伝統的枯山水庭園の流出抑制機能の経年的実測評価と雨庭のデザイン・実装への応用
Project/Area Number |
23K11755
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90010:Design-related
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
山下 三平 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (50230420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 英之 京都先端科学大学, バイオ環境学部, 教授 (10737612)
深町 加津枝 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (20353831)
佐藤 辰郎 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (20711849)
森本 幸裕 京都大学, 地球環境学堂, 名誉教授 (40141501)
横田 雅紀 九州産業大学, 建築都市工学部, 准教授 (60432861)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | グリーンインフラ / 雨庭 / 流出抑制 / 流域治水 / 分散型水管理 / 枯山水 / 環境デザイン |
Outline of Research at the Start |
世界中で頻発・激化する豪雨災害への対策として、わが国では2021年に流域治水関連法が施行した。流域治水の推進には多様なステークホルダーの協働による大小さまざまな流出抑制施設の分散的な普及が必要である。しかしそのための雨水流出抑制・遅延機能の客観的評価が不足している。 本研究は小規模分散型水管理の要素技術の一つである雨庭の先駆けとして、京都禅寺の枯山水に注目する。実測によりその雨水管理機能を把握する一方、植生と基盤材に配慮してモデル雨庭を設け、対象庭園の雨水浸透・遮断機能の検証と仕組みの解明を行う。こうして雨庭のデザインと普及に欠かせない客観的効果・条件の究明と指針の提示を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
雨庭の先駆けと位置付けた京都相国寺の枯山水庭園において、2021年に確立した観測方法に基づいて、雨水収支の観測と雨水管理機能の評価を継続した。その結果、それまでの研究で明らかになっていた枯山水庭園の雨水浸透機能とそのメカニズムに関する知見の妥当性が確認された。とくに浸透機能に関わる要因として同定された、貯留因子、降雨パターン因子、および先行降雨因子の寄与の仕方がより明確になった。すなわち初期損失を含む浸透特性は降雨パターン因子と先行降雨因子、最終浸透能を表す特性は降雨パターン因子と有意な相関があることである。 2021年度までの相国寺での実測評価と要因分析を踏まえて、2022年11月に筆者が所属する九州産業大学に実装したキャンパス雨庭CELLの雨水収支の観測と植栽育成状況の把握を行った。その結果、基礎地盤の浸透性を考慮した雨庭形態の妥当性が検証された。すなわち、貯留容量を十分に確保する形態をとれば、集水域に堅牢な建築物があり地盤がつよく締固められた敷地に、効果的な雨庭を造ることができる。一方、貯留が長期降雨によって長引けば、植生のダメージが発生するため、植栽配置に改善が必要ということが明らかになった。 一方、雨庭のデザインにおいて考慮すべき植物の降雨遮断・蒸発散の機能評価のために、広葉樹と針葉樹の鉢植を用いた予備的実験を行った。その結果、広葉樹と針葉樹の遮断・蒸散効果の傾向が一定程度明らかになった。また精度の高い3Dモデルの必要と、樹幹流下抑制から遮断成分を分離する課題が浮き彫りになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたとおりに、枯山水庭園の雨水収支の観測と評価が継続できた。また、実装雨庭の雨水収支の観測と植生観察も順調に行われた。庭園用植物の雨水遮断・蒸散機能の実験的評価については、その予備実験を実施することができ、一定の傾向性を把捉できた。また今後の本実験における課題も明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年4月20日に相国寺において昨年度の研究成果を報告し、今年度の観測の協力を要請して了承を得られた。5月には観測機器の設置を行う予定である。一方これまでの観測結果の解析にすでに着手しているが、既発表の知見を裏付けかつ展開するものが得られつつあり、本年度中の論文報告を予定している。一方、キャンパス雨庭CELLによる観測は2年目に入り、植生とくにその根のはたらきによって、浸透機能が改善することを仮定して観測データを収集整理する予定である。庭園樹木の雨水遮断・蒸散機能の実験的評価については本調査を開始し、定量的な評価を行う予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)