Project/Area Number |
23K12377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05030:International law-related
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
來田 真依子 大阪経済法科大学, 国際学部, 准教授 (50899234)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,810,000 (Direct Cost: ¥3,700,000、Indirect Cost: ¥1,110,000)
Fiscal Year 2027: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2026: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 国際法 / 海洋法 / 国際漁業法 / 旗国主義 / 公海漁業の自由 / 寄港国 / IUU漁業 |
Outline of Research at the Start |
従来の研究では、伝統的な旗国主義が今日の国際漁業法においても堅持されていると理解されてきた。しかしながら、旗国に権限と責任を一元化するこれまでの規制手法は現実的な実効性の壁に突き当たり、旗国主義の原則性が海洋法全般で問われはじめている。 本研究は海洋法の一部である国際漁業法に光を当て、今日の公海漁業法秩序において旗国主義の原則性は保持されているのかを問い直すものである。本研究の目的は、旗国主義の伝統的法益と②公海漁業規制における旗国主義の現代的機能を実証研究によって明らかにし、旗国主義の原則性を柱としてきた国際漁業法について、公海漁業規制の今日的実情に即した新たな理論枠組を構築することにある。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度においては、旗国主義の原則性をめぐる従来の先行研究及び関連資料の収集と整理を行うとともに、海外の海洋法研究者を招聘してワークショップ「Current Situation of International Law on Marine Environmental Crime(海洋環境犯罪をめぐる国際法の現在)」を開催し、意見交換を行った。無規制漁業を含むIUU漁業を海洋環境「犯罪」として位置づけようとする近年の議論は、従来の国際漁業法における文脈とは全く異なるところに端を発している一方、海洋管轄権をめぐる問題を避けては通れない。本ワークショップは海洋資源の専門家との議論を通じて、この異なる文脈上にある共通の問題を整理し、海洋法としてどのように論ずるべきかを明らかにすることに資するものであった。 本年度における研究の成果については、イタリアのジェノヴァ大学で開催された海洋法シンポジウム「Law of the Sea and Blue Growth: European and Asian Perspectives」において研究報告を行った。ここでは寄港国の港内での乗船検査をめぐる旗国と寄港国の管轄権配分について、近年変化がみられることを指摘し、その意味において伝統的な旗国主義に相対化の傾向が生じていることを示した。さらに、カナダ国際問題研究所主催のワークショップ「Ilegal Fishing: Cooperation for a Rules-Based Maritime Order」において、個別報告を行い、実効的なIUU漁業規制に向けて入港制度がどのように発展し、それが如何に公海漁業規制における非旗国としての寄港国の役割を強化するものであったかを示した。結果として、これらのシンポジウム及びワークショップ、並びにその後の意見交換会を通じて、海洋法研究者や実務家から有益な指摘と示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年においては当初の予定どおり、国内での資料収集と整理、国内ワークショップ開催を通じた国内外の海洋法研究者との意見交換、国外での国際シンポジウム及び国際ワークショップにおける研究報告を行うことができた。特に国内ワークショップの開催により、公海漁業について旗国主義を通じて保護しようとする今日的な保護法益とは何かを議論する機会を得られたのは大きな成果であった。さらに、国際シンポジウムとワークショップにおいて研究報告を行ったことにより、海洋法分野で研究成果の豊富な国外の研究者から多くのフィードバックを得ることができた。研究発表内容については現在、英語論文を執筆中であり、24年度中の公表を目指している。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度においては、資料収集を継続するとともにテクスト分析を行い、一般的に旗国の保護法益とされる航行の利益が公海漁業の利益とどのように区別されてきたのかを明らかにし、公海漁業の規制手法としての旗国主義の妥当性について再検討を試みる。さらに、今日の公海漁業規制において旗国主義がどのように機能しているのか、つまり従来の原則性を保持しているのかどうかについて、近年の地域漁業機関(RFMOs)を通じた国家実行の分析を開始する。 これらの研究成果に関しては、次年度において国内学会で報告を行い、海洋法研究者や実務家からフィードバックを得る予定である。その後、フィードバックを踏まえて日本語論文を執筆することを予定している。
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