A Comprehensive Study of the Manuscripts of the Keizan Jōkin's "Denkōroku": Elucidating the original form and revision process of the text
Project/Area Number |
23K12017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01020:Chinese philosophy, Indian philosophy and Buddhist philosophy-related
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
横山 龍顯 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (50880499)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 瑩山紹瑾 / 曹洞宗 / 禅宗 / 中世 / 文献学 / 本文修訂 / 書誌学 / 写本 |
Outline of Research at the Start |
瑩山紹瑾(日本曹洞宗、1264~1325)の講義録である『伝光録』には、「古本系統」「中間本系統」「流布本系統」と呼ばれる3種の本文系統が存することが知られている。このうち、古本系統(最古形にもっとも近い本文系統)については研究が進展し、本文の成立過程がおおむね明らかとなった。残る中間本系統・流布本系統では、古本系統の本文に修訂・増広を施しているが、こうした修訂がどのような過程を経て行われたものであるかは、まったく明らかとなっていない。 そこで、本研究においては、中間本系統・流布本系統をも視野に入れ、「『伝光録』諸本の本文は、いかにして形成され、変容していったのか」という問題の解明を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、鎌倉時代後期に活動した瑩山紹瑾(曹洞宗、1264~1325)を中心的に取り上げ、彼が大乗寺において行った講義録である『伝光録』の写本群を網羅的に収集・検討し、その本文がいかにして形成され、変容していったのかを解明することを目的とする。 先行研究により、『伝光録』の本文は成立年代順に、「古本系統」「中間本系統」「流布本系統」の3系統に大きく分類されることが明らかにされている。2023年度は、大隆寺所蔵写本の調査を行い、その本文系統について検討を行った。その結果、大隆寺本は、宝暦7年(1757)に書写された写本であるため、書写年代はくだるものの、享禄3年(1530)に如意庵(瑩山が創建した總持寺の塔頭)で書写された親本の本文を忠実に保持したものであったことが明らかとなった。享禄3年という年次は、現存最古の乾坤院本(15世紀後半書写)に次いで古い年次を示しており、中世における『伝光録』写本本文の実態を考究するうえで、きわめて重要な写本であることは論を俟たない。 そして、大隆寺本の本文は「古本系統」に分類されるが、他の「古本系統」写本には見出されない特徴を有している。それは、本文修訂の痕跡である。『伝光録』は瑩山の述べた言葉をそのまま文章化するため、一言一句まで原典と同一であるわけではない。原典との相違を修正する試みは、「中間本系統」や「流布本系統」といった後続する写本群では確認されていたものの、大隆寺本においても、親本(享禄3年写本)の段階から、本文修訂が行われていたのである。「古本系統」における本文修訂は、現存写本には見出されないものであり、中世の時点から『伝光録』の善本化を企図していたことを示す貴重な痕跡であると言える。 これらの知見を踏まえ、2本の共著書と4本の論文を刊行し、3回の研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は大隆寺本の調査を行い、「古本系統」における本文形成および修訂の過程について、新たな知見が得られた。従前の研究と今年度の研究により、現存が確認されている古本系統写本群はすべて調査が完了したため、「古本系統」に後続して出現する「中間本系統」ならびに「流布本系統」との比較検討を行うための基盤が整備されたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度以降は、「中間本系統」「流布本系統」について調査を行い、電子テキストを作成したうえで、「古本系統」本文との比較対照を行っていく。この作業を通して解明を目指すのは、①「中間本系統」「流布本系統」において行われている大幅な本文修訂の実態および典拠の解明、②「中間本系統」「流布本系統」が修訂を行ううえで依拠した写本系統の特定および各系統の成立過程の解明の2点である。 また、今後は比較対照する写本数が増加していくが、複数の写本を比較検討するうえで、N-gram分析を用いることが有用であると示唆された。そのため、研究開始当初の予定では使用することを予定していなかったが、令和6年度以降は、N-gram分析も併用しつつ、分析を進めていくこととしたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(9 results)