Project/Area Number |
23K12389
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Research Category |
Grant-in-Aid for Early-Career Scientists
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Review Section |
Basic Section 05060:Civil law-related
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
福田 智子 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (40823761)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 裁量信託 / 潜在受益者 / 期待権 / 受益者の権利 / 民事信託 / 信託 / 受託者の義務 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、長寿高齢化や晩婚・再婚などによる家族関係の複雑化に伴う長期的な財産管理や財産継承に流動的に対応できる裁量信託の適当な利用が日本において促進されることを目的とし、数百年前から裁量信託が多用され、人々のニーズに応じ改善されてきたイングランドやアメリカにおける過去から累積された判例、法令、学説等を参考に、日本型裁量信託における利害関係者である委託者、受託者、受益者が有する権利義務の内容を明らかにすることを内容とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「日本型裁量信託において委託者・受託者・受益者が有する権利義務の内容」を明らかにすることにより裁量信託を必要とする者等が日本型裁量信託を安心して利用できるようになることを目的とし、研究実施計画において当該目的達成のため2023年度では「日本型裁量信託における受益者の権利」に関する研究を行うことを予定していた。 そこで、2023年6月に令和5年度信託法学会において「日本型裁量信託における受益者の権利」と題した研究発表(単独)を行った(2023年5月にも中央大学研究開発機構研究会において「日本型裁量信託における受益者の権利」と題する報告を行った)。当該学会報告の内容は「日本型裁量信託における受益者の権利」として、信託法研究47号31-59頁(2023年12月)に掲載されている。当該報告では、英国及び米国における裁量信託を参考とし裁量信託における潜在受益者が受益権のみならず期待権を有すること、また当該期待権には信託法92条(強行規定)が定める権利の一部が含まれることを明らかにした。これらの内容(特に期待権の具体的内容を明らかにした点)はこれまで研究されたことがなく新規性があると考えられ、また研究者及び実務家(金融機関も含む)が多数参加する信託法学会において報告したことにより今後の日本型裁量信託の研究及び利用が進むことが考えられ、当該研究実績に意義及び重要性が認められる。 その他、研究実績として、2023年10月「民事信託における受託者の「裁量範囲」-アメリカ裁量信託における「受託者の裁量」を参考に」信託フォーラム20号21-25頁、2024年2月「裁量信託における受益者の権利(2)―米国における信託―」茨城大学人文社会科学部紀要人文社会科学論集3号219-240頁などがある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では、1年目(2023年度)は「裁量信託における受益者の権利」に関する研究および発表を行う予定であった。具体的には、アメリカの裁量信託における受益者の権利について2024年2月刊行予定の茨城大学人文社会科学部紀要に掲載予定、イギリス・アメリカ・日本における裁量信託の受益者の権利に関する研究の総括として、2023年6月11日に立命館大学で行われる令和5年度信託法学会において「日本型裁量信託における受益者の権利」として研究発表を行う予定であったが、これらは全て実施済みである(「研究実績の概要」参照)。そのため当初の予定通りに進んでいると評価し「(2)おおむね順調に進展している」を選択した。なお、上記研究実績の概要に記載した2023年10月「民事信託における受託者の「裁量範囲」-アメリカ裁量信託における「受託者の裁量」を参考に」信託フォーラム20号21-25頁、及び2024年3月「高齢社会における財産継承のための信託活用-Contemporary Incentive Trusts(現代的インセンティブ信託)」新井誠編『ESG投資と信託受託者責任 (高齢社会における信託活用のグランドデザイン 第2巻)』(日本評論社2024)129-141頁の論稿は、2年目以降に研究する予定の内容でもある。 当初の計画では1年目に渡英し書籍等の現地調整を行う予定であったが、大幅な円安により実現できていない(円安により書籍の購入もできなかった)。ただし国内研究会に参加し、民法・信託法など幅広い知識の集約ができているため、次年度も引き続き継続する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画では、2年目(2024年度)は「アメリカの裁量信託における委託者の権利・受託者の権利義務」および「日本型裁量信託における委託者の権利・受託者の権利義務」に関する研究および発表を行う予定である。当該研究内容は、信託法に関する研究会(中央大学研究開発機構研究会)などにおいて報告を行うほか、2025年2月刊行予定の茨城大学人文社会科学部紀要に論文として発表する予定であった。研究内容の大きな変更は予定していないが、委託者の権利内容は裁量型・非裁量型で大きく変わるものでないことが1年目の研究で明らかとなったため、2023年で報告した潜在受益者が有する権利のひとつである期待権と委託者の権利との関係(委託者による期待権侵害)にテーマを絞り研究を行う予定である。
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