Project/Area Number |
23K11849
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 丈典 広島大学, 統合生命科学研究科(先), 講師 (30573373)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 細胞外小胞 / エクソソーム / ペプチド / 精製 / 間葉系幹細胞 |
Outline of Research at the Start |
細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)は、細胞から分泌されるナノからマイクロサイズの粒子である。近年、間葉系幹細胞が分泌するEVに組織修復作用があることが明らかとなり、EVそのものを治療薬として利用する研究が世界的に進められている。しかしながら、EVを粒子サイズ(サブタイプ)ごとに精製する技術は確立されていない。そのため、幹細胞由来のEVが持つ組織修復機能などの詳細な作用機序は未解明なままである。本研究では、リジン残基数を調節したリジンペプチドを利用してEVをサブタイプごとに精製する方法を確立し、EVのサブタイプによって抗炎症作用などの活性が異なるのか検証を行なう。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞外小胞(Extracellular Vesicles: EV)は、細胞から分泌されるナノサイズからマイクロサイズの粒子である。近年、間葉系幹細胞が分泌するEVに組織修復作用があることが明らかとなり、EVそのものを治療薬として利用する研究が世界的に進められている。しかしながら、EVを粒子サイズ(サブタイプ)ごとに精製する技術は確立されていない。そのため、サブタイプによって機能性(抗炎症作用など)が異なるのかなど詳細な作用機序は未解明なままである。研究代表者は、8残基のリジンを含むリジンペプチドがEVの脂質膜に結合することを見出し、EVを精製する方法に応用してきた。本研究では、リジンペプチドのリジン残基数を調節することで、EVをサブタイプごとに精製する方法を確立することを目指した。 均一な粒子径のリポソームを用い、リジンペプチドのサイズ選択性を評価した。エクソソームは50-150nm、マイクロベシクルは200nm以上の粒子として分類されている。リジン残基数が8と16のペプチド(それぞれK8ペプチド、K16ペプチドと呼ぶ)を用いて、130nmと244nmのリポソームの回収量を比較した。その結果、K8とK16ペプチドの両者は130nmの回収量の方が多く、サイズ選択性(比率=130 nmのリポソームの回収量/244nm のリポソームの回収量)は同程度(比率=2)であった。曲率認識ペプチド(アミノ酸配列: RPPGFSPFR、以後RPPと呼ぶ)を組み合わせたK8-RPP-RPPペプチドのサイズ選択性(比率=3.5)は、K8とK16ペプチドのサイズ選択性(比率=2)に比べて高く、エクソソームと同程度のサイズである130 nmのリポソームを選択的に回収できることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
均一な粒子径を持つリポソームを用いてリジンペプチドのサイズ選択性の評価を行なった。細胞外小胞は、50-150nmの粒子をエクソソーム、それよりも大きいサイズ(例えば200nm以上)の粒子をマイクロベシクルとして分類されている。そこで、エクソソームと同程度のサイズを持つ130nm のリポソームとエクソソームのサイズよりも大きい 244 nm のリポソームを用いて評価を行なった。K8ペプチド(KKKKKKKK)とK16ペプチド(KKKKKKKKKKKKKKKK)を固定化した磁性ビーズを用いて、130nmと244nm のリポソームの回収量を比較した。K8及びK16ペプチドの両者とも、130 nmのリポソームの回収量が244nm のリポソームの回収量よりも多い結果となった。また、サイズ選択性(比率=130 nmのリポソームの回収量/244nm のリポソームの回収量)を評価したところ、どちらも同程度(比率は2程度)であった。 そこで、曲率認識ペプチドに着目した。リン脂質二重膜を高度に湾曲させると、疎水部分がむき出しになることで微小な隙間が生じる。曲率認識ペプチドは、この微小な隙間に結合するため、高度な湾曲をもつサイズの小さい粒子に選択的に結合する。本研究では、曲率認識ペプチドとして、ブラジキニン(アミノ酸配列: RPPGFSPFR、以後RPPと呼ぶ)を利用した。具体的には、K8ペプチドにRPPをタンデムに組み合わせたK8-RPP-RPP(KKKKKKKKRPPGFSPFRRPPGFSPFR)を合成し、上記のリポソームの回収量の評価を行なった。K8-RPP-RPPペプチドのサイズ選択性(比率=3.5)は、K8とK16ペプチドのサイズ選択性(比率=2)に比べて高く、エクソソームと同程度のサイズである130 nmのリポソームを選択的に回収できることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、エクソソームと同程度のサイズを持つ130nm のリポソームとエクソソームのサイズよりも大きい 244 nm のリポソームを用いて評価を行なった。K8ペプチドとK16ペプチドのサイズ選択性(比率=130 nmのリポソームの回収量/244nm のリポソームの回収量)を評価したところ、どちらも同程度(比率は2程度)であった。K16ペプチドは50 nm未満の粒子を回収しやすいことがこれまでわかっているので、7-18 nmの粒子サイズを持つHDL(High Density Lipoproteins)を用いて、回収率の評価を行なう予定である。具体的には、K8、K16、K8-RPP-RPPのペプチドの130nmのリポソーム、244nmのリポソーム、HDL(7-18nm)のそれぞれの回収率を測定し、どの粒子サイズと親和性が高いのかについて検討する。また、新しくペプチドを設計し、サイズ選択性を持つかについて上記粒子を用いて評価を行う予定である。もし、違いがみられた場合、培養細胞由来のEVを用いて、サイズ別に分画できるか検討を行う予定である。
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