Project/Area Number |
23K12174
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02060:Linguistics-related
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Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
三好 伸芳 武蔵野大学, 文学部, 講師 (90824300)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2026: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 前提性 / ツリーバンク / 文体差 / 代名詞 / ムードのタ / 日本語 / 意味論 / 投射的意味 / 前提 / 直喩 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、直喩表現などのを手掛かりとして、言語的意味にはどのような多様性があり、それらがどのような要因によってもたらされるかを明らかにする。例えば「彼は医者みたいだ」のような直喩表現では、「彼は医者ではない」ということが暗に含まれているが、このような含みがどのような言語的意味であるのかについては、十分に明らかにされていない。このような言語事実を対象として、言語が持つ意味の内実に迫ることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、前提的解釈が見られる多様な環境を分析することで、前提的意味の全容およびその成立要因を明らかにすることにある。前提的な解釈は、多くの場合文の述部によってもたらされるが、どのような述部によってどのような前提性がもたらされるのかは十分に明らかにされていない。 このような事実を踏まえ、本年度は述語およびその項となった名詞句の分布を語彙的な観点から調査・分析した。具体的には、統語解析情報を付与した現代日本語のコーパスである「かいのきツリーバンク」を用いて、どの述語がどの名詞句を主語とする場合が多いのかを量的に明らかにした。調査の結果、(1)代名詞は場面展開の中で繰り返し言及される文学的文章においては相対的に多く使用されるが、説明的文章においてはダイクシス表現を避けるために使用が制限される、(2)代名詞主語と名詞述語文の用例数が文学的文章において相対的の多く観察され、「ソ系指示詞+過去形名詞述語」という組み合わせによって発見の意味(いわゆる「発見のタ」)が効果的に使われている可能性がある、という2点が示された。 以上の事実は、前提性を持つ名詞句(固有名詞や代名詞など)が語彙的意味や位相などの影響下において述部と特異な関係を結ぶことがあることを示していると考えられる。すなわち、前提的な名詞句は、たとえば文学的文章においては反復的に使用することが好まれるが、説明的文章においてはむしろ反復的な使用が制限され、共起する述語の傾向も異なっていると言える。述部と名詞句の相関を量的に調査した本研究は、前提性に対して名詞句の語彙的性質に基づく分析の観点を提供したと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、述語がもたらす前提性について、どのようなタイプの前提性があり、それがどのような述部によってもたらされるのかを明らかにすることが本研究課題の第一段階における目標であった。一方、述語と名詞句の共起関係について実態調査は行ったものの、そこから十分に前提性のタイプや前提性をもたらす述部の要因を明らかにできたとは言い難い状況にある。より巨視的には、他の職務や家庭環境等に起因する研究環境の変化により、十分なエフォートを割くことができなかったという要因も考えられる。以上のことから、本研究課題は当初の予定よりもやや遅れて進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後取り組むべき課題として、本研究課題の第一段階の目標である「どのようなタイプの前提性があり、それがどのような述部によってもたらされるのか」を整理することが挙げられる。そのためにも、学会や研究会で積極的に成果の公表と議論を行っていくことが重要となる。全体の業務内容を整理したため、昨年度に比べて本研究課題により多くのエフォートを割くことができると考えられる。研究課題と研究環境の両面から、研究を推進できるよう準備を進めていく。
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