Project/Area Number |
23K11696
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80030:Gender studies-related
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
瀬戸 智子 神戸女学院大学, 文学部, 准教授 (20962575)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 冷戦文化 / 女子プロレス / 占領期日本 / フェミニズム / インターセクショナリティ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、冷戦時代初期に誕生した日本の女子プロレスの変遷を、その形成期(1948-1969)のメディア表象と当事者による叙述に着目し、「女性の自発性と権力の関係性」および「インターセクショナリティ(交差性)」の理論的枠組みから考察するものである。1948年に進駐軍クラブで始まった日本の女子プロレスが形成されていった冷戦時代初期の約20年間で、女性の献身を自明とする日本の家父長制度と、女性の自立を消費者主義の文脈で鼓吹するアメリカ型民主主義の両方の価値観がどのようにせめぎ合い、また時には融合していたかを、当時の新聞・雑誌・小説などの表象と元女子プロレスラーへの聞き取りから学術的に明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度前半は聞き取り調査と資料収集をおこない、後半はそれと並行して単著の執筆を始め、半分以上を終えることができた。研究経過報告として、神戸新聞に取材された記事「力道山よりもデビューは早かった 『日本初の女子プロレスラー』猪狩定子さんが戦ったもの」(2023年7月13日夕刊&オンライン記事 https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202307/0016579316.shtml )と、学術誌Intelligence(人文書院)のブログに寄稿した論考「日本の女子プロレス草創期の研究とFacebookのコミュニティ」(No. 54、2023年9月26日)がある。 4月の東京出張では、雑誌資料の収集とともに九段下・昭和館で1950年代東京での女子プロレス興行の動画を閲覧した。8月末から9月初旬のアメリカ出張では、ワシントンDCで関係者に取材・連邦議会図書館で資料閲覧、メリーランド州立大学で占領期の画像資料を閲覧、ニューヨーク市では貴重資料の収集とオンラインアーカイブ使用に関する聞き取りをした。10月の東京出張では占領期に米軍関連施設にレスラー・パフォーマーとして出演していた関係者二名への聞き取りができた。 11月から学術出版社・春風社の編集者とともに学術書(単著)の出版の準備をしている。6章のうち3章を校了した。出版助成金も申請している。1月からは次年度の国際学会ASCJでの学会発表用論文と、単著に含められない事象に関する査読論文の執筆も開始した。 本年度収集した一次資料には、1950年代日米のプロレス専門誌、興行パンフレット、劇場パンフレット、古書、カストリ雑誌、スポーツ新聞、米軍発行新聞、DVDなどがある。二次資料はフェミニズムやジェンダーに関する内外の学術書、冷戦期日米関係に関する学術書、プロレス関連本、1950年代のニュース資料などがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
以下の通り複数の理由が挙げられる。 まず当初単著執筆は令和七年度中に取り組む計画だったが、今年度の前半で必要な聞き取り調査や動画閲覧ができ、さらに学術出版社の協力が得られたことで、単著の進み具合が計画以上に早くなった。これにより、当初次年度に計画していた国際学会での発表原稿と査読論文の準備も早めに着手できている。また当初の計画では、2023年夏の渡米の際の取材をもとに2023年度後半でさらに資料を収集することにしていたが、取材協力者が必要な資料を無料で提供してくれたため、資料収集の手間と費用がかなり省けた。さらに国立国会図書館の資料が大量にデジタル化されたため、当初古書店に出向いて購入する予定だったものの一部がコピーして入手できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り当初の計画以上に研究は進展しているが、単著刊行に向けてさらに確認が必要な事項が増えてきたので、次年度は東京出張の折にさらに詳細な聞き取り調査をおこなう予定がある。電話やオンライン取材も増やし、より確実な資料分析や事実関係の確認に役立てたい。また、東京での有志による研究会からの協力の申し出も得たので、研究会の会合にも発表者またはディスカッサントとして参加する。 次年度は9月に韓国への調査旅行も計画しているが、資料と協力者の都合で場合によっては通訳や運転手を手配する必要もあることがわかってきたので、あまり費用がかかるようであれば別の調査方法を検討する。 また、閲覧が必要な1950年代の映画でVHSでしか流通していないものもあるので、その購入とDVD化にも費用がかかる。今年度の調査で1950年代のプロレス専門誌で古本市場に流通していないものが多数あることもわかったので、その所在確認や入手のための出張にも行く必要がある。 引き続き、聞き取り調査・史料収集と並行して単著、次年度7月の国際学会での発表用原稿、査読論文作成に取り組み、出来上がり次第発表していく。最終年度にはもう一点、日本語での新書もしくは英語の単著にも着手したい。
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