Project/Area Number |
23K12006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01010:Philosophy and ethics-related
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Research Institution | Asahi University |
Principal Investigator |
鏡 圭佑 朝日大学, 法学部, 講師 (00910449)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 行政学 / 倫理学 / 徳倫理学 / 公務員倫理 / アリストテレス / 徳 / 審理員 / 行政倫理 / 新アリストテレス主義 / 卓越主義 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、徳倫理学の応用を通じて、日本の国家行政組織において有徳な公務員を確保する方針を構想する。徳倫理学とは、行為者の善い性格上の特性を意味する徳を中心とした倫理理論の構築を試みる規範倫理学の一分野である。 この研究の背景には、日本の行政倫理研究における応用研究の不足及び国家公務員倫理制度が抱える問題がある。研究の遂行にあたって、まず、国家公務員一般の徳を検討し、つぎに、特定の職に就く公務員の徳を検討する。特定の職に就く公務員として、行政不服審査法に基づく審理員を取り上げる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、徳倫理学を日本の行政に応用することで、有徳な公務員とはどのような公務員か、行政組織が有徳な公務員を確保するためにどのような方針を用いることができるのかを検討する。 本年度においては、研究計画全体のなかでも基礎的な研究に関する作業を実施した。具体的には、(1)徳倫理学の概要の整理、(2)関連する先行研究の状況の把握、(3)日本の行政学において徳倫理学の応用研究を実施する意義の検討を行った。 (1)徳倫理学の概要については、イギリスの徳倫理学の理論書を中心に調査した。複数の教科書レベルの理論書を精読することで重要概念を複眼的に把握することができた。同時に、研究計画において特に重要となる事項については論文等を調査し、発展的な理解の獲得に努めた。 (2)関連する先行研究については、アメリカ行政学における徳倫理学の応用研究を中心に文献を調査した。この調査と(1)の調査結果を踏まえて、アメリカ行政学における先行研究の成果は最新の徳倫理学理論との接続が薄い点を確認した。さらに、アメリカの歴史と社会において形成されてきた公務員の徳に関する調査結果を日本の行政にそのまま応用できないという結論を得た。 (3)日本の行政学において徳倫理学の応用研究を実施する意義を学術的および実務的な側面から検討した。その結果、徳倫理学の応用研究は社会における公務員の不祥事への関心と行政学の関心との間にあるギャップの解消に貢献し、既存の公務員倫理制度を批判的に検討する視座の確立につながる点を確認した。 これらの作業は、今後の研究計画で予定されている発展的な研究を進める際の基盤となる点に意義がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画の進捗状況については「おおむね順調に進展している」と評価できる。本年度は研究計画における第1フェーズおよび第2フェーズの実施時期に該当する。第1フェーズでは予備的研究が、第2フェーズでは国家公務員一般に求められる徳の検討が課題となる。 これらのフェーズで実施する研究は、理論研究に該当する。本年度では理論研究における中心的な作業となる文献の収集、読解および整理が一定程度進展した。したがって、研究の進捗状況について肯定的に評価できると考えている。ただし、これらの成果を学会報告および学術論文等により対外的に発信するところまで進展しなかった点に課題がある。 また、予期していない出来事として、研究代表者の大学の異動があった。2月および3月における異動のための作業により、研究の進展が若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、第1フェーズの成果を学会報告および学術論文への投稿を通じて対外的に発信する作業に取り組む。この点については、2024年の5月に学会報告を行うことが既に決定している。また、第2フェーズの研究についてもその成果を整理し、対外的に発信できるよう準備を進める。 当初の計画では、2024年の7月から第3フェーズの研究に取り組むと記載したが、上記の研究成果の対外的発信という作業もその社会的重要性に鑑み確実に進めなければならないため、当該作業により第3フェーズに着手する時期が若干遅れる可能性がある。なお、第3フェーズでは行政組織が有徳な公務員を確保する方針の検討を行う。 各フェーズで遅れが発生し、予期していなかった事態が発生するおそれもある。そうした場合においても、国家公務員一般および行政組織一般を対象とする理論研究(第3フェーズまでの研究)については着実に実施し、成果を対外的に発信できるよう研究計画を柔軟に運用する予定である。
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