Project/Area Number |
23K11680
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
菊地 利奈 滋賀大学, 経済学系, 教授 (00402701)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | ジェンダー / 女性詩 / フェミニズム / translation studies / アジア太平洋戦争 / 近現代詩 / Japanese poetry / 戦争詩 / 翻訳論 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、ジェンダーと戦争をテーマにすすめてきた申請者の近現代女性詩研究を、世界文学のコンテクストの中で捉え、発展させるものである。「女性詩は戦後から始まる」(村野四郎『日本の詩歌』1976年)というのが文学研究上定説となっており、現行の文学史では戦前・戦中・戦後の詩作は切断されているが、日本のパイオニア女性詩人らは、1920年代から戦前・戦中・戦後、継続して活躍した。本研究では、戦前・戦中・戦後を分断せず、ジェンダーの表象に着目し、時代とともに変容してきた<女性詩>を分析考察するものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまで申請者がすすめてきた近現代女性詩作品を世界文学のコンテクストの中で捉え、フェミニズムの視点から発展させるものである。特に、戦争、暴力、社会問題等が女性詩人らによってどのように表現されてきたかに着目し、国際的なフェミニズム運動のなかの<詩>の役割を考察する。日本語詩を国際的なコンテクストで考察するため、日本語詩の英訳、poetry translation/transcreation、詩の翻訳論についても研究をすすめる。研究対象の日本語詩は英訳し、研究発表を英語で発表することで、国際的な女性詩研究・比較文学研究に発展に貢献することを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、特に「女性詩と翻訳」の問題に関する研究をすすめた。1920~30年代に活躍した左川ちかについての論考「詩の翻訳/創作の境界を越えて」を『左川ちか モダニズム詩の明星』(河出書房)に寄せ、左川ちか詩を訳したふたりの女性翻訳家対談として、詩人の中保佐和子氏と都内で開催したトーク・朗読イベントは「対談 左川ちかの翻訳をめぐる<詩の進化>」として『現代詩手帖』(11月号)に掲載された。また、國學院大學でのシンポジウムでは「翻訳を通してひろがる/ひろげる詩世界~左川ちかの翻訳、左川ちかを翻訳~」という題目で講演した。 EAJS国際学会(ゲント大学)では、国内外の女性文学研究者らとパネル「Beyond Heteronormativity: Cultural and Gender Transgression in Contemporary Japanese Poetry」を組み、第30回萩原朔太郎賞を受賞した川口晴美氏の『やがて魔女の森になる』(思潮社、2021年)の中の社会問題や女性に対する暴力を扱った作品に着目した研究発表を英語でおこなった。また、アイルランドのフェミニスト社会派詩人であるポーラ・ミーハンの詩と翻訳についても、IASIL学会(立命館大学)にて英語で発表した。 今年度は本助成金以外にふたつの学内助成を得ることができたため、国内外から複数の女性詩人を招待し、滋賀大学をはじめ東京や北海道でも女性詩に関する講演会、朗読会、翻訳ワークショップ等を開催することができた。特に、共訳者でもある詩人のメリンダ・スミス氏をオーストラリアから招聘し、日本語詩人や学生を対象とした詩の翻訳ワークショップやバイリンガル朗読会(東京・滋賀・京都)を開催したことには、知識の社会への還元という意味でも意義があったと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
日本語詩の翻訳研究を継続、発展させ、第5回 East Asian Translation Studies Conferenceにて左川ちかを例に発表する(発表決定済、オーストラリア・クイーンズランド大学)。また、2024年度にスタートした国際日本文化研究センター共同プロジェクト「国際日本研究の課題と方法」のメンバーとして、「世界文学の中の日本語詩」について研究をすすめる。同時に、研究対象の詩人らの詩の翻訳作業をすすめていく。
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