Project/Area Number |
23K12114
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02020:Chinese literature-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
LIN LITING 関西学院大学, 言語教育研究センター, 講師 (30823439)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 清末女性医師 / 英語創作 / 金韻梅 / 康成 / 華人 / 医学 / 張愛玲 / サマセット・モーム |
Outline of Research at the Start |
本研究は清末女性医師の異文化体験と創作活動を取り上げ、女性知識人の自己表現のしかた、女性観やアイデンティティの形成を考察する。基本作業は、文献資料を蒐集したうえで、広くジェンダー、社会学、文化人類学、宗教学の方法を取り入れて金韻梅と康成の創作を分析するというものである。その成果を適宜学会等で発表し、論文化する。また、ワークショップやセミナーを開催し、研究成果を社会に公開する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、金韻梅と康成の創作活動について調べ、女性医師が創作する際、どのように医学の知識を文学に生かしたかを念頭に置きながら、医学と文学の交差の問題を考察した。 2023年6月25日、AAS-in-Asia(韓国大邱慶北大学校)で"Being a New Woman: Female Bilingual Influencer in Late Qing,"というタイトルで金韻梅の英語創作について発表した。ハワイの華人を描くにあたって、金韻梅は中国人の「伝宗接代」=子供を産み、家族の血統を継承することをモチーフに選び、子供に恵まれない夫婦の葛藤や解決策をストーリに練った。中国人移民の歴史やハワイとアメリカ本土の差異、テクスト分析を通して、金の創作の意味を論じた。また、金韻梅のエッセーで中国人の神経の問題に触れ、医学の知識を以て「中国人は神経麻痺である」という西洋人の観点を論駁したことを考察した。 2023年10月5日、シンポジウム「太平洋を跨いで――在米華人の文芸活動――」を企画・運営し、「晩清女医のエクリチュール――康成の抱いた理想――」というタイトルで康成の創作について発表した。康成の作品では、女性がどのように国に貢献できるかがモチーフである。たとえば、An Amazon in Cathay はヒロインの戦場での挫折と失敗を描写し、女性にとっては真の愛国とは男のように戦場で戦うことではなく、キリスト教の導きで看護師として女性と子供のために奉仕することだと説いていた。一方、数年後に書かれたDaughters of Cathayというルポルタージュ風の作品では良き娘、良き母である中国人の女性を賛美し、康成の考え方の変化が分かった。 さらに、本年度は第二次世界戦争期にデビューした中国人女性作家、張愛玲の研究に着手し、女性作家の西洋文化の受容のあり方について新な知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
金韻梅の創作について学会発表を経て、論文にまとめ、現在は投稿中。 京都大学大学院人間・環境学研究科東アジア文明講座と共催し、アメリカのWellesley Collegeの教授であるMingwei Song先生を招いて、「サイノフォンSFにみるポストヒューマンの表象」と題する学術講演が行われた。SFとジェンダーの問題に関する示唆に富んだ意見を得ることができた。 また、香港城市大学の研究者であり、映画監督でもあるShiyu Louisa Wei先生を招き、20世紀アメリカに活動した華人女性の文芸活動についてシンポジウムを開いた。Golden Gate Girlsの上映会をし、映画製作と文学の交差の問題などについて議論し、実りが多かったシンポジウムである。また、同シンポジウムで、康成の創作について発表し、研究成果を共有した。これから論文に取り掛かる。 当初の計画では清末の女性医師の創作に焦点を当てる予定であったが、材料が限られていることに鑑み、時期を限定せずに20世紀中国人女性の越境体験と文学創作に目を広げることになった。その一環として、20世紀中国文学で最も重要な作家の一人である張愛玲の研究に取り組むことで、近代中国人女性の異文化体験や西洋文化の受容のあり方を包括的に理解することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1、ハワイ出張を実施し、金韻梅が描いたハワイの華人の歴史について調べる。 2、中国人女性作家の西洋文化の受容を考察するため、去年始めた張愛玲研究をし続ける。 3、ジェンダーの視点で中国SF小説における革命と恋愛の問題を考察する。
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