Project/Area Number |
23K12003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
|
Research Institution | Ryutsu Keizai University |
Principal Investigator |
平岡 紘 流通経済大学, 流通情報学部, 准教授 (00823379)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | ジャンケレヴィッチ / 倫理学 / 瞬間 / 徳 / ペギー |
Outline of Research at the Start |
本研究は、V・ジャンケレヴィッチの倫理学の全容と哲学史的位置づけを解明することを目的とする。ジャンケレヴィッチは、「他者のために」という意図をもって行為することを善とするが、この倫理学の核心には、行為を意図するその瞬間に定位し、一回限りの瞬間を好機と捉える時間論的発想がある。そこで本研究はジャンケレヴィッチの時間論がどのように進展していったのかを生成史的にあとづけること、その成果を踏まえてジャンケレヴィッチの倫理学主著『徳論』を体系的に読解すること、これらによりジャンケレヴィッチ倫理学の全体像を解明する。これを通じて「人間はいかに生きるべきか」という問いに一つの哲学的応答を提供する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「他者のために」という意図をもって好機となる瞬間をとらえて行為することを善とするV・ジャンケレヴィッチの倫理学の全容と哲学史的位置づけを解明することを目的として、(1)時間が不可逆的に過ぎ去り、どんな瞬間も一回限りのことであるとする彼の時間論がどのように進展していったのかを生成史的にあとづけること、(2)その成果を踏まえて彼の倫理学主著『徳論』を体系的に読解すること、これら二点を方法の柱として、ジャンケレヴィッチ倫理学の内実を精査するものである。 本年度は研究計画どおり、彼の時間論の生成過程をベルクソンの時間論との関係において追跡した。具体的には、ジャンケレヴィッチのベルクソン論(初版1931年、第二版1959年)と『二者択一』(1938)を中心に読解した。その結果、あらゆる瞬間が一回限りのことであり、どんな物事も一度生じたら生じなかったことにはできないというジャンケレヴィッチの時間論は、生じた物事は生じなかった無数の可能性との関係のもとにあり、どんな物事も別様であり得たという見方と表裏一体となっていることを明らかにした。この思考の論理について考察を深めていくことが、来年度の研究の課題となる。 また、ベルクソンの時間論において重要な役割をもつ「記憶」の概念に着目し、この概念の内実と意義を考察するための補助線として、ベルクソンから深い影響を受け、ジャンケレヴィッチと同様に瞬間と出来事の一回性という点を重視するC・ペギーの歴史哲学を読解した。成果として、ペギーにおける記憶と歴史の関係を主題的に扱った学術論文を執筆した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた主題について十分な深度と広がりをもった研究を進めることができ、また来年度の研究内容について重要な指針を得ることができた。そのため、研究は順調に進展していると判断することができる。とりわけ、ベルクソンの時間論の有する意義と射程を理解する上で重要な主題である記憶と歴史をめぐって、ペギーの歴史哲学を考察した学術論文を執筆したことが評価される。本論文は、ジャンケレヴィッチにおける時間論についての考察をさらに深めていくための基礎研究として活用することができる重要な成果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当初の研究計画にしたがい、ジャンケレヴィッチ時間論の生成過程の追跡を続ける。今年度の研究により、ジャンケレヴィッチが1930年代後半というかなり早い時点で自身の哲学の核心を掴み取っていたという見通しが得られた。このことから、晩年の著作『還らぬ時と郷愁』(1974)よりも『やましい意識の価値と意義』(1933)や『イロニー』(1936)などの初期著作の検討に重点を置くこととする。他方、当初は夏季にパリに滞在し、フランス国立図書館でジャンケレヴィッチの草稿や校正刷り類を閲覧する計画であったが、急激に円安が進行している状況に鑑み、2025年度以降に延期する予定である。以上のように、若干の計画の変更は行うが、本研究課題の推進は問題なく行われると見込んでいる。
|