台湾原住民族アミを事例としたキリスト教受容の教派間比較研究
Project/Area Number |
23K12350
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 04030:Cultural anthropology and folklore-related
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Research Institution | Notre Dame Seishin University |
Principal Investigator |
岡田 紅理子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 講師 (70802502)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | アミ / 台湾原住民族 / キリスト教 / 宣教 / 改宗 / 宗教実践 |
Outline of Research at the Start |
「原住民族」と呼ばれる台湾のオーストロネシア系先住民族の間では、キリスト教が広く信仰されてきた。しかし、キリスト教と一括りにしようとも、その組織や実践のありようには、教派教団で相違があり、そうした相違は信者に意識化され、時として意図的な差異化を生み出してきた。 本研究では、エスニック・グループのアミを事例とし、原住民族キリスト教徒を二分するカトリック教会とプロテスタント長老教会との比較から、両教会のアミがそれぞれに見出す「キリスト教徒として生きること」のあり様を探究する。これを通じて、非西洋社会の一地域が示す人が「宗教を選び、信者として生きる」意味と論理を実証的に捉える枠組みの構築を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
初年度に当たる2023年度は、7月に台湾・花蓮および東京において参与観察を実施した。いずれも、研究対象である原住民族アミの在来祭祀イリシンにおけるキリスト教会の関与を調査した。東京での調査の結果、関東近隣に移住したアミをはじめとする原住民族の多くがキリスト者であり、かれらのつながりが教会活動を通じて構築されていることが判明した。異なる教派・教団に属することが参加者のつながりと在来祭祀の実施においていかに作用しているのかについて、今後の課題として浮かび上がった。8-9月には、台湾・台南にある台湾基督長老教会のアーカイブにおいて史資料収集を実施した。具体的には、日本植民地時代初期においてカナダのおよびイングランドから台湾の南部と北部に派遣されたプロテスタント宣教師が、いかにして東部へと宣教地を拡張し得、原住民族への宣教を模索したのかを把握するため、2人の宣教師に注目し、かれらが残した報告書を渉猟した。2024年度以降の現地調査に関わってくる事柄として、11月には、日本基督教団の牧師である社会学者を招き、アジア地域のプロテスタント教会による社会運動への参与に関して討議した。また2024年3月には、沖縄・宮古島で開催されたプロテスタント教会諸派・諸教団によるキリスト者青年の集いにおいて参与観察を実施した。これは、日本キリスト教協議会(NCC)が主催に関わる会合であり、日本基督教団と宣教協約を締結している台湾基督長老教会から原住民族を含む参加者があった。アジア地域における軍事情勢に対するキリスト教会およびキリスト者のあり方を問うことをテーマとする会合において、緊迫する対中関係のなかで台湾長老教会の信者であることがいかに語られるのかについて理解を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロテスタント教会宣教師が日本植民地時代初期において原住民族への宣教に着手した経緯に関する史資料の渉猟は未だ不十分である。しかし、現地調査において台湾基督長老教会関係者との関係が当初の想定に反して円滑に築けたことから、今後の文献調査および現地調査についてある程度目処を立てられるようになった。また、国内で実施した調査により当初の研究計画が拡張したとともに、これまでの研究成果を2点刊行したことで(うち1点が掲載される書籍は次年度台湾にて刊行予定)、研究計画をより多角的に課題を捉えるためのフィードバックが得られた。以上を総合し、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き収集した史資料の精読を実施するとともに、国外(台湾およびアメリカ)のアーカイブで文献調査を実施する。具体的には、日本植民地時代の宣教記録を渉猟し、プロテスタント教会の外国人宣教師らの原住民族への宣教観について、派遣元の母教会、プロテスタント教会全体における世界宣教の倫理と神学、カトリック教会という三者の関係から読み解く。また、ライフヒストリーの収集に向け、調査地にある台湾基督長老教会の教会堂において参与観察を開始する。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)