Analysis of the EU Clear Language Initiative and Its Possible Application to Japanese Language Policy
Project/Area Number |
23K12225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 02100:Foreign language education-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細川 尚子 東京大学, グローバルリーダー育成プログラム推進室, 講師 (70898030)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2027: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | やさしい日本語 / 言語政策 / 多言語主義 / 外国語教育 / 社会言語学 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、欧州連合(EU)における多言語主義に基づいた言語政策の実施状況および成果を調査し、日本社会での応用の可能性を検討する。主な研究対象は、EUで実施されている「クリアランゲージ」のガイドラインとする。これはEUおよび関連機関において英語など共通言語を使う場合にわかりやすい言葉を使うための指針である。設立当初から多言語主義を掲げているEUにおける言語政策の功績や問題点を分析することで、多言語化する日本における「やさしい日本語」など言語政策のあり方を解明することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は予定通り主に欧州におけるクリアランゲージ製作、ガイドラインの背景、内容について国際学会での発表および資料収集を行った。さらに、研究実績をもとに、ゼミ授業を行った。まず、国際学会の発表は予定通り2023年7月国際応用言語学会AILA World Congress、および国際語用論学会IrPAにて本研究の基盤となる「クリアランゲージ」と「やさしい日本語」政策の意義、比較についてそれぞれ応用言語学的視点、誤用論的視点から研究発表を行った。国際語用論学会はベルギー、ブリュッセルで開催されたため、欧州議会ブリュッセル部局を訪れ、多言語主義についての資料収集も行うことができた。また、2023年11月国際人口、文化、言語、発展研究国際学会では、多言語主義とクリアランゲージ言語政策の関係に焦点を当てた研究発表を行った。これらの学会での議論、質疑応答を通して本研究の理論面での方法論を強化した(言語教育研究、多言語主義研究で使われるTranslanguaging・Transpositioning理論の使用)。また、2023年度9月にフランス、ストラスブールの欧州議会本部によりオンラインで行われたクリアランゲージ研修に参加し、英語、フランス語を使って欧州議会で実際に行われているクリアランゲージに関する資料を使ったトレーニングを受けた。研究論文執筆については、本研究の背景となる専門用語や外来語によるコミュニケーションへの弊害について執筆した論文“Pandemic and Language of Exclusion” (副題略)を学術誌Artsに投稿し、近日出版が予定されている。これらの研究実績は教務にも活かされており、担当授業「世界の言葉と文化を知る」「母語から見える世界と外国語から見える世界」「デジタル時代の言語学と社会」で現状について講義、学生による議論の機会を設けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では当初に予定していた研究発表、資料収集、執筆活動を遅延なく遂行しただけでなく、2024年度以降に予定していた研究活動の一部を開始することができたため、「当初の計画以上に進展している」と言える。まず、2023年7月の国際語用論学会の開催はベルギー、ブリュッセルで開催されたため、2年目以降に計画していた現地資料収集の予定を早めて開始することができた。また、当初予定していた学会2023年7月の国際応用言語学会AILA World Congress、および国際語用論学会IrPAに加え、11月にも国際人口、文化、言語、発展研究国際学会でも関連課題を発表、これらの学会で発表した研究論文は学術誌投稿へ向けて順調に執筆活動が進んでいるため、こちらも予定を前倒しできている。本計画の方法論についても、これらの学会を通して、分析、理論の両視点から強化できたと考えられる。2024年度についても、多言語多文化教育国際学会International Conference on Multilingual and Multicultural Learning: Policies and Practicesなど関連テーマを取り扱う国際学会での研究発表をすでに行っている。また、本研究テーマに特化したゼミ授業を行うことで、実際にクリアランゲージや「やさしい日本語」演習を行う機会があり、これら政策の実務的な問題点、改善点などについて考察する機会になると考えられる。現時点で研究計画の大枠に重大な問題は生じていないため、今後も順調に計画遂行が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度はすでに5月に開催されたアルメニア・エレバン国立大学にて行われた多言語多文化教育国際学会International Conference on Multilingual and Multicultural Learning: Policies and Practicesにて本研究の多言語社会実現への貢献について発表を行った(共通語におけるクリアランゲージの使用により多言語社会維持がより容易になる点)。資料収集については2024年6月の欧州大学院にて開催される分野横断研究国際学会にて、欧州大学院の資料室を使用可能であるため、欧州多文化主義に関する資料を閲覧、収集予定である。また、2024年9月に開催される翻訳技術研究国際学会Translation in Transitionにてクリアランゲージ政策における自動翻訳やAI技術使用の可能性について発表予定である。2024年前半には、2023年度11月に国際人口、文化、言語、発展研究国際学会で発表した多言語主義とクリアランゲージ言語政策の関係についての研究論文“Linguistic Sustainability” (副題略)を学術誌に投稿予定である。続いて2024年後半には、2023年度に国際学会で発表した研究論文“Plain Language Initiatives for Cross-Cultural Communication” (副題略)の学術誌への投稿準備を予定している。資料収集に関しては、2023年度にブリュッセルでの資料収集を実現したが、引き続き、関連オフィスとの連絡をとり、現地またはオンラインで継続を予定している。また、教務については、担当しているゼミ授業言語文化特別講義本研究テーマに15週にわたり「プレーンランゲージ」「クリアランゲージ」「やさしい日本語」などの概念についての議論を予定している。
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Report
(1 results)
Research Products
(12 results)