Project/Area Number |
23K12197
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02070:Japanese linguistics-related
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 真由美 京都府立大学, 文学部, 講師 (40882395)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2025: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 国学 / 平田篤胤 / 万葉仮名 / 神代文字 / 用字法 / 表記体 / 国語学史 |
Outline of Research at the Start |
万葉仮名研究史では,主要文献の分析を繋いで特定の観点の史的展開をできるだけ単線的に追うのが一般的であり,用字法研究と字母・字源研究の関係など,同時代に併存した複数の観点の関わりあいは十分に明らかにされていない。本研究は,近世後期の国学で大きな影響力を持ちながら,現代の研究には直接的に繋がらず,万葉仮名研究史においても顧みられていない平田篤胤の学説を立脚点に据える。篤胤の学説における万葉仮名の定義や扱い方,文字・表記観を明らかにし,それが同時代・後世の研究の方法や視座に与えた影響を考察することを通して,俯瞰的な万葉仮名研究史の記述を試みる。
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Outline of Annual Research Achievements |
平田篤胤の万葉仮名研究の全体像を明らかにする第一歩として、2023年度は篤胤が万葉仮名をどう定義し,神代文字やひらがな・カタカナとの関係のなかでどのように位置づけていたか明らかにすることを目的として、篤胤が自身の文字・表記観を述べた「古史徴開題記」を精読した。その結果明らかにしたことは、①神代文字の実存を主張し、神代文字とひらがなの連続性を説くことに主眼がある篤胤の学説において、万葉仮名は両者をつなぐ役割しか担わず、文字・表記史上におけるその重要性は低くみられていること、②宣長以来、文字の用法を体系的に整理する用字法研究において「仮字(一音節音仮名)」は別格の位置づけを与えられてきたが、篤胤の学説ではその役割が矮小化し、特権性が薄れていること、③神代文字があったと想定することで「日本語が書けなかった時代」がなくなり、文字・表記史の一方向性の展開を描けるようになったこと、④文字・表記史を描くなかで、文体史と表記史とは異なるものとして理解されており、現代でいうところの「表記体」に相当する概念が生まれていること、である。篤胤の学説は、その動機こそ現代の学術的な水準から肯定しがたいものの、研究の視座や方向性にはみるべきものがある。国学における伝統的な日本語研究の視座や方法の転換点として注目に値するのみならず、従来の日本語学史においてまったく顧みられてこなかった学説にも目を配る必要性を示唆するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の途中で代表者の所属機関が変更になり、研究の環境が変わったものの大きな遅れはなく、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、予定通り近世後期に活躍した篤胤以外の国学者(伴信友『仮字本末』など)の文字・表記観や万葉仮名の扱い方について考察する。各書の文字・表記観や万葉仮名の扱い方と篤胤のそれを対照し,共通点・相違点を指摘することで、篤胤以前と以後で万葉仮名に対する認識がどのように変化したか明らかにしようと試みる。これに加えて、当初の予定にはなかった、篤胤周辺とハングル研究の関係を新たに考察対象に加えたいと考えている。
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