Project/Area Number |
23K12173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
堀内 ふみ野 日本女子大学, 文学部, 准教授 (80827535)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 打ち言葉 / 用法基盤 / 逸脱 / 構文形成 / デジタルコミュニケーション |
Outline of Research at the Start |
「文法構造は実際の言語使用からどのように形成されるのか」という用法基盤モデルの根幹をなす問いに対し、言語の使用モードに応じたコミュニケーションパターンが文法構造の形成を動機づけるという仮説を、インターネット上の「打ち言葉」に見られる逸脱的な文法構造(変則的な修飾構造の形成等)をもとに追求する。特に、日本語の打ち言葉における非標準的な句読法に着目し、打ち言葉に特有の構文がもつ形式的・機能的特性、および、その構文の特性と打ち言葉のコミュニケーションパターンとの対応関係を明らかにする。これを通して、文法構造がコミュニケーションの目的や環境の特性に依拠して組織化されていくメカニズムの解明に貢献する。
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Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績は、以下のとおりである。 第一に、インターネット上の「打ち言葉」に見られる逸脱的な文法構造(変則的な修飾構造の形成等)に関して、特に日本語の非標準的な読点の用法に着目した分析を推進した。コーパスを用いた調査によって、読点の前後に生起している語の特性を調査した上で、非標準的な読点が生じる動機付けを認知言語学や用法基盤言語学のアプローチで分析した。分析を通して、逸脱的に見える構造も一定のパターンで用いられていること、それらはより高頻度の構造からの拡張を通して生じたと考えられること、構造の形成はメディアやデバイスの特性によっても動機づけられていることを明らかにした。研究成果は、Journal of Japanese Linguisticsおよび社会言語科学会第5回シンポジウムにて発表した。 第二に、本研究課題の「言語の使用モードに応じたコミュニケーションパターンが文法構造の形成を動機づける」という仮説を、日本語の日常会話における逸脱的な文法構造の分析からも探求した。インターネット上の「打ち言葉」では、助詞や活用語尾といった付属要素の前に何らかの区切り(読点をはじめとした記号的要素)が挿入されている事例が観察される。これを踏まえ、日常会話において付属要素の前に発話の切れ目やポーズが生じている事例を分析し、「打ち言葉」に見られる現象と比較した。この研究から、逸脱的に見える文法構造が、それぞれのコミュニケーション環境の特性に依拠して組織化されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ分析、論文執筆、学会や研究会での成果発表を、おおむね予定通りに実施できている。学会や研究会への参加を通して、他分野の研究者からも関連する事象について情報提供を受けており、分析対象にも広がりが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、デジタルコミュニケーションの環境に見られる逸脱的な構文に関して、会話における逸脱的構文とも比較しながらデータの記述と分析を進める。次年度はメディアやモードの比較に特に注力することで、コミュニケーション環境の特性に依拠した構文形成のメカニズムを探っていく。
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