Project/Area Number |
23K12361
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05020:Public law-related
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 健 弘前大学, 人文社会科学部, 助教 (40849220)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 憲法訴訟 / 救済法 / 請求権 / 憲法上の権利 / 「救済法」構成 / 「請求権」構成 |
Outline of Research at the Start |
わが国の憲法訴訟では、①実体的権利としての憲法上の権利はどのような役割を果たすのか、②裁判所による救済方法の決定はどのようになされるのかを考察することで、訴訟当事者にとって実効的な権利救済の議論領域を提供するために「救済法」構成を導入する可能性があるかを検討する必要があると考えられる。 そこで本研究では、「救済法」構成を導入する可能性を探る予備的研究として、特に①実体的権利としての憲法上の権利がどのような役割を果たすのかを解明することにより、憲法訴訟論の入口論と出口論を結びつけた体系的でかつ実務的により有用な理論を提示することを目指したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、「救済法」構成を採用しているアメリカの訴訟構造一般で「実体的権利」がどのような役割・機能を果たしているのかを検討する前提として、救済法に関する邦語文献の収集とその検討を中心に行った。その中で、「救済法」構成の導入可能性を検討するには言語化されていない裁判制度の前提を正確に理解することが必要になるということを再確認した。そして、「救済法」構成を採用しているアメリカは英米法体系に属するのに対し、日本は大陸法体系に属するため、裁判制度に関する英米法と大陸法の違いから丁寧に整理する必要があるということを改めて認識した。 また、実体問題で機能することが想定されている論証責任と論証度も、救済法領域における裁判所の裁量権行使を権利救済という目的に対する手段の選択の問題として捉えることにより、どのような救済手段が実効的か、その手段を採用することによって発生しうる不利益はどの程度かなどを訴訟当事者に論証させ、それに基づいて裁判所が救済手段の選択を行うという判断構造の下で機能しうるものであった。そのため、実体問題と救済法の問題とを関連づけて検討する必要があるという知見を得ることもできた。 以上のことから、一足飛びに比較法研究に移るのではなく、まずは邦語文献を中心に、裁判制度に関する英米法と大陸法の違いや実体問題と救済法の問題との関係といった前提問題を丁寧に解きほぐしていくべきであるということに思い至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記載したように、令和5年度は、暗黙知となっている根本的な事柄を正確に理解する必要があると改めて認識することになった。当初の研究計画ではこのことを直視できていなかったため、令和5年度終了時点で英語文献の読解を行うのに十分な知見を得られていないとの判断に至り、まずは邦語文献の読解を行うことで前提問題を検討しておくべきだと思われた。そのため、当初の研究計画のように比較法研究に入る前に、その準備作業として、裁判制度に関する大陸法と英米法の違いや実体問題と救済法の問題との関係などを整理する必要が出てきた。 それに加えて、令和5年度は、過去の研究課題の研究成果を公表したり現在の別の研究課題を遂行したりするために予想以上の時間がかかり、本研究課題の研究を遂行する時間を十分に確保することができなかった。 以上の理由から、「やや遅れている」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、令和6年度は、場合によって邦語文献の読解も行いつつ英語文献の読解を中心に検討を進めるとしていたが、研究実績の概要にも記載したように研究遂行上の前提問題に立ち返って検討する必要性が出てきた。 そのため、令和6年度は、裁判制度に関する大陸法と英米法の違いや実体問題と救済法の問題との関係について、令和5年度に収集した邦語文献の読解をさらに進めるとともに、それに応じて必要となった邦語文献の収集・読解を優先的に行う。そうすることで、「救済法」構成を採用しているアメリカの訴訟構造一般で「実体的権利」がどのような役割・機能を果たしているのかに関して、英語文献を読解するための素地を整えたい。 その上で可能であれば、憲法訴訟において「実体的権利」がどのような役割を果たしているのかに関する理論的検討に着手したい。その際には、随所において、日本法やアメリカ法の知見だけでなく大陸法に関する知見も必要となることが予想される。そのため、邦語文献や英語文献の読解が中心にはなろうが、場合によってその他の外国語文献の読解も視野に入れる必要があると考えている。
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