Project/Area Number |
23K11629
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
庄子 真岐 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (40587903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
初澤 敏生 福島大学, 人間発達文化学類, 教授 (10211476)
泰松 範行 東洋学園大学, グローバル・コミュニケーション学部, 教授 (20433683)
丸岡 泰 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (30306071)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 東日本大震災 / 災害伝承施設 / 観光まちづくり / 災害論 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、観光学における「災害論」について理論的な考察を行うとともに、災害伝承施設に関する観光学的な側面からの理論的検討を行う。この2つの理論に基づいていくつかの中心的な災害伝承施設を調査し、その課題について①観光学の側面からの理論的検討、②資料収集・展示・ミュージアムマネジメントの側面からの検討、③インバウンド対応・海外への情報発信の側面からの検討、④観光まちづくりの側面からの検討を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災後、被災地では各地に震災の教訓の伝承を目的とした伝承施設が建設されてきたが、伝承施設の位置付けや施設運営における検証方法は曖昧である。そこで、本研究では、東日本大震災後に整備された災害伝承施設の評価視点を確立し、観光まちづくりに果たす役割を踏まえ、地域振興拠点としての施設のあり方を明らかにすることを目的とした。初年度は、災害伝承施設を分析するための視点を確立することを目的に災害伝承施設の評価に関する議論および地域振興拠点としての施設の役割を考える上では定点でなく動的に捉える必要があるとし、災害伝承施設の持続性に関する議論についての論点整理を行なった。 災害伝承施設の評価については、訪問者の視点から具体的な訪問プログラム開発を念頭に論点を精査した。論点の精査にあたっては、実際の教育プログラム実施者や観光研究を行う研究者と共同して進め、災害伝承施設の教育的価値を理解しどのように教育旅行に盛り込むか、復興ツーリズムの対象となる災害伝承施設をどのような目的で利用するか、また提供側はどこまでその点に留意して提供できるかについて検証を行った。 災害伝承施設の持続性については、災害伝承施設の整備前、整備後の導入期、整備後ある一定の時間が経過した成熟期と3区分した上でその論点を精査した。論点の精査にあたっては、整備前、導入期については、東日本大震災で整備された施設を中心とし、成熟期については阪神淡路大震災で整備された施設を対象として、先行研究の整理および施設運営に関わる方へのインタビュー調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
災害伝承施設を分析するための視点を確立することを目的に災害伝承施設の評価に関する議論および災害伝承施設の持続性に関する議論についての論点整理を行なった。 災害伝承施設の評価については、災害伝承施設を訪問する復興ツーリズムついて、訪問者の視点から検討を行っている。具体的には、該当する内容に関する先行研究の整理を行った。この中で訪問地ではなく訪問者の立場からの検証は研究の余地が多分にあると捉えており、中でも教育機関では積極的に訪問を行っていることから、具体的な検証が必要と考えている。そこで、どのような形での訪問が試みられているかについて先行研究から論点を見出し、実際のプログラムとの兼ね合いからあらためて論点整理を行った。また、復興ツーリズムの具体的なプログラム開発の視点から検討を進めた。 災害伝承施設の持続性については、調査する視点を災害伝承施設の整備前、整備後の導入期、整備後ある一定の時間が経過した成熟期と3区分した上で先行研究および施設運営に関わる方へのインタビュー調査より精査した。調査の結果、①設置目的、展示内容、利用実態、学習効果から東日本大震災に関して整備された多くの施設を類型化すること②被災者感情変化に対応できる施設設計とすること③利用実態から来館者ニーズを把握し展示内容を変化させること④来館者数の推移を予測し維持管理計画を立てること⑤語り部活動における世代交代の仕組みを構築すること⑥税負担に対する市民理解への活動を展開すること⑦施設の役割や価値の見える化を図ることの7点が施設を持続的に存続させるために必要な視点として整理することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
精査された災害伝承施設の評価および持続性に関する論点に基づいて、以下の通り、調査、分析を進めていく。 東日本大震災に関して整備された災害伝承施設を対象に設置目的、展示内容、利用実態、学習効果から類型化を試みる。類型化されたグループごとに施設を抽出し、施設の持続性について検証していく。 災害伝承施設が地域振興拠点としての役割を検討する。各施設が立地する地域のまちづくりにおいてどのように位置付けられているのか、中長期的にどのような活用が想定されているのかを明らかにしていく。 市民にとっての災害伝承施設の価値を検証する。災害伝承施設が地域振興拠点として機能するためには、施設に対する市民理解が欠かせない。市民理解を促すためには、災害伝承施設の価値の見える化が求められている。従って、検証に当たっては、利用価値(学び、記憶の場としての価値、交流価値など)のみならず、非利用価値(オプション価値、存在価値など)についても検討を加えたい。 地域内外の訪問者にとっての災害伝承施設の価値として、教育旅行やPBL型授業のなかで本施設が果たせる役割を検討していく。対象施設としては、岩手、宮城、福島の各県に建設された県が管理する伝承施設と、特徴的な展示を行う宮城県気仙沼市のリアスアーク美術館、それに東日本大震災メモリアル施設の連合体である「3.11伝承ロード」に参画する第三種施設(有人施設)の中から2施設程度を加える。具体的には、各施設が展開する教育プログラムに着眼し、教育効果の見える化や段階的な深い学びの提供方法について検証する。 以上の分析・検証をもとに、災害伝承施設の評価と伝承施設を核とした観光まちづくりのあり方を示す。
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