Project/Area Number |
23K12138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02040:European literature-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
田邊 まどか 愛知県立大学, 外国語学部, 講師 (30845889)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | フランシスコ・デ・ケベド / スペイン黄金世紀 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、紀元前7世紀から紀元10世紀までにギリシア語で書かれた短詩(エピグラム)の集成である『ギリシア詞華集』の影響を、16世紀末から17世紀前半のスペイン文学、特にフランシスコ・デ・ケベドの詩作品において明らかにすることを目的とする。ケベドは、17世紀初頭から野心的な若い詩人として、理想的なカスティーリャ語の詩の探求に取り組み、特に「シルバ集」のなかで、牧歌や道徳詩など、古典文学に見られる様々なジャンルを組み合わせて新しい詩の方法を模索している。本研究は、『ギリシア詞華集』をケベドによる詩の革新の探求のなかに位置付け、この偉大な詩人の詩論の広がりを示すことを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究において、フランシスコ・デ・ケベドの作品の変遷を同定することと、その変遷のなかでどの時点でギリシア語文学の影響が表れるかを知ることは重要である。そのため、確実な年代が分かっている手稿や出版本を参照することが必要である。 この目的のため、2024年3月にスペインおよびポルトガルにて資料収集を行った。まず、パルマ・デ・マヨルカのバルトゥルメ・マルク図書館所蔵のFlores de poetasは19世紀末にその当時の正書法に従って校訂され、印刷された後には版が出ていないという状況にある。今回の学外研究で17世紀の正書法や句読点を実際に確認することができたため、ケベドの詩作品の発展においてかなり初期にあたるこれらの作品をより正確に他の時期の作品と比較するための基礎を得られた。また、同書に収集された他の詩人についても同様の点を確認することができた。スペイン国立図書館では、17世紀の初版本に触れ、図版などを閲覧することができた。さらに、ポルトガルのエヴォラ公立図書館では、17世紀におそらくポルトガル人の蒐集家によって筆写されたケベドの作品集の手稿本を閲覧したが、実際に手に取って見ることによって、蒐集された時期が2回以上に分けられること、それが18世紀のポルトガル人によって再び集められ、製本されたことが分かった。このことは、ケベドの作品の執筆年代を特定するためにこの資料を参照する際に、どちらの時期の部分に属するかを注意深く確認することが必要であることを示唆している。また、正書法や他の版との差異についても、現代の校訂版ではあまり明らかでなかった細かい点を確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
基本的な資料の収集・調査に当初の想定以上の時間がかかっている。複数の健康上の問題が明らかになり、研究をする十分な時間が確保できなかったことが理由の一つである。 そのため、『ギリシア詞華集』およびそれについての研究の収集・精読が予定どおりに進んでいない。また、上記の研究の成果の発表をする機会を持てなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、スペイン・ポルトガルでの資料収集の成果に基づいて、ケベドの詩作品のうち初期から中期における変遷について、特にギリシア語文学との関連を指摘した論文を執筆する。そのなかで、エヴォラ手稿の構成に触れた先行研究はおそらくないため、特に重点をおいて指摘したい。 一方で、『ギリシア詞華集』の精読およびそれについての研究の収集については、あまりに膨大であり、17世紀のスペインでよく知られていた詩人やジャンルに限るという範囲の集中が必要であると考えている。
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