Project/Area Number |
23K12043
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
山下 晃平 京都市立芸術大学, 美術学部/美術研究科, 非常勤講師 (50792131)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2025: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 未完の美学 / サステイナビリティ / 日常美学 / 美術展 / 日本文化論 / ポストコロニアル / 日本性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、日本の美術展の変容を、美術史ではなく、日常性の美学の視点からの解明を試みる。2000年以降の大型美術展は、展から祭へと名称を変え、作品展示だけではなく地域文化や祭事と密接に関わってきている。一方で美学もまた、諸芸術に対する美的経験から、環境美学や日常美学のように、日々の営みの感性的体験へ拡張している。 本研究は、国内外の複数の美術展をリサーチし、この日常美学と日本の美的属性との接続を検討する。結果として、美術展の変質と日本文化の基層にある「無窮性」や「未完の持続性」との連関を捉え、日常美学における「日本」性を明らかにし、サステイナビリティ(持続可能性)の美学の理論的構築を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、会期を超えて地域文化との融合を図る日本の「美術展」の質的変容を、従来の美術史や文化政策領域からではなく、日常性の美学、すなわち感性論の視点から解明を試みる。その際、日常美学と日本の美的属性との交叉を図る。そのために2023年度は、美術展の実調査と「日常性」を要とする美学の理論研究を並行して行なった。 美術展の実調査として、本研究が対象とする愛知県三河湾内にある佐久島での活動、「三河・佐久島アートプラン21」を調査した。とりわけ鑑賞の様態や作品と場との関係性に注目しながら、美術展の構造について考察した。実際にこの活動は、高齢化が進む島のコミュニティ活性化を目的としながら、アーティストによる滞在制作を通して、地域住民との交流や地域文化再考のための「持続的な活動」が営まれていることが注目された。また、事務局であるオフィス・マッチング・モウルの代表の内藤美和氏にインタビューを実施し、誕生経緯や活動の目的、特徴について伺った。一方で、美術展の構造に関する比較研究として、ドイツ・ミュンスターでの野外彫刻「ミュンスター彫刻プロジェクト」の実調査も実施した。 理論研究では、感性論として「日常性」に注目し、先行文献の調査と分析を行った。2023年度は佐久島での「持続的な活動」に接続される理論研究として、「サステイナビリティ(持続可能性)」と日本文化の構造に注目した。レスリー・ポール・シーレ(Leslie Paul Thiele)をはじめとする「サステイナビリティ」の文化受容に関する理論や経済・メディア領域における東西の事例を押さえた上で、「サステイナビリティ」を「未完の持続性」へと変質させる日本文化の基層構造と表象文化との関係を捉えた。本研究については、2023年6月に開催された日本記号学会大会(東海大学)にて、「サステイナビリティと日本のコード」と題して単独の研究発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に理論研究と実調査を並行して実施し、想定した過程で研究は遂行している。2024年度もまた、日常性の美学に関する理論研究と、美術展と地域性に関する実調査の双方を行う予定である。 理論研究に関しては、2023年度の「サステイナビリティ(持続可能性)」の表象文化研究を踏まえ、「日常性」を要点とした感性論の研究を行っている。西洋美学では、環境美学や日常美学に関する先行文献を分析している。とりわけ、ユリコ・サイトウ(Yuriko Saito)やアーノルド・バーリアント(Arnold Berleant)、青田麻未における美的経験に関する対象や主体との関係性について焦点を当てている。一方で「サステイナビリティ」の性質で確認したように、日本文化の基層構造を捉えることも重要である。これに関しては、丸山真男や伊藤氏貴、桑子敏雄など、時空間的な日本の規範性や美意識に関する先行研究を精査している。 このような先行研究を踏まえながら、2023年度に調査した「三河・佐久島アートプラン21」について美術展の質的変容という視点から分析する。この研究は、展覧会史の視点ではなく、佐久島での関係者の美的経験を東西の感性論から考察することが有効であろう。 また美術制度の受容と変質という視点から、次の調査準備を行なっている。東南アジアにおけるオルタナティブなスペースや国内の各地で勃興している芸術祭の動向について情報を収集している。
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Strategy for Future Research Activity |
継続的に理論研究と実調査を継続することで、今日的な課題に即した美学研究のアップデートを図りたい。対象とした「三河・佐久島アートプラン21」、愛知県三河湾内にある佐久島での事務局・アーティスト・島民そして訪問者間に生じている美的経験の様態を分析することを通して、日本における美術展の変質と基層文化との関係について研究を進める。 今後は2023年度、2024年度での理論研究と実調査の成果とを組み合わせ、海外への情報発信としてオンラインジャーナル(World Art)への投稿を検討する。また国内では、美学会全国大会での研究発表を検討する。 実調査については、三河・佐久島アートプラン21との比較研究として、同じアジアの動向として近年の発展が著しいインドネシアにおけるオルタナティブ・スペース(ルアンルパ)を調査したい。また国内では、三河・佐久島アートプラン21と同様に、2000年代に隆盛する新興の大型美術展の先駆とされる「大地の芸術祭」(新潟県十日町市)を対象に、作品展示ではなく、地域の風土や文化との接触について調査を行いたい。
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