Project/Area Number |
23K11699
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 80040:Quantum beam science-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 純也 東北大学, 国際放射光イノベーション・スマート研究センター, 准教授 (60573186)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
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Keywords | 放射光 / 波面計測 |
Outline of Research at the Start |
高輝度放射光施設の稼働により、X線を10nm以下の領域に集光する「ナノ集光」を基盤とした計測技術が発展する見込みである。X線をナノスケールまで集光するには、光の波面が整っている事が前提となるが、波面は光学素子表面の凹凸や熱変形によって歪む為、ナノ集光を安定的に実現するには波面計測を通じたビームラインの総合的理解が不可欠である。従来の波面計測手法としてタルボ干渉計法が挙げられるが、この手法は撮像ピクセルの周期誤差に敏感であり、系統誤差を排除するには高度な解析を要する。そこで本研究では、位相イメージング技術であるタイコグラフィ法を波面計測に応用し、系統誤差の少ない実用的な波面再構成法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高輝度放射光施設のビームライン毎の波面形状特性を計測するべく、非専門家でも扱うことができ、可搬な装置構成でありながら頑健な解析結果が得られる実用的な手法を開発する。 高輝度放射光施設の稼働により、X線を10nm以下の極小の領域に集光する「ナノ集光」を基盤とした計測技術が発展する見込みである。ナノ集光を行う際にはX線の波動性が顕著になり、X線の波面が揃っていなければ意図しない干渉によって期待した通りに集光ができない場合がある。光の波面はビームラインのミラー表面のnmスケールの凹凸等によって歪められる。したがってナノ集光の為には、ビームライン毎に波面計測を行い、その特性を理解することが重要である。 本手法ではタルボ干渉法とテレタイコグラフィ法という2つを相補的に組み合わせ、互いの結果を比較して波面再構成を行う。本研究では新規にテレタイコグラフィ法を波面計測に応用した装置を開発する。また、これを可搬なシステムとして構築し、複数のビームラインで計測を行う事でさらに相互のビームラインでの結果の検証ができるようにする。 初年度となる2023年度は、開発する装置の要素部品の動作検証を行った。装置の主要な要素となるX線sCMOSカメラは、X線光源を用いてスリットで成形したビームの形状が測定できる事を確認した。さらに、メーカーが公開しているAPIを使って、自作のプログラムで撮影のタイミングを制御し、取得した画像情報に対して画像処理ができることを確認した。 またパルスモーターで駆動されるステージを制御するプログラムも開発した。このプログラムで使用している制御系のライブラリには、放射光施設SPring-8・NanoTerasuのビームライン輸送チャンネル光学系の制御に使われているものと同じもの(BL-774)を採用した。このライブラリ・APIはPython言語で記述されており、先述したカメラのAPIと合わせて制御プログラムを構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
X線sCMOSカメラとステージの制御プログラムは作成したが、ピンホールを駆動し光のプロファイルをスキャンする精密ステージが導入できなかった。そこで代替となるステージを別途調達することとした。ちなみに今後の開発には放射光施設に予備用として保管されている精密ステージを借用する予定であり、今後も開発が継続できるという目途は立っている。上記の状況から、進捗状況は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画からの大幅な修正の必要はなく、引き続きテレタイコグラフィ法を波面計測に応用した装置開発を継続する。ピンホールを駆動して光のプロファイルのスキャンを行う精密ステージを組み、装置系を構築する。放射光施設NanoTerasuのビームタイムを申請しこの装置の性能評価を行う予定である。形状と複素屈折率が既知の物体(例えばポリスチレン球)を用いて波面を意図的に歪め計測する。同じ対象をタルボ干渉法とテレタイコグラフィ法の両方で計測する事で、その比較から系統的誤差を評価する。
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