を継続してきたこども園の過去20年間の卒園児対象に質問紙調査を行うことと、初めて環境教育に取り組むこども園で生態学的自然観の形成につながる保育として田んぼビオトープでの活動を軸にした実践と保育者に向けた園内研修を自然観形成に焦点を当てて継続的に実施することで保育者の変容を分析する。 2023年度は、上記の目的の下、田んぼ保育に関わる保育者の自然観察力を高めるために園庭の観察を年齢ごとの担任対象とした少人数研修を企画し、計5回の勉強会を実施し、日常保育に使っている園庭において小動物の観察等を実施した。また、トロ船による稲作を5歳児対象に実践し、保育者との振り返り研修を通して環境教育としての子どもの観察や援助のあり方を助言し、実践に反映されているかどうかを確認した。5歳児担任は田んぼ保育が初めての保育者であったが、コメの収穫が目的ではなく、田んぼという人間の生活に密接なコメを作る場においても多様な生物が利用し、園庭のビオトープとは違う自然が見られることに気付き、それをドキュメンテーションに反映する姿が見られた。また、そのためには子どもの様子を観察したり、声を聞き取ることなどの重要性に気付き、保育を環境教育の観点から発展させる実践へとつないでいく姿が見られた。また、保育環境の充実として稲作や田んぼに関わる生き物の図鑑や絵本を購入し、保育室に設置した。それにより子どもが仲間同士で学ぼうとしたり、自身の経験を確認しようとする姿が見られるようになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究の初年度であるため、トロ船を利用して稲作を実践した。具体的には5月初めの種籾の浸種、5月末の田土の確認と泥遊び、6月初めの田植え、その後の観察、10月の稲刈り、11月の脱穀、手や道具によるもみすり、できた玄米を白米と共に炊飯し昼食のご飯とし、わらについて昔の生活について学んだ後にわら細工としてわらを使った人形作りを体験し、家庭でスーパーの米売り場の探索を経験してもらい、年度末には種籾を4歳児に受け渡し稲作について説明する引き継ぎ式を行った。さらに、2024年度に向けてはより本物の田んぼに近いミニ田んぼの造成を計画した。実際の田んぼでの実践は5月から準備が必要となるため、必要な田んぼ作りの基本造成を2023年度末の冬期に実施した。2024年度は防水を確認し、問題がなければ、トロ船でなくミニ田んぼでの稲作を予定している。保育者の自然への関心をより高めるための園庭における自然観察の研修会では日頃使い慣れた園庭でも新たな自然への気づきが得られることを実感してもらった。また、田んぼ保育についても専門家や地域の歴史文化館の協力を得ながら、保育者及び子どもの学びを深めた。 質問紙調査については、対象園のうちの一つと実施方法や実施内容について協議を重ね、基本の質問内容及び実施計画を作り上げた。
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Strategy for Future Research Activity |
田んぼビオトープに関しては、2024年度がミニ田んぼにおける稲作の初年度となるが、田んぼの状況を確認しながら、保育を実践していく予定である。2024年度の対象保育者の一人は昨年度から継続担当のため2年連続の実践となる。基本的な流れの理解ができているため、保育としてより発展的な動きが期待できる。年間を通した一つのプロジェクトとしての活動が深まるよう助言を実施する予定である。田んぼ保育の専門家や地域の歴史文化館の学芸員からの学びが豊かになるよう支援する。ミニ田んぼについては、稲作を行う上で造成上の問題がないかの確認をしながら、ビオトープ施工の専門家の助言の下保守管理を行い、ビオトープとしての質が豊かになるよう緑被を進めていく。 質問紙調査については、2023年度に協力園と共に作成した質問紙の素案や実施計画を他の2園にも共有して実施可能性を探る。いずれも環境教育の観点からの保育実践に10年以上取り組んできた園であるため、対象園としたいと考えているが、卒園児調査は住所情報の扱いになるため、協力が得られるかどうかが園の判断に委ねられること、また、他方の実施園では既に地域における園の統廃合が進んでいるため、卒園児調査がどの程度可能かが不明である。2024年度前半はそれらの対象2園とのやりとりをしながら実現可能性を探り、既に実施許可を得ている協力園における実施を念頭に、他園での調査も可能な限り実現させていきたい。
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