Project/Area Number |
23K12080
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02010:Japanese literature-related
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
金子 はな 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 助教 (80964618)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 俳諧 / 芭蕉 / 蕉門 / 惟然 / 生き方 / 俳句の国際化 / 注釈 / 芭蕉流 |
Outline of Research at the Start |
従来の俳諧史は芭蕉の俳風(蕉風)を最高到達点とみなし、芭蕉と俳風が異なる作者を評価してこなかった。それは芭蕉の門人についても同じである。しかし芭蕉が追究していた俳諧の本質である「生き方としての俳諧」という視点で見ると、直弟子たちの多くはそれぞれの仕方で芭蕉を深く理解していたことがわかる。 本研究は、そうした門人の一人である惟然の全発句に詳細な注釈を加え、芭蕉と惟然が共有していた「生き方としての俳諧」という視点から分析評価することで、その現代的意義を解明しようとするものである。これは芭蕉の俳風を頂点とする狭く歪んだ現在の俳諧史を、「生き方としての俳諧史」へと再構築するための基礎研究である。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終目的は、「芭蕉の俳風」を基準とする従来の俳諧史を、芭蕉と弟子たちが真に追究した「生き方としての俳諧」の視点から再構築することであり、そのための基礎研究として、惟然の発句の全注釈を行うものである。 初年度にあたる2023年度は、すでに知られている約420句のうち、250句の注釈を行った。現在のところ、概ね作品の成立年代順に進めている。注釈にあたっては海外の研究成果も積極的に参照しており、特にドイツの俳文学研究者Ekkehard May(ゲーテ大学名誉教授)による発句注釈には、従来の日本の注釈とは異なる詩としての価値を評価する視点があり、現在この視点も取り入れながら具体的な注釈を進めている。 作品注釈と並行して惟然作品の思想的背景の解明も進め、その成果を2点の学術論文として発表した。1点目は惟然に対する芭蕉の教え「無分別」の解釈転換によって、長らく惟然の評価に影響を与えてきた鈴木重雅の惟然「邪路」説には根拠がないことを示した「惟然の「無分別」」(『俳文学報』57号)、2点目は芭蕉と門人の信頼関係を支えた〈生き方の理想〉という視点が従来の俳諧史を変革する可能性を有することを、芭蕉と惟然の関係性を例に論じた「俳諧研究における「生き方」という視点の可能性」(『日本文学文化』23号)である。さらに、惟然が芭蕉との関わりの中で自らの生き方を深化させていく過程も解明したので、その成果を2024年刊行予定の著書(共編著)において公開する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は研究計画の通り、発句の注釈を中心に進め、予定していた句数分の基本的な注釈は終えている。注釈・評価に大きく寄与する惟然の思想研究にも進展があり、加えて海外の研究成果を取り入れることで従来の日本の俳諧研究にはない新たな注釈の視点を得た。これらの点から、「おおむね順調に進展している」と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り進める。 2024年度は引き続き、残りの発句の注釈を行う。2025年度からはこの注釈の成果に基づき、作品全体の特徴、魅力、現代的意義を解明する。なお本研究で行なった全注釈の成果は、書籍にまとめ新典社から刊行する予定である。
|