Project/Area Number |
23K11819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90110:Biomedical engineering-related
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
古水 雄志 崇城大学, 生物生命学部, 准教授 (80735829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
石田 誠一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10270505)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | がん細胞 / ナノ医薬 / ハイブリッドリポソーム / がん幹細胞 / 薬剤耐性 |
Outline of Research at the Start |
がん幹細胞(CSC)はがん細胞であり、幹細胞の性質を持つため、従来の抗がん治療後も優位に生存する。従って、CSCを標的とする治療薬の開発が望まれる。一方、これまで申請者が、ナノ粒子であるハイブリッドリポソーム(HL)を用いたがん治療に関する基礎研究において、HLは正常細胞とがん細胞の細胞膜の構造特性(膜の揺らぎ)の違いを認識したがん細胞の特異的な蓄積を見出してきた。そこで、本研究では、これまで申請者らが行ってきた“HLを用いたがん細胞膜を標的とするがん治療に関する成果”を基に、「HLを用いたCSCの選択的抑制効果」に関する知見を得て新規がん治療薬への応用を目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
がん幹細胞(CSC)はがん細胞であり、幹細胞の性質を持つため、従来の抗がん治療後も優位に生存する。従って、CSCを標的とする治療薬の開発が望まれる。一方、これまで申請者が、ナノ粒子であるハイブリッドリポソーム(HL)を用いたがん治療に関する基礎研究において、HLは正常細胞とがん細胞の細胞膜の構造特性(膜の揺らぎ)の違いを認識したがん細胞の特異的な蓄積を見出してきた。そこで、本研究では、これまで申請者らが行ってきた“HLを用いたがん細胞膜を標的とするがん治療に関する成果”を基に、「HLを用いたCSCの選択的抑制効果」に関する知見を得て新規がん治療薬への応用を目的とする。本年度は下記の結果を得ることができた。HLの作用濃度の検討の結果、がん細胞と正常細胞のどちらも、細胞の培養期間が長いほどHLの50%細胞増殖抑制濃度(IC50値)が高くなる傾向が示された。さらに、HL のIC50値は、正常細胞に比べ、がん細胞に対して有意に低くなる傾向が示され、HLのがん細胞に対する高い増殖抑制効果が確認された。一方、細胞膜流動性について、培養期間を変えて測定した結果、浮遊状態のがん細胞と正常細胞はどちらも、細胞培養期間を長くしても膜流動性が小さくなる傾向は得られず、IC50値との相関性は得られなかった。共焦点レーザー顕微鏡を用いて接着状態の細胞の相状態を観察した結果、細胞培養期間を変えることで細胞の相状態が変化することが示唆された。以上のことから、細胞培養期間が長いほどHLのIC50値が高くなる傾向が示され、細胞の相状態の変化がHLに対する増殖抑制効果の感受性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は下記の結果を得ることができた。HLの作用濃度の検討の結果、がん細胞と正常細胞のどちらも、細胞の培養期間が長いほどHLの50%細胞増殖抑制濃度(IC50値)が高くなる傾向が示された。さらに、HL のIC50値は、正常細胞に比べ、がん細胞に対して有意に低くなる傾向が示され、HLのがん細胞に対する高い増殖抑制効果が確認された。共焦点レーザー顕微鏡を用いて接着状態の細胞の相状態を観察した結果、細胞培養期間を変えることで細胞の相状態が変化することが示唆された。以上のことから、細胞培養期間が長いほどHLのIC50値が高くなる傾向が示され、細胞の相状態の変化がHLに対する増殖抑制効果の感受性に影響を及ぼしている可能性が示唆された。よって、研究課題は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度以降の研究計画は次の通りである。 1)HLによるCSCに対する増殖抑制効果と抑制機構の解明については、がん細胞と正常細胞に対するHLの増殖抑制効果をWST-8で評価し、正常細胞には影響を及ぼさない濃度範囲でのCSCへの増殖抑制について検討する。対象実験として、一般的な抗がん剤であるドキソルビシン(DOX)を用いる。CSCの同定・分離:HL処理後のCSCに対する影響について評価する。 2)CSCの同定のため、幹細胞遺伝子のqPCRを行う。さらにCSCの割合の測定のために、肝がんのCSCマーカーとして、CD133とEpCAMに対するFCM解析を行う。HL処理後の細胞を回収し、生存細胞数の計数とqPCRおよびFCM解析を行う。CSCの膜構造特性やHLの感受性について明らかにするため、磁気ビーズ分離法によりCSCの分離を試みる。さらに、CSCの分離法として、超低吸着プレート培養器を用いたスフェア形成による分離を行う。 3)幹細胞特性:分離後のCSC細胞について、CSCの持つ幹細胞の特徴(幹細胞性)に与えるHLの影響につて、CSC関連遺伝子のqPCR、軟寒天コロニー形成試験や抗がん剤(DOX)に対する薬剤耐性試験で評価する。 4)CSCの膜流動性:分離前のがん細胞と分離後のCSCの細胞膜流動性の差異を明らかにするため、蛍光プローブDPHを用いた蛍光偏向解消法にて測定する。CSCへの抑制機構の詳細について明らかにするため、HL への感受性試験として、細胞増殖、アポトーシス関連シグナル伝達の検出、幹細胞維持に関連するシグナル伝達経路について検討する(qPCR解析等)。
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