Project/Area Number |
23K12005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鍾 宜錚 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師(任期付) (10793672)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 終末期 / 台湾 / 意思決定 / パンデミック / 自己決定 / 事前指示 / ACP / 代理決定 / withコロナ |
Outline of Research at the Start |
本研究は、COVID-19パンデミックにより提起された終末期医療に関する倫理的問題を検討し、とりわけ意思決定プロセスへの影響を検討することで、Withコロナ時代における終末期医療倫理の構築を試みるものである。文献調査と医療従事者へのインタビュー調査を通して、パンデミックにより顕在化した倫理的問題の実態を明らかにする。日本と台湾との比較研究を通して、Withコロナ時代における「良い死」のあり方と、終末期医療における意思決定および家族の役割を考察する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、COVID-19パンデミックにより提起された終末期医療に関する倫理的・法的・社会的問題を検討し、その影響と課題を考察することで、Withコロナ時代における終末期医療倫理の構築を試みることを目的とする。日本と台湾との状況を比較し、パンデミックの発生でより顕在化された終末期医療の問題点について、その本質を抽出し、次のパンデミックや災害に生かせるよう解決策を探究することが本研究の意義である。 2023年度では、日本と台湾における感染症と終末期医療の影響に関する文献調査を中心に行った。そのほか、台湾の医療関係者とオンラインによる意見交換会を開催し、研究を進めた。主な研究成果として、台湾における「良い死」概念の変化と医療現場での対応を中心に調査した。台湾では、コロナ禍による臓器提供者の登録数が低下し、臓器移植の待機期間の長期化問題が深刻になっていることから、台湾政府は心停止後の臓器提供に関するガイドラインを制定し、積極的に推進しようとさまざまな施策を打ち出している。その一つは、臓器提供の意思確認を事前指示書の文面に付き加えることであり、それが患者の「善終(良い死)」の権利につながると呼びかけている。これに対して、患者の意思確認ができることをよく捉える意見もあれば、臓器提供へのプレッシャーになりかねないとの懸念もある。2023年度は、この臓器移植の制度変化を分析し、その結果を学会・研究会で広く発信し、意見交換を行なった。 2024年度以降は、これまで文献研究の成果をベースに、日本と台湾における意思決定支援に関わる医療従事者(看護師やソーシャルワーカー)を対象にインタビュー調査を行う予定である。また、現地に渡航し、終末期医療における倫理的問題の実態と事前指示および「良い死」に関する社会的意識変化の調査も行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、パンデミック時における終末期医療の課題を中心に文献調査を行い、日本と台湾における終末期医療の制度や感染症対策の相違について比較研究を行った。また、コロナ禍による「良い死」概念の変化の有無や医療現場での対応についても調査した。台湾では、コロナ禍による臓器提供者の登録数が低下し、臓器移植の待機期間の長期化問題が深刻になっていることから、台湾政府は心停止後の臓器提供に関するガイドラインを制定し、積極的に推進しようとさまざまな施策を打ち出している。その一つは、臓器提供の意思確認を事前指示書の文面に付き加えることであり、それが患者の「善終(良い死)」の権利につながると呼びかけている。これに対して、患者の意思確認ができることをよく捉える意見もあれば、臓器提供へのプレッシャーになりかねないとの懸念もある。2023年度は、この臓器移植の制度変化を分析し、その結果を学会・研究会で広く発信し、意見交換を行なった。 初年度に予定した現地調査は、台湾側の協力者の来日などで取りやめになったが、オンラインで定期的に意見交換を行なったことで、概ね予定通りで研究を推進している。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6(2024)年度以降は日本と台湾における意思決定支援に関わる医療従事者(看護師やソーシャルワーカー)を対象にインタビュー調査を行い、終末期医療における倫理的問題の実態と事前指示および「良い死」に関する社会的意識変化を調査する。これまで共同研究の中で関与してきた医療機関をはじめ、国内では首都圏と関西地方、台湾では台北市と台中市を訪問し、それぞれ10人ずつにインタビュー調査を行う。パンデミック前までは、慢性疾患による人生の最期を想定し、医療機関において終末期医療に関する個別な指針が制定されたことが多かったが、パンデミックの発生により指針修正の動きや実践の変化については考察する必要がある。日本と台湾における医療従事者へのインタビュー調査を行うことで、臨床現場で見られた変化の実態をデータ化して分析し、その成果を国内外の学会で積極的に発表する。台湾への渡航は年度ごと2回、それぞれ7日間、合計14日間と想定する。
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