Project/Area Number |
23K12079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
川崎 美穏 愛知教育大学, 教育学部, 助教 (60965010)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 鍋島家 / 近世文芸 / 和漢聯句 / 連歌 / 和漢俳諧 / 武家 / 鍋島 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、中世・近世の韻文研究史上に空白期が生じている文芸「和漢聯句」を対象に、当時の人々の和と漢にわたる〈知〉がどのように往還し、作品に昇華されたのかを明らかにする。近年、和漢聯句は和の知識(和歌・連歌・物語・謡曲)と漢の知識(漢詩・漢故事)が凝縮される特質上、その研究の重要性が認識され、禁裏の文化圏を中心に、中世から近世初期(17世紀前半)までは基礎研究が進むが、武家については未開である。 そこで、現在の佐賀県一帯を支配した鍋島氏の文事を対象とし、その和漢聯句作品の収集と本文整備を行い、催行の背景を記録『塵袋』の分析と、作品への影響関係を詩文集『楓園家塵』の精読などにより明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中世・近世の韻文研究史上に空白期が生じている文芸「和漢聯句」を対象に、催行と表現の実態を分析し、当時の人々の和と漢にわたる〈知〉がどのように往還し、作品に昇華されたのかを明らかにする。具体的には武家鍋島氏(現在の佐賀県一帯を支配)の近世前期・中期(17世紀-18世紀中頃)の文事を検討の対象とし、その和漢聯句作品の収集と関連学書の本文整備を目指す。このように近世期の西国の文事に関して、和漢聯句を軸に据えて検討することは、文化の中心地京都から離れたいわゆる「地方」という地理条件にあって、いかに中央の流行を摂取し、自分達の作品に昇華させようとしたのか、またその途上で生じる人間交際、学書のやり取りを分明にすることに繋がる点で意義がある。また、西国の一大名の文事のみならず、近世文化全般に関わる重要な視座となる可能性を秘める。 鍋島直條、直郷の和漢聯句の基礎的整理と分析のために、祐徳稲荷神社(中川文庫)が蔵する、直郷が関わる和漢聯句約20作品の翻刻を行い、データの蓄積を行った。また、佐賀県立図書館の郷土資料目録を縦覧し、鍋島氏が関与したと思しい未翻刻の和漢聯句作品の有無を悉皆調査した。また、鍋島氏の日常の備忘録である『塵袋』の分析を通して、聯句を詠む環境に至った目的と背景を不足なく抽出することを目指すため、当該資料の全丁の撮影が完了したことで、資料の分析を行う上での大まかな道筋をつけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、計画通り佐賀県立図書館及び祐徳稲荷神社において資料の書誌調査及び撮影を行うことで、今後の作品の具体的な分析の基礎的な素地を築くことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた成果は、近世大名の〈知〉のあり様の一端を解明するのみならず、俳文学(この頃享受された「和漢俳諧」への示唆)及び歴史学(文芸を介した人的繋がり)など、隣接分野と異分野にも新たな貢献をもたらすことが期待できる。具体的には、鍋島氏が和漢聯句の創作に際し、活用した関連学書(九州大学檜垣文庫「国花集」など)に関わり、当時の和漢聯句の式目の運用について論考をまとめる予定である。また、催行の背景を記録『塵袋』の分析と、作品への影響関係を詩文集『楓園家塵』の精読などにより明らかにする。なお、「和漢俳諧」に関する問題は、俳諧論書の記述が糸口になることから、鍋島家における俳諧資料の博捜も併せて行なっていく必要がある。
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