『可洪音義』における引用文献の研究 -「首音」と出典明記の引用文献を中心に-
Project/Area Number |
23K12166
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
季 鈞菲 関西学院大学, 言語教育研究センター, 講師 (60965507)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,640,000 (Direct Cost: ¥2,800,000、Indirect Cost: ¥840,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 仏典音義 / 可洪音義 / 玄応音義 / 慧琳音義 / 中古音 / 重紐現象 / 反切 / 漢語音韻学 |
Outline of Research at the Start |
『可洪音義』は五代後晋の僧である可洪によって作られた仏典音義である。この資料は規模が厖大で、引用文献が豊富である。これまでに文字学、音韻学、文献学、訓詁学などの方面において様々な研究結果が発表されているが、この資料における豊富な引用文献の研究はあまり行われていない。特に、可洪の注釈相互間に存在する体系的相違に関する討論はまだ乏しい。 本研究では音韻論の角度から、『可洪音義』全書をデータベース化した上で、全面的に『可洪音義』における首音の層別と出典明記で引用された文献の実態を考察する。それによって、可洪本人の正音意識と音韻体系の究明及び『可洪音義』の中国語音韻史における位置の解明が期待される。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は以下の通りである。 1、前半は今まで整理したデータを利用して、『可洪音義』に関連する口頭発表(「重紐現象的歴時性研究(重紐現象の通時的研究)」、2023年5月、マカオ理工大学にて)を一回行い、そして論文(「中古止攝重紐韻唇音字演變特徴初探(中古止攝重紐韻唇音字の変遷上の特徴に関する初歩的研究)」、2024年2月、『関西学院大学外国語紀要人文科学編』Vol.28 pp.189-208)を一本公表した。 2、後半は『可洪音義』における『玄応音義』に関連する引用情報を整理し、為一(前六巻、『大般若経』から『仏説太子須大拏経』まで)の整理結果をまとめ、口頭発表(「《可洪音義》所引《玄應音義》再考(『可洪音義』に引用される『玄応音義』についての再検討)」、2024年3月、神戸市外国語大学にて)を一回行った。 3、全年度の作業として、『可洪音義』の各バージョンを集めて比較しながら、全書のデータベースを適宜改善を加えながら構築している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初、以下の三つの目的が設定されている。1、『可洪音義』のデータベースの構築;2、『可洪音義』における「首音」の層別解明;3、出典明記で引用された文献の実態解明。 2023年度には、「首音」の層別解明はまだ展開していないが、資料収集、データ化、修正、分析などの作業を経て、データベース(反切総覧)の骨組みを作成している。これらに基づいて、2024年度に成果物を書籍化することが可能である。また、目的3については、2023年度には引用の量が一番多い『玄応音義』に関連する引用の調査を終えて、その成果の一部を研究会で一回発表を行った。2024年度に当該部分を完結させ、ほかの引用文献の調査を展開する予定である。 以上に基づいて、おおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は以下の通りに推進する予定である。 1、『可洪音義』に引用されている『玄応音義』の実相と層別を究明する。いわゆる「経音義」という書名で引用されているものの中には、『玄応音義』由来のものもあれば、それ以外のものもあると考えざるを得ないものもある。また、「応和尚」などの形式で現れる『玄応音義』由来であることを明示した引用と「経音義」型引用の中に見られる『玄応音義』と一致する音注、釈文が如何なる関係にあるのか、これを究明することを2024年度に推進したい。 2、『可洪音義』における『慧琳音義』の引用の可能性を検討する。従来の研究では『慧琳音義』を引用した可能性については詳しく検討されていない。しかしながら、筆者がこれまで整理したところでは、『可洪音義』前六巻における「玄応音義」型引用と「経音義」型引用において、『慧琳音義』の義注または反切の字面と一致するものが僅かだが、存在している。また、『可洪音義』の成立時間より五十年くらい遅れた遼の行均の『龍龕手鑑』(997年に成立する)において明らかに『慧琳音義』を引用しているため、戦争などの原因によって『慧琳音義』の流布が妨害された事実もあるものの、全く引用しなかったことはやや不思議に考えられる。そのため、全面的に『慧琳音義』を書名を提示せずに引用した可能性について検討することをも2024年度に推進したい。 3、『可洪音義』の反切総覧を作成する。最も重要な仏典音義として、『玄応音義』、『慧琳音義』、『希麟音義』は既に上田正氏によって反切総覧が作成されている。他に『玄応音義』には周法高氏、『慧琳音義』には神尾弌春氏のものもある。しかし、量的には最大な『可洪音義』は、まだ反切総覧は作成されていない。研究報告の一環として、今まで整理したデータに更に分析を加えた上で、2024年度に『可洪音義反切総覧』(仮書名)を作成する予定である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)