Project/Area Number |
23K12338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
工藤 光平 東京大学, 総合研究博物館, 特任研究員 (40790077)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2027: ¥130,000 (Direct Cost: ¥100,000、Indirect Cost: ¥30,000)
Fiscal Year 2026: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 日本鶏 / 育種観 / エゴ・ドキュメント / 時空間的変遷 / 地域民俗 |
Outline of Research at the Start |
家畜家禽と人類の育んで来た関係の根幹には、育種家や彼らの属する社会の家畜家禽への育種観が横たわっている。育種家の手により多彩な品種が誕生し、育種家や育種家を取り巻く社会との間で多様な文化が形成された。育種観の時空間的変遷を紐解くことで、人と家畜家禽との関係がどのように構築され、人の精神的豊かさに繋がるのかを理解することができる。そこで本研究では、家畜家禽の中でも育種観の変遷を探究するのに適した日本鶏に注目する。育種観が表現されたエゴ・ドキュメントを主として、日本鶏に向けられる精神世界の時代、地域、育種家集団間での相違点を把握し、品種創生と文化形成の駆動力として育種観が果たす役割を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本鶏に向けられる精神世界の時代、地域、育種家集団間での相違点を把握し、品種創生と文化形成の駆動力として育種観が果たす役割を解明するものである。この達成には、育種観の認められるあらゆる記録資料を網羅的に探索し、個々の育種家の考えを直接的に反映するエゴ・ドキュメントの分析と、各育種家を取り巻く社会の鶏への価値観を反映する記録資料の分析が重要となる。 本年度は育種観の反映されるエゴ・ドキュメント資料の収集と資料提供への協力依頼を精力的に実施した。関東圏と九州圏を中心に中部圏と近畿圏の資料について探索を開始し、日本の中西部に残された鶏記録の収集に成功した。収集された育種家の育種観を示す資料の内容としては、日本各地で活動する日本鶏保存団体の発行する会誌・写真資料、各地の育種家がまとめた手記が挙げられる。これらの資料群のうち、育種家個人の所蔵する手記・写真・育種家間での手紙は従来の資料館や図書館等のデータベース上に収録されていないものであり、個々の育種家視点での育種観解明に貢献する重要な新規資料となる。また、保存会で刊行される会誌についても、会員の高齢化や会の活動縮小により残存するものが少なくなっているため、本年度で得られた会誌資料は非常に貴重なものであると言える。育種家を取り巻く社会の鶏への価値観を示す資料としては、各地の図書館・公文書館・資料館の所蔵する鶏関連の記述がある記録文書、各地の寺社や石碑に残された鶏関連記録を収集した。国会デジタルコレクション等で収録される電子化された記録資料も精査中であり、『古事記』と『日本書紀』に見られる鶏への価値観の分析内容については、2023年6月に開催された生き物文化誌学会学術大会において発表論議した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は主に日本の中西部の鶏関連記録資料を探索し、所在確認、提供・貸出の協力依頼、収集・テキストデータ化を進めることができたため、比較的順調に研究が進んだと評価した。具体的には、愛鶏家団体の刊行する書籍資料約90点、図書館等の機関所蔵の古文書・古記録資料約120点、愛鶏家が代々受け継ぐ手紙・写真等のエゴ・ドキュメント資料約110点を収集した。また、寺社や史跡に残る絵画・碑文等の記録約20点を鶏育種観関連資料として撮影記録した。国立国会図書館デジタルコレクション等でインターネット上に公開されている文書資料については約70点を確認し、鶏育種観の反映された文章の精査抽出を進めている。一方で、愛鶏家や公的機関の所有する一部資料では資料自体の劣化、所有者・所蔵機関の希望等により、貸出のための輸送が難しく現地での記録データ化が必須となるケースがあった。これに伴い、初年度内で予定していた資料所有者・所蔵機関への訪問調査日程を調整し、一部の資料については調査収集を次年度へ変更する必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、最終年度での総合的分析に向けて引続き愛鶏家のエゴ・ドキュメント資料および愛鶏家を取り巻く社会の鶏への価値観を反映する古文書・古記録等の資料収集を実施する。特に、初年度ではカバーしきれいていない東日本地域の資料収集を集中的に展開する。また、収集された資料について適宜ドキュメント分析を重ね、時代間、地域間に認められる育種観の変遷をまとめ学会への発表、雑誌への投稿を鋭意進める。初年度では、一次資料の確認・記録化のために所有者・所蔵機関のもとへ直接的に伺う必要がある場合を確認した。愛鶏家のみが所有しうるエゴ・ドキュメント資料については引き続き所有者への資料提供・貸出の交渉を続け、なるべく資料輸送による記録収集に努めるが、資料の独自性と稀少性を考慮し必要に応じて現地に伺い記録化する。公的機関の所蔵する資料については、可能な限りインターネット上に公開されたものや、同資料の収録される二次資料を探索・利用し、資料入手への時間的費用的効率化を図る。
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