Project/Area Number |
23K11854
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 90120:Biomaterials-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
小山 義之 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 客員研究員 (00162090)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | ガン免疫治療 / 細胞外小胞 / ESAT-6 / VA-RNA / インターフェロン / 抗腫瘍免疫治療 / 微生物遺伝子 / 疑似感染 |
Outline of Research at the Start |
腫瘍関連抗原は一般に免疫原性が低く、抗腫瘍免疫が誘導されにくい。一方生体では、結核菌などの細胞内寄生菌やウイルスの感染に対しては細胞性免疫が効率よく惹起される。これは、「抗原性の高い微生物抗原の存在」とともにパターン認識受容体が微生物の共通分子を検出して「サイトカインを分泌」するためである。 本研究では、結核菌抗原ESAT-6をもつ細胞外小胞、およびアデノウイルス由来のインターフェロン誘導低分子核酸、VA-RNAを内包する細胞外小胞をそれぞれ調製し、疑似感染状態を人工的に構築することで抗腫瘍細胞性免疫を惹起し、高い抗腫瘍効果を引き出す安全性の高い細胞外小胞製剤の創製を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
腫瘍関連抗原は一般に免疫原性が低く、抗腫瘍細胞性免疫が成立しづらい。一方ウイルスの感染に対しては細胞性免疫が効率よく誘導される。これは、「免疫原性の高い微生物抗原」の存在とともに、「パターン認識受容体が微生物成分を検出」して免疫応答を強く惹起するためである。 我々は、微生物感染に対する免疫応答を模倣した、新しい抗腫瘍免疫療法を創製し、その高い治癒効果を証明し報告してきた。「免疫原性の高い微生物抗原」として、結核菌抗原、ESAT-6の遺伝子をコードしたpDNAを合成し、腫瘍に導入したところ、高い抗腫瘍効果が確認された。さらに、培養細胞を用いて調製したESAT-6含有細胞外小胞(EVs)も同様に高い治癒効果を持つことを見出し、新しいタイプのEV治療システムとして発表してきた 本研究では「パターン認識受容体」であるRIG-Iを強く活性化するアデノウイルス由来の低分子核酸VA-RNAに着目し、これを用いた新しい遺伝子治療の可能性を検討した。 VA-RNAには、VA-RNA I、 VA-RNA IIの二種があり、VA-RNA IはI型IFNの分泌を導くことが知られているが、VA-RNA IIの機能は明確ではない。そこで、VA-RNA-I, VA-RNA-IIの両者をコードしたpDNA、およびVA-RNA Iのみをコードしたものを数種類用意し、そのIFN分泌誘導能と抗腫瘍活性を比較検討した。培養細胞においてこれらのpDNAはいずれも有意なIFNの分泌を誘導したが、その効果はVA-RNA Iのみをコードしたものの方が高かった。また、担癌マウスモデルを用いたin vivoの実験においても同様に、VA-RNA IのみをコードしたpDNAの方がより高い治癒効果を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VA-RNA IをコードしたプラスミドDNAとして、(1) アデノウイルスのE1, E3以外の全てのゲノムを含んだもの(pDNA(full))、(2) VA-RNA-I, II及びその前後、計1725 bpを含むもの(pDNA(I,II))、および(3) そこからVA-RNA IIをデリートしたもの(pDNA(I))を用意した。これらはいずれも培養細胞に導入するとIFN-αおよびIFN-βの高い分泌を誘導したが、その効率はpDNA(I) > pDNA(I,II) > pDNA(full)の順に高く、VA-RNA IIを含まないもの、分子量の小さなものがより高いIFN誘導効率を持つことを見いだした。 これらのpDNAを担癌マウスに投与すると、いずれも腫瘍の増殖を顕著に抑制し、その抗腫瘍効果はIFN-βの遺伝子を導入したpDNAよりも有意に高いことが確認された。 これらの結果から、抗腫瘍効果の高いDNAの新たな設計指針として、IFN 単体をコードしたものよりも複数のI型IFNを誘導するVA-RNA遺伝子の方が良いこと、VA-RNA Iのみをコードすることの優位性などが新たに見いだされた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はpDNA(I)からさらに余分な部分を切除して、VA-RNA Iをコードした部分のみの短鎖二本鎖DNAを作成し、そのような小分子DNAの効率よいデリバリー方法を開拓すると共に、その短鎖二本鎖DNAのIFN誘導効果、抗腫瘍活性などを調べ、VA-RNA IIの影響等を詳しく検討する。 得られた知見をもとに、有効な成分を含んだEVsの調製を行い、その抗腫瘍効果を詳しく調べて、新しいガン免疫治療システムとしてのEV製剤の最適な設計を試みる。
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