Project/Area Number |
23K12131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02030:English literature and literature in the English language-related
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
庄子 萌 立命館大学, 国際教育推進機構, 嘱託講師 (10961930)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,470,000 (Direct Cost: ¥1,900,000、Indirect Cost: ¥570,000)
Fiscal Year 2025: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | パフォーマンス・フェスティバル / 観客 / 鑑賞体験 / パラテクスト / 演劇パフォーマンス研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、テーマ性をもってキュレーションされたパフォーマンス・フェスティバルの空間を考察の対象とし、フェスティバルという文脈で並置された複数の作品がいかに互いに影響し合うか、またフェスティバルという「場」がパラテクストとして、いかに作品に意味を付与しうるかを検証するものである。フェスティバルが観客の鑑賞機会やアーティスト間の交流・協働を創出するばかりでなく、「場」そのものが作品の意味や観客の鑑賞態度に対して作用しうることを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではテーマ性をもってキュレーションがなされたパフォーマンス・フェスティバルの空間における意味の生成と重なりを、パラテクスト的アプローチから検討することを目指している。後述の通り全体に遅れが生じてはいるが、現地調査の予備的な活動と、実践へとつなげる最終段階に向けた準備を行うことができた。 2023年8月には、コロナ禍による中断、規模の縮小を経て、3年ぶりに従来規模での開催に至ったエディンバラ国際演劇祭およびフリンジでの作品傾向を探ることを目的として現地へ赴いた。申請者が特に関心を寄せる一人の観客のための作品、特に演者と観客の近接した距離での邂逅を含むものは減少傾向にあり、そうした作品の中でもロックダウン時のヘルプラインに着想を得たものや、物理的な距離を介した他者との出会いで縮まりうる心理的距離をテーマとした作品など、世界情勢によりもたらされた空白を省みるものが目立った。この渡航により各ヴェニューでのキュレーションのあり方や中断を経ての作品の傾向や観客の動きについて概観でき、翌年度以降の現地調査の準備となった。 また本研究の最終的な目標である「研究の実践への接続」についての活動を開始した。観客と作品の関わり方、また鑑賞の経験をいかに差し出すかについて、関心を同じくする現代美術作家との協働プロジェクトを2023年4月に立ち上げ、同年12月には企画の公募を開始するに至った。これは美術作家、工芸の実践者、研究者、詩人など、様々なジャンルや形式で活動する方々との長期的なR&D活動であり、各参加者の実践や作品を中心に鑑賞体験を巡る試行と批評を重ねたのち、2025年初頭にはひとつの空間の広がりの中で複数の作品を経験できるような一種のフェスティバル空間を創出することを目標とするものである。12月の公募の結果、8名の参加者を得て、2024年4月より実験会を開始、試行と対話、考察を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
予測できなかった状況により遅れが生じ、総合して「遅れている」と言わざるを得ないが、一方でやや前倒しで進められている側面もある。まず、所属研究機関内部での競争的資金を利用して、2023年3月に本応募研究課題の準備段階にあたる先行研究の検討と文献調査を行う予定であったが、この時期に家族に不幸があり渡航が叶わなかった。そのため、別途予定していた2023年8~9月の渡航時にLADAのThe Study Roomの利用を試みたが、夏期のスタッフ入れ替えに伴い、同年夏は概ね閉室しているとの回答で、利用に至らなかった。これらのことから本研究課題の基礎となる現地での文献調査に十分に時間をかけるに至っていない。また、2023年10月のSPILL Festivalでの調査と鑑賞も当該年度の重要な活動のひとつと位置づけていたが、フェスティバルの性質と開催の形態に変化が見られたため、考察の対象としての有用性に変化が生じたと考えて現地調査を見送った。コロナ禍による中断と2021年の小規模な再開を経て、従来の規模と形式を取り戻すかと予想されたが、2018年までの規模や期間での開催には至らず、芸術監督が交代したことによりプログラムの性質に変化があった。フェスティバル空間という文脈に一定の時間的幅をもって観客が身を浸す環境が減じたと判断してSPILLでの調査を取りやめることとし、イギリスでの現地調査は今後実施する。一方、フェスティバル空間の創出に向けた取り組みは、やや前倒しで始めている。上記研究実績の概要にて言及した現代美術作家との協働プロジェクトがこれにあたり、2025年1~3月に複数日程で発表の機会を創出することにつなげるべく、参加アーティストらとの対話や実験会を重ねており、このプロジェクトで得られた知見は本研究課題の成果発表に結びついていくものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究課題の基礎をなすパフォーマンス・フェスティバルという「場」に関する先行研究の検討および文献調査を国内において進めたい。2024年10月に英バーミンガムで開催予定のFierce Festivalには計画通り調査に赴くことを予定しており、このときにLADAのThe Study Room、 University of BristolのTheatre Collection、Bristol Archives所蔵のArnolfini’s archivesなどで現地資料の閲覧・利用をしたいと考えている。また日本国内で行われるフェスティバルについての現地調査や参加、聞き取りについてもKyoto Experiment等を中心に進める。全体的な遅れから、当初2024年度内に計画していた資料やデータの整理と考察、また2024年後半に予定していた成果の発表を今年度内に行うことは難しいのではないかと考えているが、最終年度である2025年に成果の発表に取り組めるよう、本年度内は文献調査に加え、現地調査と前述の協働プロジェクトの推進を通じて実践的な側面からも考察の素材を収集することに努めたいと考えている。
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