Project/Area Number |
23K12347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
橋本 栄莉 立教大学, 文学部, 准教授 (00774770)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,550,000 (Direct Cost: ¥3,500,000、Indirect Cost: ¥1,050,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 西ナイル / 紛争 / 歴史 / 南スーダン / 神性 / 歴史経験 / 民族誌 |
Outline of Research at the Start |
2013年以降内戦状態にある南スーダンにおいて、政治的対立に端を発した紛争は西ナイル系集団間で民族紛争化した。隣国に逃れた難民の間では、民族に伝わる神話が語り直され、在来の神や精霊(神性)の名の下に対立や紛争経験が正当化されつつある。本研究では、歴史資料およびフィードワークにもとづき、西ナイル系集団の歴史経験と神性の関係史を明らかにするとともに、西ナイルの神性や神話が、どのように人々の紛争経験やアイデンティティを形作ってきたのかを検証する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、西ナイル系諸社会における神性(神や精霊など)が、どのように人々の歴史経験や紛争経験の形成と関わってきたのかを明らかにすることである。 令和5年度は、これまで南スーダンとウガンダで行った現地調査で得た資料の整理・分析、および南スーダン地域や西ナイル系集団の歴史・民族誌的資料の収集・整理・分析を行った。この作業により、(1)西ナイル地域に伝わる神話や予言者によってなされた予言が、現在の南スーダンの軍事・政治情勢や、内戦勃発によって国外に逃れた難民のアイデンティティと深くかかわっていること、(2)植民地期以降に変化を遂げた「報復」の概念が、人々の社会生活において「近代」や「伝統」に与えられた価値と緊密に関わりながら、現代の紛争における人々の行動原理や紛争理解を形成していることを明らかにした。 (1)のうち、予言とかかわる問題については、紛争解決・平和構築と人類学のかかわりを特集とする学術雑誌に論考として投稿し、掲載された。また、(1)のうち神話と難民のアイデンティティ形成については、単著として出版した民族誌の一つの章としてまとめた。(2)については、アフリカの紛争と歴史のかかわりに関する論集において、一つの論考として掲載された。 以上の研究は、東アフリカ地域における紛争や難民の現状理解に対して意義を有することに加え、これらがいかに地域の歴史的状況の中で、人々の歴史解釈と関わりながら形成されてきたのかを明らかにした点で極めて重要であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画作成時に予定していた国外での現地調査が進んでいないものの、国内においても入手できる西ナイル諸社会における民族誌的史料、南部スーダン地域に関する史資料が予想以上に多いことが明らかとなり、データの収集自体は進んでおり、これに基づく論考も執筆できたことから、研究計画は「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き収集した民族誌的・歴史的史料を整理・分析し、研究目的に応じた成果を国内外の学術雑誌で発信してゆくことを目指す。史資料の量が予想以上に多く、その種類も多岐にわたるため、国内外の文書館で得られるデータと、現地調査でしか得られない資料を判別し、それに応じて研究・調査計画を練り直すことが必要となる。具体的には、アフリカやオーストラリアで予定していた現地調査を中止し、その分を英国の文書館における史資料の収集と分析にあてるなどして、より研究目的に応じた成果を出せるよう工夫してゆく予定である。
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