| Project/Area Number |
23K12033
|
| Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
| Allocation Type | Multi-year Fund |
| Review Section |
Basic Section 01040:History of thought-related
|
| Research Institution | Sophia University (2024) Waseda University (2023) |
Principal Investigator |
小俣 智史 上智大学, 基盤教育センター, 助教 (00608432)
|
| Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
| Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
|
| Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,000,000、Indirect Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 2027: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2026: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
|
| Keywords | フョードロフ / ロシア思想 / サン=シモン / 博物館 / ロシア / 思想 / 西欧 / 共同性 / 西欧思想 / 空想的社会主義 / キリスト教社会主義 |
| Outline of Research at the Start |
本研究は、19世紀ロシア思想(フョードロフ、ドストエフスキーなど)における共同性、友愛や兄弟愛にもとづく人々の統一や連帯、協同の思想を研究対象とし、その形成過程に影響を与えた要素、とりわけ西欧思想からの影響について、宗教思想研究や社会思想研究、文学研究といった既存の枠組みにとらわれることなく総合的に分析する。そのことにより、従来西欧の哲学史・思想史から切り離されて論じられることの多かったロシア思想を、当時のヨーロッパ全体の思想的営為の流れの中に位置づけることを目指す。
|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、19世紀ロシア思想における〈共同性〉と西欧思想の影響関係を明らかにする試みの一環として、フョードロフの思想と西欧思想との比較および影響関係の検討を中心に研究を進め、研究会で以下の発表を行った。 2024年7月6日にロシア思想史研究会において、「フョードロフの博物館論」と題した研究発表を行った。この発表では、西欧近代のミュージアムをめぐる論説を比較対象にすることで、フョードロフの博物館論の特徴について考察した。具体的には、西欧近代におけるミュージアムが帝国主義の装置であり、西欧的価値観を反映したものであるのに対して、フョードロフが主張する博物館のあるべき姿とは古代のムセイオンを思わせる宗教・学問の場であること、加えて西欧近代のミュージアムが見るものと見られるものとの分化を促すのに対して、フョードロフは博物館の公共性、共同性に着目していることを指摘した。そして都市に内在しながらその傾向に異議を申し立てる存在として博物館を位置づけようとするフョードロフの試みを西欧近代批判の観点から説明した。 2025年3月29日にロシア思想史研究会において、「フョードロフとサン=シモン――博覧会論を手がかりとして」と題した研究発表を行った。この発表では、フョードロフの万国博覧会論から出発して、フョードロフ思想とサン=シモン思想との比較を行った。この比較考察により、フョードロフとサン=シモンの思想がともにキリスト教道徳、兄弟愛・友愛・博愛に注目した思想という共通点をもつものの、そのキリスト教道徳のとらえ方、とりわけフョードロフが「父子的関係」と呼ぶ過去の世代との関係を強調するか否かという点において決定的に異なることを明らかにした。 また、かねてより翻訳に取り組み、フョードロフについての解説を執筆した『ロシア宇宙主義』(共訳、河出書房新社)が2024年4月に刊行された。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシアによるウクライナ侵攻の影響を受けて外務省よりロシアへの渡航中止勧告が出されている現況をふまえ、今年度はロシアでの文献調査を断念し、可能な範囲の文献収集および収集した文献の検討に時間を費やした。しかし、ロシアでの調査を行うことができなかったため、いくつかの研究上重要な文献、とりわけ一次文献を手に入れることができていない。こうした入手が遅れている文献については、現在、ロシアへの渡航以外の手段で入手することができないか方法を模索している。 上記の理由により研究全体に多少の遅れが生じているが、今年度はこれまでに入手した文献の検討結果をもとに2本の口頭発表を行うことができた。特にサン=シモンを手がかりとして西欧の社会主義思想とロシア思想との関係について論じることができたことは、研究計画に照らして一定の成果といえる。 また、これらの発表に際して、ロシア思想の専門的知見をもつ研究者からさまざまな意見、コメントを得ることができた。その中には、19世紀ロシアにおけるサン=シモン受容が当時の女性論、女性解放論と結びつくものであった点など、発表では不十分であった視点を補い、さらなる研究の発展の糸口となる意見もあった。こうした知見を組み込みながら発表内容を整理しなおし、論文としてまとめてゆきたい。
|
| Strategy for Future Research Activity |
今後も19世紀ロシア思想と西欧思想の影響関係を明らかにする試みを続けてゆく方針に変わりはない。来年度以降も引き続き、関連する資料の収集を行う予定である。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響を受けてロシアでの文献調査が難しいため、これまでのところ日本国内を含むロシア以外の地域での文献調査を優先しているが、今後も引き続き状況を注視し続け、可能であればロシアでの文献調査を行いたい。来年度も状況が変わらない可能性もあるため、ロシアへ渡航せずに必要な文献を手に入れる方法についても検討してゆくこととする。 2025年度には、これまで収集した文献を用いて国内外の学会・研究会での研究発表や論文投稿にも注力してゆく。具体的には、2024年度に行った口頭発表の内容をまとめた論文の執筆を予定している。2024年度にはフョードロフの博物館論を西欧近代のミュージアム論と比較し、その特徴を明らかにした。また、フョードロフの万国博覧会論を手がかりとして、フョードロフ思想とサン=シモン思想を比較考察した。これらの発表に寄せられた意見をふまえつつ発表内容を整理しなおし、学術雑誌に論文として投稿する。 また、2024年度の研究・調査の成果を踏まえて、2025年度よりあらたにフョードロフとトルストイの思想を友愛・博愛思想として位置づけた上で比較する試みに着手したい。現在文献調査を行っている段階だが、研究発表ができるよう準備を進める。 加えて、当初の計画には含まれていなかったが、これまでの調査および研究の過程であらたに発見されたテーマについても、研究発表ができるようにさらに調査を続けてゆく。とりわけ、19世紀のロシア正教会における女性論と友愛・博愛思想との関係については重点的に資料調査を行いたい。
|