Research Project
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
物語や説話・伝記類が積極的に夜を描写し、詩歌が闇の中で先鋭化される感覚を描写する一方で、絵巻が夜景を昼景と描き分ける技法は近世に入るまでほぼ未発達であった。 その理由を問うことは絵巻の制作・享受の在り方の本質への大きな問題提起となる。本研究は「闇」というテーマを中心として、中世絵巻のテキストとイメージの表現の相関性について追及し、その翻案・受容の様態の特徴を新たに浮かび上がらせるものである。またそのデータの形成・公開により、近年のデジタル人文学推進の動きとともに公開範囲が拡大しつつある日本古典籍のうち、最も一般や海外からの関心が高い絵巻作品の学術情報へのアクセス性の向上も企図したい。