Project/Area Number |
23K11759
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90020:Library and information science, humanistic and social informatics-related
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 右子 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (30292569)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
|
Keywords | アイスランド / 少数話者言語 / 公共図書館 / 北欧 / 文化政策 / 言語政策 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、情報・文化へのアクセスの公平性を担保し、学習機会を平等化する文化保障装置としての公共図書館は、文化政策とどのように関わりどのように文芸振興を具現化してきたのかを解明するために、北欧諸国の文化政策と公共図書館サービスの連関を文献資料分析を通じて実証的に調査する。公共図書館での政策具現化の様態を精査することにより、少数話者言語国家の文化政策における公共図書館の存在意義を明らかにし、公共図書館の普遍的価値を浮かび上がらせることで、日本の公共図書館に研究成果を還元する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は文化政策という枠組みの中で、北欧諸国における公共図書館の存在意義を解明するために、国家文化政策がどのように公共図書館の活動に作用し、公共図書館は文芸振興に実質的にいかなる貢献を果たしているのかを明らかにすることを目的としている。2023年度はデンマークの図書館振興策と先行研究が存在せず、本研究において最も重要な部分となるアイスランドの文化政策と公共図書館に焦点を当てて研究を進めた。アイスランド語は北欧諸国の中でも話者がきわめて限定された言語であり、図書館は言語保護において中核的な役割を果たしていると考えられる。2023年度はアイスランド図書館情報協会の提供する文書に基づき、アイスランドの図書館制度の概要と基本的な制度について整理した。さらに図書館関連法の制定状況を整理した。具体的には、2012年に制定された「図書館法」の内容分析を行うとともに「図書館法」に定められている「図書館基金」について、その実態を解明するために「図書館基金規則」を精査し、近年の基金プロジェクトについて調べその傾向を探った。次に図書館関連法として2007年に制定された「文学法)」に焦点を当てて、少数話者言語保護のための文化政策がいかに法律に反映されているかを探った。調査の結果、アイスランドでは図書館での貸出による損失を作家に補償する「公共貸与権制度」に関わる規定が「文学法」の中に組み込まれていることが特徴として認められた。さらに2014年に制定された「アイスランド国立図書館/大学図書館に関する規則」の内容を分析し、アイスランド納本制度の対象図書館としてのアイスランド国立図書館/大学図書館の特徴を同定した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2023年3月で終了する予定であった(本科研プロジェクトとは異なる)科研プロジェクトがCOVID-19のため遅延し、2023年度も研究を継続することとなった。その影響で本科研プロジェクトの研究を当初の予定通り進めることができず、研究が遅れる結果となった。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年度は前年度に引き続きアイスランドに焦点を当てて研究を進める。言語文化政策における図書館関連法として「アイスランド国立図書館/大学図書館に関する法律」「アイスランド国立図書館/大学図書館に関する規定」およびすべての出版物の国立図書館への納入を義務付ける納本制度に該当する「コレクションに関する義務的納入法」について、2002年に定められた納本制度規則及び2014年に定められた納本制度法に関し、図書館と少数話者言語保護政策の関係を軸に内容を調査する。また公共貸与権制度について、世界で最初に制度を取り入れ現時点で最も厳密な制度を持つとされるデンマークの制度を参照しながら、アイスランド語保護に関わる特徴点を探る。さらにアイスランドのナショナルレベルでの言語文化政策に関して、図書館政策を中心に教育政策言語政策も視野に入れて調査を進める。これらの政策の背景となる、公共図書館の歴史や読書を取り巻く諸要因(家庭読書や文芸サークル活動)に関しても、文献を入手した上で歴史的発展を探っていく。現時点での図書館の状況については、図書館統計を用いて概況を調査した後、アイスランド図書館情報協会の提供する情報や各館の公式ウェブサイトを用いて把握し、読書振興活動について全国的な動向と地域レベルでの実施状況についてまとめる。図書館における読書推進の基盤ともなる出版活動について、新刊書の国家買上げ制度や新刊書の公共図書館への頒布等、スカンジナビア・バルト諸国で見られる図書館界と出版界の協働関係がアイスランドにおいて存在するかどうかも確認する。「図書館基金」によって実施されるプロジェクトを遡り、少数言語話者言語保護に関わるテーマが設定されているかどうか調査し、「図書館基金」がアイスランドの図書館界においてどのような役割を果たしているのかについても同定する。
|