Project/Area Number |
23K12360
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
盛永 悠太 北海道大学, 法学研究科, 助教 (40962668)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2027: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2026: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 学問の自由 / Academic Freedom / Extramural Speech / アカデミック・ハラスメント / extramural speech / 「学外言論」 / 日本国憲法23条 |
Outline of Research at the Start |
昨今、研究者がインターネット上での情報発信を行う機会が増えると共に、SNS等での発言を理由に所属機関から身分上の制裁も含む処分を受ける事例が散見される。研究者の発言を契機とする法的紛争に対処するための法的枠組みと理論的基盤の整備のためにも、研究者の一般市民としての発言と学問の自由(=研究者の適格性判断と教授会自治・同僚制)との関係の探究が課題となる。 本研究は、19世紀以降のアメリカのアカデミック・フリーダム(academic freedom)の議論から、研究者の一般市民としての発言が問題となった「学外言論(extramural speech)」の事例を対象として、上記の課題を検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、近時SNS上における発言を中心に、大学教員が必ずしも自身の専門性とは結びつかない発言をしたことを契機として、所属機関から解雇・懲戒等の処分を受けることが散見されることを背景に、研究者の発言を契機とする法的紛争に対処するための法的枠組みと理論的基盤の整備を試みるものである。 今年度は、まず当初の研究計画通り、(1)英米圏におけるAcademic Freedomにまつわる文献・資料収集およびその分析を行った。それに加え、(2)我が国における大学教員の身分保障・適格性が争われた裁判例・事例に関する調査・分析を行うと共に、(3)憲法学だけではなく労働法学や社会学における議論についても調査・分析した。 これらの成果については、今年度中に公表することはできなかったものの、①特に本研究課題の鍵概念であるExtramural Speechの近年の英米圏における展開(ex. Joseph C. Hermanowicz(ed), Challenges to Academic Freedom [2021]など)、そして②英米圏の「大学/キャンパスにおける言論の自由」(ex. Erwin Chemerinsky& Howard Gillman, Free Speech on Campus[2017] )のあり方をめぐる議論について、知見を深めることができた。当初の研究計画通り、次年度以降に研究成果として公表することを目標としたい。 また本研究課題のテーマとは直接結びかないものの、「アカデミック・ハラスメントをめぐる法的課題 」では、アカデミック・ハラスメントをめぐる理論的および実務的課題を論じることを通じて、労働法学・社会学、各大学のハラスメント対策室・相談室といった実務の側から、アカデミック・ハラスメントの解決とは大学におけるガバナンスの問題であるとの認識が示されている一方、我が国の憲法学においてはこれらの議論は低調であり、憲法学における目下の課題はこの点にあることを明らかにした。こちらについても次年度以降の公表を企図している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にある通り、今年度は文献・資料収集とそれらの調査・分析が中心であり、研究成果の公表には至っていない。これには、現在の研究代表者の所属が今年度いっぱいで任期切れとなることに伴い、次年度以降のための就職活動や転任のための準備といった諸々のことを行う必要性が生じ、そちらに専念せざるを得なかったためである。これに付随して、当初予定していた国内学会・研究会への参加や所属機関外・北海道外への資料調査については十分実行することはできなかった。このため、今年度執行予定であった学会・出張費については、次年度(2024年度)に後ろ倒しする。 とはいえ、上記にある通り今年度は①Extramural Speechに関する近時の英米圏における議論、②「大学/キャンパスにおける言論の自由」をめぐる議論について知見を深めることでき、本研究課題の1年目として予定された水準には達している。 また当初の研究計画においては1年目である今年度の研究成果を整理した上で、次年度以降に公表する予定であったこと、研究成果の副産物としてアカデミック・ハラスメントについて研究報告をする機会があった。 これらのことから、今年度(2023年度)は概ね当初の研究計画通りの推移をたどったものと評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、次年度(2024年度)は今年度の得られた知見を元に研究成果を公表することとしたい。 「研究実績の概要」や「理由」で挙げたように、今年度は①Extramural Speechに関する近時の英米圏における議論、②「大学/キャンパスにおける言論の自由」をめぐる議論について知見を深めることができた。論文や学会発表に際しては、我が国の状況との異動、英米圏における社会的・政治的文脈をフォローした上で成果を公表することで、研究課題を達成していきたい。
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