Project/Area Number |
23K12046
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 01050:Aesthetics and art studies-related
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮川 麻理子 立教大学, 現代心理学部, 助教 (50908259)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2027: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | 舞踏 / モダンダンス / コンテンポラリーダンス / 大野一雄 / 江口博 / 黒人文化 / 創作プロセス |
Outline of Research at the Start |
本研究は、暗黒舞踏とコンテンポラリーダンスを主たる対象とし、これらを美学的に捉えるのみならず、一つのダンスが立ち現れる創作のプロセスそのものを積極的に意味付けることを目指し、以下の3点からアプローチする。1)戦後のモダンダンスおよび舞踏に影響を与えた「黒人文化」の痕跡を探求し、 日本の近現代舞踊史を捉え直す。2)舞踏の創始者の一人、大野一雄が参照したテクストを検証し、同時代に翻訳された書籍、新たに流入した哲学的潮流、交流のあった作家によるテクスト等が舞踏成立において果たした役割を検証する。3)作品創作の過程で捨象されていくものに積極的意義を見出し、プロセス自体を論じる方法論を検討する。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、主として舞踏家大野一雄のテクストをめぐる調査を行った。大野一雄アーカイヴにて、近年新たに見つかった蔵書を整理し、データ化しつつ一覧リストを作成した。一部資料については大野による書き込みの具体的な分析を行い、その中間成果はDAN(ダンスアーカイヴ構想)HPにて発表した。 加えて、戦前から戦後のモダンダンスに関する調査を行った。2022年度より継続採択された、早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点の公募研究課題「江口博旧蔵資料にみる戦時下から戦後の舞踊」にて、舞踊批評家である江口博の旧蔵資料(舞踊関係舞台写真・新聞記事スクラップ他280点)を調査した。この研究チームメンバーとともに、11月にはフランス国立舞踊センター(パンタン)にて、学術研究会「江口博旧蔵資料から見る昭和日本のモダンダンス」を開催した。その中で、戦時中のモダンダンサーたちの活動に注目して、フランス語にて研究発表を行なった。また本研究会および本科研費の資料調査の成果として、冊子『江口博旧蔵資料から見る昭和日本のモダンダンス』を発行し、論考を掲載した。また渡仏に際して、フランスにおける舞踏についての資料調査、フランスのコンテンポラリーダンスの上演の視察も行った。 そのほか、ダンサーの創作プロセスの意義を検討するため、舞踏家・大野慶人の稽古について研究発表を行なった(「自己の身体に対する解像度を上げる──大野慶人の舞踏の稽古」(パネル「ままならない身体」をめぐる思考と実践)、『表象文化論学会第10回大会』東京大学駒場キャンパス)。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度に実施予定の資料調査、とりわけ舞踏家の大野一雄に関しては、順調に調査が進んでいる。本年度は、アルバイトも雇用しつつ、大野自身の書き込みのある蔵書のリスト化を行い、内容の精査にも取り組んだ。ただし大野による蔵書への書き込みが膨大なページに渡るため、その踊りへの影響のあり方はまだ議論の余地が残されている。 また、舞踏とモダンダンスの歴史的背景については、早稲田大学演劇博物館演劇映像学連携研究拠点の2023年度公募研究課題に採択されたことで閲覧可能となった江口博旧蔵資料などをベースに、より詳細な情報を収集・分析した。予定していた海外(フランス)での研究会の開催と冊子の作成により、日仏の研究者間でモダンダンスと舞踏を巡って有意義な意見交換の機会が持てた。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は、戦後の対日文化政策、とりわけアメリカ文化センターに関連する資料(当時のモダンダンスの講習会に関わる告知文書や内部資料など)の調査を行いたい。この機関を含めて冷戦期にアメリカから日本へダンサーを派遣した記録など、補完的な資料を閲覧するため、NYPL、National Archives等を訪問することを計画している。ただし、円安の状況次第では再来年度以降に延期することも検討する。 また、黒人文化と舞踏の関連を示す上で重要な《ニグロと河》(1961)という作品に関して、イエール大学で教鞭をとるRosa van Hensbergenと共に共同研究を計画中である。 さらに、コンテンポラリーダンスの創作プロセスに関しても研究を進める予定である。具体的には、ダンサーへのインタビュー等を計画している。
|