Project/Area Number |
23K12331
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04020:Human geography-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 香寿実 芝浦工業大学, 建築学部, 講師 (90897539)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2026: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | フランス / 進歩的イスラーム / モスク / 空間 / 包摂性 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、近年の欧米諸国において登場してきた、性的マイノリティを含むすべての人を受け入れる「包摂的なモスク(inclusive mosque / mosquee inclusive)」の活動に着目し、その空間的戦略と利用者による空間的経験を明らかにしようとするものである。主にフランスにおける「包摂的なモスク」の取り組みを事例に、質的調査を用いてその空間利用実態と特徴を検討し、モスクの運営者・利用者にとっての「空間/場所」認識を明らかにする。世界的に展開される「リベラルなイスラーム」運動に目配りしつつも、フランスに特有の政治経済的・社会的状況との相互作用を重視し、マルチスケールの視点で分析する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年の欧米諸国で広がる「進歩的イスラーム」運動による「包摂的なモスク(inclusive mosque / mosquee inclusive)」の取り組みを事例とし、とりわけフランスにおける活動実態を明らかにするとともに、こうしたモスクの空間利用の特徴を検討し、モスクの運営者・利用者にとっての「空間/場所」認識を明らかにすることを目的としている。 研究計画の初年度である本年度は、現地にて基礎的な文献資料の収集を行い、フランスにおける政治社会的文脈を整理した。また、「包摂的なモスク」の進歩的イスラーム運動の主導者たちの著作を検討することで、かれらの思想的特徴・背景の分析を試みた。さらに、研究視角となりうる集合体理論について、本事例への援用の可能性を検討した。その結果、下記の3点が示された。 第一に、近年のフランスの政治社会的文脈において、「ジェンダー先進性」が共和国価値の一つと位置付けられる一方、イスラームをめぐる問題はジェンダー・セクシュアリティとの関連において先鋭化する傾向が見られること。女性や性的マイノリティの権利擁護を利用してナショナリズムの高揚をはかる「ホモ/フェモナショナリズム」が確認できる。第二に、フランスにおける「包摂的モスク」の主導者たちに共通して見られる思想的特徴として、「女性性」の価値の見直し、スピリチュアリティとしてのイスラームの側面の強調、フランス共和主義的な普遍的価値の尊重が挙げられること。第三に、こうした取り組みは、脱文脈化されたフランスのイスラームが、実に多様な思想・立場を内包するものとして再文脈化されるなかで、暴力的過激主義や伝統的保守主義に対する一つの潮流として登場していること。 以上の成果を、学会発表2件、論文1件にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題について、本年度は理論研究・文献調査を中心に展開した。 円安や物価高の影響により現地調査の機会は限られており、参加を予定していた「包摂的モスク」のイベントが急きょキャンセルされたことにより、質的調査について芳しい成果は挙げられなかった。 一方、現地で収集した活動家たちの著作物等を検討することで、各主導者たちのイスラーム思想には共通性も相違も見られることが確認できた。また、フランスの政治社会的文脈を見直すことで、ジェンダーオリエンタリズムやホモナショナリズムと共和国価値の接合といった新たな視点を得ることができた。 これらの成果の一部として学会発表を2件行ったほか、フランスの政治社会的文脈に関する検討や主導者らの思想的特徴に関する分析を論文としてまとめることができた。初年度としてはまずまずの成果があったと考える。 以上から、総合的にみて「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究活動において、中心的に注力したいのは下記二点である。 第一に、引き続き、集合体理論に関する議論を整理すること。集合体理論については様々な研究者が論考を出しており、とりわけ地理学関連のものを中心に検討を進め、本事例への貢献、本事例からの問い直しの可能性を探る。 第二に、現地調査を進めること。現地での質的調査ができていないことから、「包摂的モスク」の活動・運営実態の解明が不十分である。アポイントが取れない団体もあるが、アプローチを続けていく。 また、本研究を進めるなかで、とりわけ非欧米圏のムスリムからの「進歩的イスラーム」に対する評価は高いとはいえず、しばしば「異端」「イスラーム的ではない」と捉えられている事実を認識した。「進歩的イスラーム」には、多分に西洋的概念が影響を与えており、ジェンダーオリエンタリズムやホモナショナリズムとも接近する可能性があることは考慮して分析する必要がある。
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