Project/Area Number |
23K11653
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80020:Tourism studies-related
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Research Institution | Dokkyo University |
Principal Investigator |
須永 和博 獨協大学, 外国語学部, 教授 (70550002)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | レジリエンス / コモンズ / 創造性 / タイ / 先住・少数民族 / ポストコロナ / コミュニティ・ベースド・ツーリズム |
Outline of Research at the Start |
新型コロナウィルスのパンデミックを背景に、一部の先住・少数民族社会で は、伝統的生業・文化への関心が高まり、都市部で就労していた若者が出身村へ帰還するといった現象が生まれている。本研究では、タイ国の山地少数・先住民族社会を事例に、人々がポストコロナ時代の生のあり方をいかにデザインしようとしているのか、CBT(コミュニティ・ベースド・ツーリズム)の新たな動向に着目しながら明らかにする。その上で、「第四世界」的状況に生きる人々が、自律的かつ持続可能な生活空間を再構築していく際に、CBTはいかなる貢献をしうるのか、「共 =コモン」の潜在力に着目しながら、その可能性や課題について検討していきたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タイ国の山地先住・少数民族(以下、山地民)の人々が、コロナ下の現実にどのように向き合い、ポストコロナ時代の生のあり方をいかにデザインしようとしているのか、彼(女)らが取り組む自律的かつ持続可能な生活空間の創造の新たな動向について、レジリエンスやコモンズといった視点から考察することを目的としている。 初年度となる2023年度は、夏季休業中に2週間程度、タイ北部チェンマイ県、メーホンソン県にて広域調査を実施し、今後の調査対象地域の選定などを行った。具体的には、北タイ山地民社会におけるコミュニティ・ベースド・ツーリズム(CBT)の近況を理解すべく、1) ポストコロナという社会状況、2) 新たなアクターの若年層の関わりといった観点から、先駆的な取り組みを行っていると思われる地域を訪問した。またメーホンソン県に関しては、同県CBTネットワークの年次会議に参加し、CBTを支える諸団体や社会的企業等の関係者へのインタビューも実施した。 以上の広域調査を踏まえ、今後集約的な現地調査を実施する対象として、3集落を選定した。これらの集落はいずれも、若年層による伝統的生業の復興・継承に加え、coffee tourismやcraft tourismなどのクリエイティブな観光実践に取り組んでいるといった特徴がみられる。次年度以降、各集落において、それぞれの条件下でいかに自律的な生活世界を再創造しようとしているのか、より詳細な情報収集を行なっていくこととしたい。そして、多様なステークホルダーが関わり合うなかで、いかに創造性を反映した文化が創造され、それにどのような価値づけがなされているのか、人やモノ、言説のネットワークに着目しながらその諸相を微視的な視点から明らかにしていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、8月の広域調査を踏まえて、各集落における集約的な調査を春季休業期間(2月)中に開始する予定であった。しかし、並行して実施していた他の研究プロジェクトや学務との兼ね合いから、春季休業期間中の現地調査の実施が叶わず、集落単位での詳細なフィールドワークの実施には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、広域調査の結果選定した3箇所の集落にて、CBTに関わる多様なステークホルダー間の関係やネットワークを視野に入れながら、集約的なフィールドワークを実施していく方針である。 これらの集落は、それぞれ置かれている社会的・経済状況が異なっている。たとえばある集落では、循環型の焼畑と水田を組み合わせた伝統的生業が現在でも継承されているものの、アクセスが悪く現金収入手段が限られていることから、若年層の生活基盤を整えるためには、新たな事業の創出を行うことで、二重経済の安定化を図ることが課題となっている。それに対して集落別の集落では、都市部からも比較的近いことから、換金作物栽培が進み、資本主義的開発の影響を一定程度受けており、いかに自律的なアグロエコロジーを取り戻していくのか、あるいはその手段としてCBTを活用していくのかといった点が課題となっている。 本研究では、社会的・経済的状況の異なる複数の集落の状況を比較することで、北タイ山地民社会における自律的な生活空間創造に関する包括的な理解を試みることを目指す。
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